イスラムアート紀行

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「ちゃんちゃらおかしいぜ」 ブランドとしての”ロハス”

●先日、腑に落ちない記事を読みました。「空気清浄機や食器洗い器の広告に“ロハス”という言葉を使っているシャープに対して、“ロハス(LOHAS)”の商標権を持つトド・プレスが警告文を出す予定」というものです(日経MJ)。はあ!ロハス(LOHAS)の商標権だあ?いつからロハスがブランドになったのさ?! ・・・とっくの昔になってました

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ロハス=LOHASは「Lifestile of Health And Sustainability」=健康と環境に配慮した暮らし方を意味する英語の頭文字をとった造語です。もともとは1998年にアメリカの社会学者らが新しい人々のあり方として提唱した概念。このところ、雑誌や広告などで目にしたり聞いたりすることのある言葉ではあります。

●でも、もともとはひとつの「考え方」。言わんとしていること自体は結構なことで、何も文句をいうものでもありません。ただ、当初から何となく釈然としない思いがありました。そう思っていた人、意外と多かったのでは?・・・何か匂う、と

ロハスは去年から、衣料や食品などほとんどの商品領域でガンガン商標登録されていました。詳しくはここに。大半はトド・プレスと三井物産が権利を獲得しています。トド・プレスとは、ロハスの特集で部数を劇的に伸ばした雑誌『ソトコト』(世界初の環境ファッションマガジンとのこと)を発行する木楽舎のグループ会社。そして、『ソトコト』の編集長は、雑誌『ブルータス』の編集やテレビ番組「ワーズワースの庭」に関わったO氏です。“スローライフ”って声高に言ってるわりには、やること早いんじゃないの?

●で、彼のインタビュー。「今、いちばんおしゃれな生き方を考えると、そういうLOHAS的な生き方なんじゃないかと思う。つまり、環境コンシャスってことが、今いちばんおしゃれなんじゃないかと思うんだよね」(WEBフォーラム「もっと地球と話そう」より)。全文はこちら。パロディかとも思うけど、シャープに文句言ってるとこみると、マジみたいですね。いわく、「"LOHASはなんでもあり!"みたいな感じになるとLOHASの持つ価値はなくなって、ただの消費のキーワードになってしまうので、いい意味でLOHASを使用してもらえるよう考えていきたい」(NaYOGABlogより)。

●なんでもありにしてるのは誰?消費のキーワードになってしまう?だいたいが本来の概念を普及しようって気があるのか、おおいに疑わしい。

●企業というのは商品(含むサービス)を販売して利益を得ていかないと食べていけない。そのためには何らかの訴えかけが必要なわけで、飽きっぽい日本の消費者には麻薬のように新しい言葉(アピール)が必要です。

●だから、これがイケる、となるとみんなそれを使う。私も企画や調査という領域で仕事をし、ものを書いたりもしてきました。「どうすればもっとも伝わるか」を考えるのが仕事であり、考えて形にしていくことが好きです。

●では私も同類、同罪なんだろうか。自分のことで、うまく言えないけど、私は少なくとも環境を食い物にするのはイヤだ。人の持つ弱いところにつけ込むようなことはイヤだ。伝えたい内容が違う。方法が違う。発想としてはわかるだけに、すごく嫌悪感がある。でも、自分も自戒しないといけません。これからはもっと自分の関心に近いところで、本当に伝えたいことを、本気でやっていこうと思っています。

●今考えてる「遊牧民的な暮らし方」について、コンタクトをとらせて頂いたNさんからメールが届きました。Nさんは今、北海道で自分で家を建てています。モンゴルのエキスパートであり、南シベリアでトナカイ遊牧民といっしょに越冬もしたNさん、

●「必要最低限の状況で、最大最高の住環境を作るためには、基本的に、まずは人間が欲望を抑制しなければならないのだということがよくわかりました」として、「そういった意味で “ロハス”なんて言っても、めいいっぱい従来の物質文化を基盤にした“ちゃんちゃらおかしいぜ”ってのにしか聞こえないんです」。そう、ちゃんちゃらおかしいぜ、ですよね!Nさん、どうもありがとうございました。
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*写真は、(上)モロッコ・フェズ、中世の面影を残す街、(下)モロッコ・威勢のいいバザールの魚屋さん。並べ方にもお国柄。国王の写真あり
by orientlibrary | 2005-12-22 01:53 | 日本のいいもの・光景