イスラムアート紀行

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かたち・きもち、民藝のうつわ、カンタ刺し

瀬戸から戻って1週間。この1週間、たくさんの「民藝のうつわ」に触れました。民藝のうつわ自体は、これまで見ていなかったわけではありません。が、この1週間、若い人たちの「民藝のうつわのある暮らし、空間、食」とでもいうようなテイストに出会いました。出会ったというよりも、興味が高まり、どうなっているのかな、どうしてなのかなと、どんどん出かけて行ったのです。

先週日曜日、瀬戸本業窯、民藝とのつながりの深い窯でギャラリーや資料館を見せていただきました。三彩、黄瀬戸、緑釉など、とても魅力的で使いやすそう。時間がなく、大急ぎで分けてもらった皿、やさしい色合いで軽くてサイズも程よくて使いやすい。手抜き料理も美味しく感じられて、とても満足です。

このようなうつわは、どこで買えるものなのか、ネットを見てみると、カジュアルなテイストの民藝の器や雑貨を販売するサイト、実店舗、けっこうありました。30代くらいの人がやっているみたい。え、そうなんだ、、民藝って今こうなってるんだ、人気の窯元があり、セレクトされ、程よい品揃えと価格で販売されているんだ、、この時点で、かなりの驚きがありました。

 注釈です。「民藝」と「民芸」。その違いはよくわかりません。後述の『日々、うつわ』によると、「柳らが「民藝」の言葉を使い始めた当時は、「藝」には「草木を植えること、修練によって得た技能」という意味があり、「草を刈る。香草の名」を意味する「芸」とはまったく異なるものであった。現在の使い分けとしては、元来の民藝の考えを踏襲するものは「民藝」、郷土色の強いもの、和風のものなどは「民芸」があてはめられることが多いようだ」とありました。わかりやすい説明です。今回の内容は、展覧会名や書籍での使用が「民藝」。個人的には旧漢字はあまり使いません。が、本文でだけ民芸と書くのもごちゃごちゃしてしまうので、民藝で統一しようと思います。今後はまた考えます)

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「日々、うつわ展 〜民藝のうつわのある、おいしい日常〜」

たまたま、東京ジャーミー(代々木上原)のすぐ近くの「CASE gallery」で、「日々、うつわ展〜民藝のうつわのある、おいしい日常〜」という展示が開催中であることを知りました。またしても土砂降りの雨でしたが、行ってきました。びっくりでした。

白い壁のシンプルな空間、木の展示台に各地のうつわ、壁にそのうつわに料理を盛った写真パネル。ギャラリーの方(坂元さん)とギャラリーが醸し出す、ナチュラルでデザイン感の高い雰囲気、なんだか「北欧」を感じていましたが、やはりというか、北欧と縁のあるスペースなのだそうです。厚かましくいろいろ聞く私に、坂元さんが親切に、そして端的に答えてくださってありがたかった。いまどきの「民藝のうつわ」、その感触をつかむことができました。

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(沖縄読谷北窯、小鹿田、小石原、石見など全国14の産地のうつわ/各産地のうつわのかたちや色にあった料理の写真と説明/お気に入りの小石原焼・飛び鉋皿を持つ坂元さん)

民藝のうつわが最近とみに好きになったという坂元さん、使いやすくて価格も手頃なのがよい、と。こういうセンスのいい人たちが手仕事のやきものを取り入れるようになる。うれしいですね。

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(やっぱり魅力的、一堂に揃ったうつわたち。北欧と和は重なり合うものがありますね。4枚のなかでひとつ、北欧の器集合写真があります。どれでしょうか?!)

書籍『日々、うつわ〜民藝のうつわのある、おいしい日常〜』(萩原健太郎著/誠文堂新光社)。9月末の発行。著者は1972年生まれ。簡潔な温かい文章で伝えたいことがよくわかります。

「全国の民窯をめぐるうちに、日本にはこれほど多くのうつわがあること、それぞれに地域に根ざした伝統や技術があることを知る。しかし、それらは価格も手頃なのにもかかわらず、日常のなかで見かける機会は多くない。(中略) うつわそのものを紹介するのではなく、うつわは使ってこそ輝きを放つことを証明したかった。料理のチカラを借りて、うつわの素晴らしさを伝えたいと思った」

料理がまた、いい。見かけだけのこじゃれたレシピじゃない、骨太な料理。筑前煮、かぼちゃのスープ、たまごサンド、ハンバーグ、親子どんぶりなど。これがおいしそうだし、器と合ってる。うつわが欲しくなる。これこそ、うつわと料理のしあわせなレシピ。

展覧会はすでに終了していますが、会期中にはトークイベントも。「民藝から北欧のデザインまで」「山陰のうつわ、料理、旅について」「調理から盛りつけまでの実演」も。「いま」を感じます。

このようなうつわを扱っている店がありますよ。え、それはどちらですか!?ということで、CASE galleryで教えてもらった「SML」(エスエムエル、ショップ、恵比寿)と「SMg」(エスエムジー、展示主体、目黒)に向かいます。

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「最高に美しいうつわ tableware as life」

目黒川沿いの道から少し入ったところにあるSMg。「因州 中井窯の仕事」展を開催中でした。黒いジャケットの眼鏡男子がじっくりセレクト中で、6点ほどまとめ買い。

因州中井窯は、緑、黒、白の染め分けが特徴。前述の『日々、うつわ』によると、「柳親子に愛された山陰を代表するモダン民藝」。和の力強さと感性が伝わります。インパクトがありますね。

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(SMg。「因州 中井窯の仕事」展。スッキリした店内、ユーズドの木の什器が陶器の味わいを引き立てています)

こちらでSML監修の書籍、『最高に美しいうつわ』(エクスナレッジ/2013年4月発行)を購入。安西水丸氏の推選の言葉=「うつわ、陶芸家、店、すべてがセンス良くまとまったこんな本ができたことがうれしい」。同感。作家、うつわを扱う店舗やカフェのオーナーなど、様々な角度から、うつわ、思い、伝統を受け継いできた土地、風土、人々を見つめます。「今」が伝わる。写真がとてもいい。深い魅力を引き出しています。

徒歩でSMLへ。恵比寿らしいかわいいお店ですが、小鹿田焼、砥部焼など、上の2冊の本に登場する民藝のうつわたちが並んでいます。値段も数千円台が多い。民藝の店というと、敷居が高く独特の雰囲気、知識がないと恥ずかしいというイメージもありましたが、今の民藝のお店は気さくでカジュアル。暮らしのなかで使って欲しいという思いが伝わります。

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(SML。手作り風の店内。人気は「やちむん」や「スリップウエア」。スリップウエアはファンが増えていてイベントなどもあるそうです)

SML、SMg、ともにこの数年内のオープン。話を聞いたスタッフの方々も、出会ったのはこの数年内とのお話。書籍も今年2冊。それ以前には、『Discover Japan TRAVEL 民藝のうつわをめぐる旅』(2010年)、『民藝の教科書1 うつわ』(2012年)も。今回は、「行ってきました!」だけで、とてもまとめられません。いつかまた書きたいと思います。

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(左2点:瀬戸本業窯にて。上はクバの草ビロードと黄瀬戸の経年変化/右3点:本文でご紹介した書籍2冊。料理が美味しそう。写真もいい)

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カンタ、ラリーキルト

うつわから刺繍に話題は飛びます。民藝のうつわで感じた、伝統、継承、時代性、実用など。どの手工芸でも同じ課題や取組みや試みがあるように思います。

ブログでも何度かご紹介している刺繍家の望月真理さんの展覧会。真理さんは、インド東部のウエストベンガル地方などで盛んなカンタ(古い布のサリーをはぎあわせ刺し子を施し丈夫で美しい布に仕上げる)を現地で知り、調査と研究を続けています。「この文化の途絶えるのを惜しみ、シルクロードの終点である日本で受け継いでいきたいと願っております」。

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(ベンガルのカンタ)

真理さんは、カンタを日本人の眼と手と心で刺します。細密な手仕事、遊び心が魅力。ベンガルの大胆で明るい構図や色使いから学び、真理さんのカンタを、87歳の今も、日々、時間を惜しんで作り続けています。

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(真理さんのカンタ)
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(真理さんのカンタ)

そのカンタ、この数年、「ラリーキルト」として、とりわけクオリティの高い手仕事のストールなどが紹介され、人気となっています。先日、横浜「エスニカ」の「染まるインディア」という展示とイベントで、コカリさんの展示を拝見。いつもながらセンスいい。

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(ラリーキルトのストール。インドの手仕事はすごい)

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(展示とイベント「染まるインディア」@エスニカ。陽射しが差し込む居心地良い展示空間)

ラリーキルト、初めて見たときから、どんどん洗練度が高まっている気がします。カンタ、ラリーキルト、時代や人々の思いのなかで、どのように変わらない芯の部分と変化する姿を見せてくれるでしょうか。

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最後に、今日、たまたま発見!北欧の雑貨のオンラインショップ(北欧、暮らしの道具店)で、九谷の器の販売を開始と。「石川県の九谷焼の器の販売を
開始しました。当店でご紹介させていただく、
初めての和食器となります。『北欧の器』と『日本の器』。このふたつが絶妙にマッチしてくれることは、
これまでの特集やスタイリング写真などで、
何度となくご提案させていただきました。様々なものを組み合わせ編集する
楽しさをご提案できたらという想いで、
初めて和食器を仲間入りさせることにしました」だそうです。

北欧と和は重なり合うものが多い。まだまだいろんな動きがありそうです。

相変わらず長文ブログです。今の「民藝のうつわ」に興味を持って1週間、まとまりませんが、その時しか書けないものがあると思い、書いてみました。ふぅ〜〜(汗)
by orientlibrary | 2013-10-30 00:17 | 日本のタイル、やきもの