イスラムアート紀行

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眼福の幸兵衛窯。新緑眩しい美濃を訪ねて

数日前のことなのに時間の感覚がなく、「いい思い出」としてひとこまひとこまが蘇る旅。岐阜県、美濃・多治見。
日本の陶芸産地を訪ねたいと思っていながら、意外に腰が重い私。ぜひ行きたいと思っていた多治見は、これまで何度も宿泊予約をしたのにキャンセルする結果になり(ブラックリスト寸前だったかも)、なかなか行けなかったところ。今回がご縁のタイミングだったんだろうなと思う。鮮やかな新緑、五月の風と光、清流、真っ青な空、最高でした。もちろん陶器も、人も、食も。本当に行って良かった。
数日間の小さな旅ですが、幸兵衛窯、虎渓山永保寺、セラミックパークMINOなど、一度では書けない感じです。今回は、イスラーム陶器と和の趣きが大好きな私にとって、熱狂時間となった「幸兵衛窯」の一端を、写真中心ではありますがご紹介したいと思います。

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(JR多治見駅の陶オブジェ/1時間に1本のバスに乗り窯元が集まる山間の市之倉へ/土壁の蔵、大きな青空にクラクラしながら地図を片手に歩く/見えてきた幸兵衛窯)

(以下は幸兵衛窯ホームページを参照しています)
幸兵衛窯は1804年に初代加藤幸兵衛が開窯。間もなく江戸城本丸等へ染付食器を納める御用窯に。五代幸兵衛は、青磁、金襴手、染付、赤絵、天目など中国陶磁をはじめ、乾山、李朝など幅広い技法を駆使した名品を生み出し、幸兵衛窯の礎を築き上げました。
六代の加藤卓男氏は、ペルシア陶器や正倉院三彩の技法の復元で有名。ラスター彩、青釉、三彩、ペルシア色絵など伝統と独創の融合した作品を制作。人間国宝。
現当主、七代加藤幸兵衛氏は、桃山陶やペルシア陶器といった幅広い作風を展開。三十余名の熟練職人とともに品格ある和食器を制作しています。

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(幸兵衛本館。加藤卓男展示室/上右は加藤卓男さんの制作現場再現/旅先の日記やメモ。偉大な仕事をする人たちは、記録からすでに違うと、いつも思う。一日の疲れもあるだろうに、旅先の宿でこのような正確で美しい日記を書くこと自体がすごい。すでに作品!)

主な展示館が3つ。とにかく建物全体が重厚で素晴らしい。内部の展示や調度も、本物逸品揃いでずっしり見応え。展示作品は一部ガラスケースに入っているけれど、多くはそのまま展示されている、、驚きです。数センチまで近づいても大丈夫。もちろん触らないけれど、伝わってくるものがある。「生」!しかも、写真撮影もOK。こんな太っ腹な陶器展示って、、私設ならではでしょうか。最高です!

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(加藤卓男氏作品。緑釉、青釉、ラスター彩、色絵)

代表作30点ほどとスケッチや日記。大作!ラスター彩!幅広い技法!それぞれに超一流の完成度。クラクラしつつ、「古陶磁資料館」へ。圧巻!言葉なし。

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(古陶磁資料館。約200年前の古民家を福井県大野市より移築。三階建て。庭園をはさんで桃山様式の半地上式穴窯/建物と陶磁器と調度としつらえと。贅沢な時間を満喫。ペルシア古陶、美濃古陶など)

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(古陶磁資料館の多彩な展示物は、最適な美しい居場所に)

入り口の青いタイルが目印の工芸館、五代加藤幸兵衛と当代の七代加藤幸兵衛の作品を展示。こちらも建物としつらえ、演出に熱狂。随所に飾られた花と器も和ませてくれます。写真は七代加藤幸兵衛氏が、この夏、テヘランの考古学博物館で展示するラスター彩。こういうものも惜しみなく展示されて、本当に感動です。

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(七代加藤幸兵衛氏のラスター彩。ペルシアのモチーフと日本的な感性。細密で上品!)

幸兵衛釜、当然陶磁器を見に行ったわけですが、驚いたのは絨毯の活用。日本の展示空間でこんなにたくさんの絨毯を見たことは今までありません。さすがペルシア陶器の研究者。ペルシアの美感を象徴するような手織り絨毯、その配し方と、流麗ながら枯れ感のある、どこか植物的な絨毯の数々を楽しませていただきました。

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(幸兵衛窯展示で使われていた絨毯、多数あった中の一部。真ん中のはバローチですか? →→→ こういう時はトライバルラグに詳しいSさんに♪「イラン南部のアフシャール族のもの」ではないかとのことです。南部なんですね。文様の構成が近く良し遠目良し、くたーっとしていて好きな絨毯でした。幸兵衛窯の絨毯、産地や文様それぞれ違うと思いますが、何か共通したトーンがあって興味深かった。やさしく素朴な洗練感のある野趣、的なものかなあ。セレクトする眼を感じました)

日本国内の観光名所を格付けするミシュラン・グリーンガイド・ジャポン(フランス語版)第2版改訂版(2011年発売)で、幸兵衛窯が再度2ツ星を獲得。「近くにいれば、寄り道をして訪れるべき場所」なのだとか。真っ当な評価ですね。(個人的には三ツ星ですが)

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(お気に入りのタイル/花のあしらい/日本やアジアの調度とやきものの組合せ。余白のバランス、色合わせ/ ラスター彩タイル!LOVE!!顔をくっつけるような距離でしみじみ拝見。これ普通はガラスケースの中ですよ、、淡い青がふわんとしてきれい!)

明治時代から盃の生産が盛んな市之倉町。「さかづき美術館」には行ってみましたが、窯元巡りは全然できていない。野と山と川のある郷、散策したい。

眼福の幸兵衛窯編、今回ここまでに。多治見シリーズ、続きます。

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by orientlibrary | 2013-05-06 23:55 | 日本のタイル、やきもの