イスラムアート紀行

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京都で出会う 伝統工芸(京鹿の子絞)、地蔵盆(タイルと祠)

蒸し暑さのなか、関西へ小旅行。「大阪市立東洋陶磁美術館」「河井寛次郎記念館」など、やきもの関係のお話は次回に。今回は、出会いと発見と再確認?のトピックで巡る大阪・京都編です。

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「みんぱく」でビデオを見る


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「中央・北アジア展示」より。実物大再現や記録は民族学博物館ならでは。左下はジオラマによるウズベキスタンの民家。レンガ〜土塀で囲まれ中庭があり果樹があり縁台があり。さすがによくできています。右下は女性の部屋再現。スザニ、赤ちゃんの揺りかごや糸車など)

まずは、みんぱく詣でから。今回、館内の書籍やビデオで、中央アジア関係、タイル(とくにモザイクタイル)関係の資料があればという期待があり、ビデオを4時間くらい見ました。結果からいうと、タイル関係で見たかった映像が10〜15秒あった。なので行った甲斐はありました。

15秒でも貴重です。イランの職人の映像で、モザイクタイルを作るために、タイルを細密にカットして、複雑な模様を裏返しにして並べていました。メートル単位以上の大きな面積です。ポイントは下にデザイン図が敷かれていたこと。知りたかったのは、そこだったのです。15秒でも重要なことでした。

中央アジア(〜北アジア)のビデオ、工芸はタゲスタン、音楽はトゥバが中心。タゲスタンのソ連時代(あるいは、その名残のある)工場でのフェルト作りが、なんだかリアルで臨場感がありました。ビデオにウズベキスタン関係がほとんどないのが不思議。

やはり映像は情報量が多く、一見して伝わります。装飾タイルやイスラーム建築、思う存分に映像が見たいけれど、、今の時代、YouTubeを探した方が早くて確実なのかも。以前ご紹介した、「University of Pennsylvania Museum」の記録映像(すごい!!)など、もう一度しっかり見てみます。その意味でも、いい経験になりました!


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京鹿の子絞との出会い


河井寛次郎記念館で見た雑誌で、岡崎の「京都国立近代美術館」にも河井作品コレクションが多数あると知り、翌日9時半に行ってみることにしました。

10点ほどの展示でしたが、大物もあり満足。せっかくなので、特別展「うるしの近代」も。こちらも展示点数が多く、京都漆芸の歴史と革新を感じることができました、、のですが、、見ているうちに、ものすごい疲労感が立ち上がってきて、何度も会場内の椅子に座って一息。

館内は静かで休める場所もあったので、しばらくボーッとしていましたが、予定では、その後に「細見美術館」「楽美術館」「清水三年坂美術館」と回るつもり。土砂降りの雨もあがったし、時間も限られるし、と、とにかく外に。細見美術館へと歩き始めました。が、ダメ。目の前の建物にフラフラと。「みやこめっせ 京都市勧業館」でした。

レストランで休みました。蒸し暑さ、雨と暑さが交互にくる天候、冷房、睡眠不足などがこたえていたのかも。温かい蕎麦で次第に復活。せっかくなので館内を見てみることにします。地下に「京都伝統産業ふれあい館」というスペースを発見。入ってみると、、、出会ったのです。「京鹿の子絞」に。実演と説明をなさっていた伝統工芸士(意匠部門、下絵図案考案と制作)の後藤和弘さんに。

「京鹿の子絞」、聞いたことはありますが詳しくは知りませんし、実物をじっくり見るのも初めて、職人さんからお話を聞くのももちろん初めて。けれども、すぐに引き込まれていきました。

京鹿の子絞、、図案を起こし、紙に描き、金槌のような道具を使って模様通りに小さな穴を開けていく。青花(あおばな)から抽出した液を用いて、刷毛で穴から布に模様を写す。色がついた小さな部分を50種類にものぼる様々な技法で、ひとつひとつ手作業で括り、染める。括りを解いたときに、立体的な模様が連続する布が姿を現す。行程ごとに分業。高度な技能を持つ技術者同士のつながりから生み出される作品は、足し算以上の技となって現れるといいます。

● 京鹿の子絞の特徴、作り方、魅力=京鹿の子絞振興協同組合のHPより

● 京鹿の子絞振興協同組合HPの「技法」を見ると、「下絵には青花等を用いること」とありります。

青花はツユクサの栽培変種。下絵に青花を使った場合、お湯につけると下書きの青は消える。大事ですよね。化学的な製品もありますが、時間が経つと消えてしまうものもあり、やはり青花でないとダメなのだそうです。

この「昔から京友禅や加賀友禅、絞りなどの下絵に使われてきた」という青花について詳細に説明のあるサイトがありました!!

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(青花のシルが凝縮して染み込んだ和紙。水をたらして左の特製刷毛で穴に刷り込む)

産地は草津。朝摘んだ手摘みの花を、その日のうちに手揉みし数度にわたりしっかりと漉して「シル」を作る。シルを薄い和紙に刷毛などで何度も何度も染み込ませては乾かす作業を何日も繰りかえすそうです。この青に惹かれました!

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(特製道具と細かい穴片。写された模様)

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(年代物の型紙。茶色く硬いですが、これ紙です。和紙に柿渋、そしてロウを塗るのだとか。大正元年、昭和二年などの型紙。いまも模様が生きているようにイキイキしています。美しい!!!!)

青花に続き、驚いたのは、後藤さんの先代であるお父さんの穴開け技法。なんと、火のついた線香で穴をあけていらっしゃったのだそうです。そのほうが曲線がきれいに出るということのようなのですが、線香であのキリッとした円が生まれるなんて。美しく精緻な型紙のために、そのような技法を考え、時間をかけて集中して日々作業されていた姿勢を思うと、頭が下がります。

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(細かい!しっかり括られているので、広げるとグンと伸びる。きれいな斜め45度の角度。緻密でありながら手仕事の温かみ。右の鳥と花も細かい!白がクッキリ。穴を開けるのも、括るのも、染めるのも、すべての行程で熟練の技がないとできない境地ですね!!)

美しいものに触れさせていただいて、どうもありがとうございました!

この後、「ふれあい館」内の図書館をチェック。かなりの充実度!(みんぱく以上?)。例えばタイルの書籍=INAXブックレットのシリーズ、TOTO(タイルの美)、さらに「ペルシアの伝統技術」まで。世界の芸術〜美術全集も揃っている!ただ、洋書が非常に少ないことと、全集などは古書の趣きであることを前提に、利用の仕方によるかなと思いました。全体をちゃんと見ていないのですが、京都関係、京都工芸関係は多数の本があったように思います。岡崎の散策途中に、資料調べ、読書に立ち寄るのに良さそうです。

さらに、友禅型染めの体験にハマり、気がつくともう美術館に行くどころじゃなかった。でも全然後悔していません。本当に良かった!いい時間でした。ありがとうございました。


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「タイルとホコラとツーリズム 」


急いで、中京区のギャラリーで開催されていた<タイル関係の展示イベント&トーク>に走ります。ふふ、タイル関係のイベントですよ!あるんですよ^^ タイル、イベントがあるんです♪「タイルとホコラとツーリズム 」展

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(「京都の街角を歩いた際、不意に地蔵菩薩や大日如来などを奉ったホコラを目にすることがあります。それらの多くはコンクリートや石詰みの基礎の上に木造の社を持つものなどですが、そのしつらえにタイルづくりを取り入れたものもしばしば見受けられます。今も街角に残るホコラには、それらが地域に受け継がれ、奉られてきた信仰の対象である事を伺い知る事が出来ます。また、しばしば目にするタイルづくりのホコラには、それらが受け継がれるにあたり、今日的な都市の様相を取り入れてきた歴史や変遷に思いを馳せるとともに、タイルという建材の持つ清潔さとホコラの持つ神聖さが無縁ではないだろう事を想像させます」)

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(お洒落なカフェの2階にギャラリーが。京都の街角にある地蔵祠を写真と造形で再現。たしかにタイル祠もけっこう多いですね。お供えもあり。特製MAPとオリジナルの「ご詠歌」がすごい!)

トークには「タバコ屋とタイルの会」の主要メンバーの皆さんも登場。会場は満員御礼。(地蔵祠がメインテーマですが)タイルと名のつくイベントが満員^^ すばらし!

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(祠周辺で採集されたタイルのカケラによる演出装飾。タイル研究の中村裕太さんによるもの。こういう発想は私にはできない。動きがあって面白いですね。タイルが軽やか。右上は大人気の和製マジョリカタイル風活用祠の再現)

自分が知りたいテーマを追いかける、現場を歩き、聞き、話す。記録し、創り、そして表し、外に向けて開く。そのマジさ、邁進感。同時に、楽しく見せる、人を巻込んでいく軽やかさや遊び感覚がいいなと思いました。

(イスラームのタイルについて、ここにいろいろ書いていたけど消去しました。自分のできることを少しずつやるのみ!!喜怒哀楽に流されて、それを忘れてしまう。いかんです!反省です!)

ちょっと疲れたけど、行って良かった、関西旅。次は、河井寛次郎さんゆかりの山陰、あるいはやきもののメッカ北九州。行きたい。
by orientlibrary | 2014-08-24 21:13 | 日本のいいもの・光景