イスラムアート紀行

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”みかわち焼”、やわらかな白と淡い呉須、超絶技巧が織りなす優美な陶世界

前回更新から時間が経ちました。時間の早さについていけてません。。こんなブログですが、どうぞよろしくお願いします。

この間、いろいろ見たものはあるのですが、今回は記憶の新しいところで、「江戸の美、明治の技、現代の匠  長崎 みかわち焼展」(渋谷ヒカリエ8階にて/1月20日まで)について。ライブトーク「みかわち焼めぐり」(講師:荒川正明さん)のお話を軸に、展示会場を巡るイメージで、ご紹介したいと思います。

* みかわち焼 * 400年の歴史をもつみかわち焼。江戸時代には平戸藩の藩主のための器や献上品をつくる「御用窯」として、篤い保護のもと採算を度外視したような繊細なやきものを残しています。幕末から明治・大正・昭和初期には、ヨーロッパへの輸出のための洋食器や宮内庁御用達の食器など、一時代の工芸を象徴した存在でした。こうして培われた職人技は、いまでもDNAとなり受け継がれ、うつわづくりが続けられています。(チラシより)

*「 」内=トークより、荒川さん、みかわちの作家の方、コーディネーターの坂井さんの言葉/写真の説明及び情報部分は、会場の展示解説、冊子「みかわち焼の見どころ・勘どころ」、チラシ等を基にしています。

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(会場光景。江戸〜幕末、明治、大正、昭和初期のものから現代の作品まで貴重な名品揃い!「美術館や博物館に展示されているほどの逸品が、オープンな場で見られる。あり得ない。照明もいいし見やすい」と荒川さん。ガラスケースの中のものは撮影も可で嬉しい。下段左はライブトークの様子。熱心なオーディエンスがたくさん。作品を見ながらお話を聞けるので臨場感がありました)

16世紀末から現代に続くみかわち焼ですが、その歴史や功績がきちんと認識されたのは、この10年くらいのことなのだそうです。

「みかわち焼は、江戸時代、幕末明治は細工物で有名だった。平成10年以降の研究でわかってきたのは、これまで柿右衛門と言われてきたものの中にみかわち焼が入っていたこと。平戸藩三川内皿山代官所跡の発掘調査では柿右衛門と同じようなもの、余白を持ったものが出てきた。浅草の松浦家の屋敷の調査でも、ものすごくきれいな元禄前後の染付がたくさん出てきた。これまで肥前や有田として報告されていたものも、再度見直したらみかわちということが多い。みかわちを見逃していた。研究者の間で、やっとみかわちの本当に歴史が認識されてきた」

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(染付草花文輪花皿/江戸時代/高級食器としてつくられたものと考えられ、皿の中央〜見込み〜部分は無地に二重の線、その外側にはボカシ濃みによって地面と大胡石と草花が描かれている)

「有田では18世紀には量産が始まり雑器生産に向かうが、みかわちはこの(高い)レベルを維持し、18世紀になっても16世紀と同じ仕事している。余白があり繊細なタッチで秋草などを描いている。鍋島の藩窯と同じような松浦藩の藩窯。江戸中期にもレベルの高い仕事、いい仕事をしている」

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(白磁水差/江戸時代後期/蓋の表面には、原料に含まれる鉄分がホツとなって現れている。本来、磁器製品としては白い肌を損なうマイナス点になるが、長石分が多かったと推されるマット調の釉と調和し、むしろやわらかい印象を生み出した)

「白磁水差しは、やややわらかい感じ。なにかあか抜けた白磁の美しさ、破綻のない造形の美しさ。ヨーロッパでは磁器の時代、白磁が流行した時代。そういう世界の流れにしっかり沿いながら磁器の仕事を九州でやっていた。海外に近い、世界に開かれた造形感覚がここにあったと感じる。日本の磁器の中では異質な世界、真行草の真につながる造形を感じる」

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(献上手唐子絵銘々皿/江戸時代末期/器の中央部分に二重線が引かれたものを「献上手」と呼ぶ。七人唐子、松、蝶など)

「唐子絵銘々皿は典型的な唐子。18世紀の後半から作られた有田より先んじて中国モチーフを取り込んだ」

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(染付雀竹文大皿/江戸時代/雀の躍動感と中央部の二重線、内部の大胆な余白で見る人にサイズ以上に大きな印象を与える)

「雀竹皿。周辺のものを自然に使う。色合いも自然。土を作るにしても今は精製する。鉄分を抜くので白い。これを抜ききらない侘び寂び的なものは当時の特徴。みかわちでは、天草の土を先端的に取り込んできたが、地元の土を混ぜながら発展した。地元の土を入れることで細工しやすくなった」

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(上2点は大正時代のもの/染付透彫香炉〜透し彫りは器面の一部をくり抜いて模様を施す/染付菊文献上徳利〜淡い呉須の色や底に近い部分の唐草の線がみかわち焼ならではのもの)

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(上部に龍の細工、染付で唐獅子の絵、下部に剣先模様)

「(↑上写真)、繊細な技法を駆使した細工物。龍に唐獅子の絵。有名な狩野永徳の獅子には渦巻きがあり大きな気を宿している感じがするが、この獅子にはものすごい細かい渦巻きが全体にある。勢いがあり素晴らしい」

「狩野派の絵師がみかわちに来た。絵師が原画を描き、やきもの職人が描写していく。日本画をベースにしている。染付の濃みでぼかしていく。筆跡がでなくて日本画のようなぼかしがでる。その効果がこの染付の特徴」

「文様は剣先が多い。武士の心。失敗を恐れず挑戦する。変なものを世の中に出さない(心意気がある)」

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(左:白磁毛彫虎置物、江戸時代後期、髭や眉毛も彫られているのが釉のたまりによってわかるが、口の中の細かい歯や瞳には釉をかけないことでリアルな表情になっている/右:菊彫文鎮、明治15年、菊花飾細工、一枚ずつ切り起こして生まれる花びら)

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(染付秋草文椀/江戸時代/江戸時代末期以降のみかわち焼は「薄づくり」が特徴のひとつになるが、その100年ほど前に、この当時としては薄く精巧につくられた高級食器。淡い呉須で、野菊などの秋草が繊細に描かれている)

「江戸中期の蓋椀。有田や波佐見がくらわんか茶碗のようなものを作っている時に、みかわちでは量産だと思うが緻密な絵付けをしている。余白を持っており、いい仕事。18世紀にこういうものがあったことに驚く」

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(染付鯉陽刻花瓶/江戸時代後期〜末期/藍色の鯉に重なるように動いた白い鯉は、「置き上げ」の技法で描かれている。器本体と同じ土を水に溶いたものを何度も塗り重ねるようにして描き立体感をつくる)

「鯉が二匹。白い泥を塗って盛り上げる置き上げという技法。浮世絵でも広重に盛り上げる表現がある。時代の流行を取入れ、やきもので重要な部分を浮き上げたのだろうか。魅力がある」

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(染付菊文角形水滴/明治時代初期/一枚一枚の細かい筋に至るまで描き、曲線が強調された花びらは、菊の流麗な魅力を引き出す。細密な描写とみかわち焼特有のボカシ濃みによって、絵画的な立体感をつくり出した)

「水滴。文房具、李朝が有名。菊水の意匠、永遠の命、吉祥。みかわちには菊の模様が多い」

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(中里陽山/昭和時代に名を馳せた陶工。卓越した絵付け技術。形のバランスやその薄さはみかわち焼の伝統。近代のみかわち焼の技術を体現/左はデミタスカップ、右は菊紋章入椀皿。薄づくりの皇室用食器としてつくられた。江戸時代以来のみかわち焼の特徴である淡い呉須が使われており繊細)

「品がいい。白磁の薄さは透けて向うが見えるくらいだ。ハレというか日常でも使いたい。欲しい」

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(現代の2点/虫籠鈴虫、嘉久房窯/白龍、嘉久房窯)

会場で頂いた『みかわち焼 散策ガイド 見方、買い方、歩き方』という冊子が充実!染付、唐子、透かし彫り、手捻り、菊花飾細工、置き上げ、薄づくりといった技法から、歴史、やきもの用語集、古写真、散策マップまで。ハンディサイズのこの冊子を持って歩けば、初めてでもスムーズに窯巡りができそうです。

昨年1月に引き続いての展覧会拝見。みかわち焼の端正・優美で品のいい佇まい、超絶技法を駆使した細密な表現、やわらかい白地、淡い青、薄づくり。美しいものに出会う、触れる幸せに存分に浸ることができました。作家の皆様、協同組合の皆様、開催準備をしてくださった皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。


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次回は、こちらも陶酔の陶芸美、板谷波山(現在、出光美術館で「板谷波山の夢みたもの」開催中)について、日本の陶芸超ビギナーが素人目線で、素直に感じたことを書いてみたいと思っています。

&青の釉薬づくりも最終局面に入ってきました(と期待!)。

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(透明釉レシピは決定。3種類比率替え呈色剤を加えた下段左の6つのピースの中から一つ、望みの青が輝きますように。青の名前は「リシタンブルー OLK(オルカ)」=orientlibraryとカドヤ先生のイニシャルで=にしようかなとかイメージ先行、どんどん広がってます。青ができたら、いろいろ作ってみたいな〜)
by orientlibrary | 2014-01-20 00:47 | 日本のタイル、やきもの