イスラムアート紀行

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宮殿のタイル、ハレムのタイル

[タイルフォト・ギャラリー(12)「トプカプ宮殿」(イスタンブール)]

トコトコと機嫌良く出かけた先は定休日、、、がっくり・・・だけどさすが年の功、タダでは帰らない。何かを感じてあたりを見回すと、そ、そこには、なんとトルコのタイルが。そして黒々と記されていたのは「HAREM」の文字。おやあ、東京にハレムがあったんですか?!・・・どうやらトルコ料理のレストランのようですね。これまで見過ごしていたみたい。定休日に出かけるというドジでタイルに会うとは、これもご縁。そんなわけで今日は、お待ちかねの(誰が?)ハレム特集です〜。

e0063212_215763.gif(←青山で見かけたレストラン入り口付近のタイル)
 
ハレムといえば、イスタンブール・トプカプ宮殿のハレムが有名。私はトプカプ宮殿の中では、華美すぎない「バグダッド・キオスク」の青のタイルが好き。ハレムは確かにタイルはきれいだけど、女性の部屋の狭さに驚いたのと、全体に暗くてジメッとしていて、あまりいい印象はない。だから調べたこともない。で、この機会に本などをチェック!

まず「ハレム」はアラビア語。トルコの人は「ダルュッサーデ」=「至福の家」という言葉を使っているそうだ。トプカプ宮殿では、スルタン・セリム2世とムラト3世の時代に部屋数400まで拡張され、16世紀末までに「スルタンのハレム」が完成。17世紀になると皇子たちが取り巻きと一緒にハレムに留まったため人数がどんどん増加。19世紀までそのような状態が続いたという。

様々な民族の女性の数、300人。序列についての記述を簡略化すると、「アジェミ」(新参者)→「ジャーリエ」(愛人)→「カルファまたはウスク」(ジャーリエの中の熟練者)→「ギョズデまたはイクバル」(スルタンの寵愛を受けた愛人)→「カドウン・エフェンディ」(スルタンの子を身ごもった女性)。

で、なんとスルタンにはこのカドウン・エフェンディが4〜7人いたという。さらに、ここで終わらないのがハレム。→「ハセキ」(カドウン・エフェンディのなかでスルタンが特に愛情をそそいだ女性)→「ハセキ・スルタン」(男児を出産したハセキ)・・・長い旅路、恐るべし。

e0063212_28413.gif(→トプカプ宮殿/スルタン・ムラト3世の広間/『トプカプ宮殿』オリエントLTDより引用)

トプカプ宮殿は、専有面積70万㎡という広さ(モナコ公国の半分に相当!)。トプカプとは「大砲の門」を意味する造語だという。1467年、金角湾の高台に完成した後、16世紀末にハレムを増築。1839年にボスフォラス海峡沿岸の「ドルマバフチェ」に移転するまで、公的な式典や国家行事のために使われた。数世紀を通じて、機能の異なる施設が増築されてきたことから、各時代の特徴を見ることができるのも魅力。

私は「スルタン・ムラト3世の広間」など、16世紀の頃のただずまいが好きだなあ。バロックとかロココとかが入ってくると私は苦手。退廃的な匂いを感じてしまう。18世紀にはさらに、ヨーロッパの影響で壁面はタイルよりも絵画になってくる。イスラムデザイン好きには辛い。

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(バグダッド・キオスクの壁面タイル)

素人の私の知る範囲だが、タイルに関しては、トルコ関係がいちばん書籍や資料が多いように思う。さらに街でもタイル写真のポストカードなどもたくさん売っているし、茶碗など陶器類も選択肢が多い。

タイルといえば、トルコ、イランという印象を維持しているのは強いなと思う。トルコのタイルは14〜17世紀の美しい壁面タイル、花模様や幾何学模様が有名。勢いのあるタイルを見るのはワクワク。そういう意味でも、退廃の香りを含むハレムのタイルはちょっと苦手というのが、今日の正直な結論です。
by orientlibrary | 2005-11-30 03:06 | 中東/西アジア