イスラムアート紀行

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13世紀イラン、聖なる蒼と青、そしてラスター彩(修正有り、下記)

「土族、イランへ行く」、第1次の「なんちゃって写真」があがってきました。全部いちおう焼いてみて、マシなものをちゃんと現像しようといういつもの作戦。写真の出来自体は満足できるものは少ないですが、やはりイルハーン朝期の墓廟「ソルタニエ・ドーム」(1307〜13)と、「ブルーモスク(タブリーズ)」(1465)のタイルの素晴らしさには惚れ惚れします。

でも、書籍やパンフレット等を見ると、撮れていないものがたくさんあるようで残念。学術調査ではないので仕方ないですね。タイル好きの素人の限界があります。

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今回の旅行では、博物館もいろいろ見ることができました。あくまでタイル好きの私にとってですが、テヘランの「国立博物館」のイスラム美術展示の充実には、ヴィクトリア&アルバートの蒐集(昨秋の「宮殿とモスクの至宝展」)も遠くに霞みました。同じくテヘランの「ガラス・陶芸博物館」もイランの土の美術の粋を堪能できます。

また、タブリーズにある「アゼルバイジャン博物館」2階にはすごいタイルやラスター彩が、何気なく展示されていてびっくりです。しかもいずれの博物館も、なんと写真撮影が自由なのです(フラッシュは禁止)。本当に一日じっくり見てみたいです。(ただし、図録やカタログ類がないことが多く、これにはすご〜く困ってます・・・)そんななかから1点、アゼルバイジャン博物館にあったターコイズ釉の十字形タイル(13世紀)。

十字形タイルは星形や六角形のラスター彩と組み合わされて、モスクのミヒラーブ(メッカにあるカーバ神殿の方向を示す)を飾りました。ミヒラーブは偶像を持たないイスラム教の祈りの場にあって、もっとも荘厳な装置です。各地のモスクで、精魂込めて作られたタイルが宝石のように輝いていたことでしょう。

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このターコイズ十字タイルを見ながら、私はこれと兄弟のようなコバルトブルーの十字タイルのことを思い出していました。常滑にある「世界のタイル博物館」、山本正之コレクションの1点(13世紀、カシャーン)。『イスラームのタイル 聖なる青』(INAX)の表紙にもなっている青のタイルです。私にとってのイスラムタイルの原点。きれいだなあ、と飽きずに眺めていたタイルです。ターコイズの輝きを見ながら、「あれから、ここまで来たんだな・・」と、少し感傷に浸っていました。

この時期のイランではラスター彩が盛んに作られています。ラスター彩は、釉薬や金属酸化物により金や虹のような光彩ができる幻想的な焼き物で、高い製陶技術が必要です。9世紀から16世紀に中東地域で生産され、12、13世紀頃が最盛期。15世紀頃から次第に衰退、長く技法がとだえた後、陶芸家の加藤卓男さんが復元に取り組まれたことでも有名です。

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そのラスター彩の輝きを間近に見ることができました。@ソルタニエドーム。私がラスター彩のレプリカ(前回の下の写真)に大騒ぎしていたら、おじさんがどこからか出してきてくれました。コバルトブルーに金色の龍(クリックして拡大して頂くと勢いある龍の表情が伝わると思います)。モンゴル〜中国趣味を感じさせる絵柄が、西イランの小さな町のささやかな博物館で、冬の陽光を受けて光っていました。

↑訂正:資料読み込み不足でした。このタイルは「ラージュバルディーナ手」という種類のタイルで、ラスター彩の色彩感覚を豊かに発展させたもの。「コバルトを呈色剤として発色させた藍色の釉薬の上に、赤や白、そしてさらに金彩を加えた上絵付けの陶器やタイル」(『タイルの美 イスラーム編』 TOTO出版)だそうです。時代、星形と十字形の組み合わせと表面の煌めきから、こういうのも含めてラスター彩としていいんだろう、決めつけてました。この本は読んでいたんですが、反省です。再度書きます。
by orientlibrary | 2006-01-12 01:02 | 至高の美イランのタイル