イスラムアート紀行

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「東京ジャーミー」開堂75周年、タタールから日本へ

お寺や神社、やはり馴染みがあるというか、落ち着くし安心します。庭や参道も美しく五感に響き、記念の品購入なども楽しみ。
一方で、モスクに行ったときの独特の高揚と安らぎと心の静けさが、とても好きです。西アジア、中央アジア、建造物としてのモスクの魅力は圧倒的。ただ、内部、礼拝の場に、女性が入ってはいけないところもあるし、イスラム教徒以外は入れないところも。真摯な信仰の場に立ち入ることは、気軽にフラッと、というわけにはいきません。

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ところが、誰にでも扉を開き、拝見できるモスクが日本にあります。東京渋谷区大山町。小田急線(千代田線)代々木上原から徒歩で5分くらい。都心の便利な場所。白い大理石で作られた堂々としたオスマン様式のモスクです。建築材の多くはトルコからのもので、建築家や職人さんなど100人近いトルコの方々が来日して作業されたそうです。

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(ムハンマド生誕記念イベントのチラシ/外観はwikipediaより。タイルばかり撮っていて外観撮ったことがない。一度チャレンジしてみよう/ディテール、細工や仕上げが本格的)

今回は、ジャーミーのサイト(アクセスすると音が流れますので仕事中の方はご注意を?!)などから、このモスクの歴史を見てみたいと思います。(一部は要旨)

* 1917年ロシア革命の後、中央アジアの国々に居住していたイスラム教徒はさまざまな拷問や弾圧を受け、生命の危機を逃れるために、海外への移住を始めました。その一部は、中央アジアからシベリア鉄道を通って満州に移動・定住し、他の一部は小規模な商売をしながら韓国や日本に定住を始めました。

* 自国から逃亡し満州に定住した避難者にはパスポートがなく、海外渡航のためのビザを取得できませんでした。しかし当時、日本政府が1500 円の保証金の代わりにビザを発給することがわかり、1920 年代に満州に逃亡していたカザン州のトルコ人が、日本に移住を始めました。

* カザン州のトルコ人は、短期間で日本の生活になじみました。特に日本の気候は、彼らにとって快適でした。1922年の東京大震災発生の後、アメリカ政府は東京在住の外国人を救助するため、アメリカへ招待し横浜港に特別船を用意したにもかかわらず、カザン州のトルコ人はこの招待を断り、日本を離れませんでした。最初に来日したカザン州のトルコ人は神戸と東京に定住し、東京で最初の定住地となったのは大久保でした。

* カザン州トルコ人の増加する子供達への教育に対応するために、1931年に富ヶ谷に建物を購入。生徒達は、トルコ人とタタール人教師から、トルコ語、タタール語、英語、ロシア語を学び、小学校課程の全授業を日本語で学びました。1935年校舎が建てられ、富ヶ谷から学校が移転。1938年、校舎脇の土地には、東京ジャーミィが建設されました。

Wikipediaには次のような記述がありました。「この礼拝堂の建設の背景には、当時の日本政府の国策としての対イスラム宣撫政策があり、建築資金は日本側の寄付によってまかなわれた。さらに、落成式には頭山満、松井石根、山本英輔ら、大日本帝国陸軍や海軍の有力者が参列した。これが東京ジャーミイの始まりであり、開設後のイマームには、国際的に知られたウラマー、アブデュルレシト・イブラヒムが就任した」

ひとつのモスクの歴史の中に、ときどきの国際情勢や状況が入り組んでいるのですね。発端がロシア革命であること。1920年代の日本政府がビザをお金と引換えに発給したこと。そして移住したのは「カザン州のトルコ人」ということ。1938年のジャーミー建設には日本政府の思惑があったこと。

「カザン州のトルコ人」、カザン、、わかっていません。「タタールスタン共和国の首都。タタール文化の中心であり、多くの文化遺産やカザン大学などの教育機関が集積している」。タタール!「日本では、古くは中国から伝わった韃靼(だったん)を使っていたが、現代ではロシア語風にタタールと呼びかえることが一般的である」。韃靼。わ〜、これはもっと調べないと、いい加減はことは書けません。

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(カザンの写真をwikipediaから引用してみました/左下はロシア連邦内のタタールスタン共和国の位置、右下はタタールスタン共和国内のカザンの位置。Wikipediaより)

1986年に老朽化のため取り壊され、現在の建物は2000年に立て直されたもの。今年で開堂75周年なのだそうです。

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(礼拝堂のタイル。様々な花が愛らしい。高所なので手ぶれでボケてしまってます、、)

この東京ジャーミーについて、もっとも詳細に紹介しているのは、ブログお友達「写真でイスラーム」さんだと思います。あらためて見てみると、やはり素晴らしい。しかも20もの記事があります。とくにカリグラフィーの説明は、他では知ることのできないもの。読み方や内容まで紹介されています。本当に素晴らしい。ステンドグラスや大理石細工、クルアーン台まで。引用させて頂こうと思いましたが、全部になってしまいそうなので、どうぞ直接にお出かけください

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(随所にあるカリグラフィー。細部の細工も見応えあり)

引用ばかりの今回ですが、アップしようと思います。青葉の季節、東京ジャーミー散策も良さそうですね。5月17〜19日は「トルコ・タタール文化の日2013」という催しがあるようですよ。

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(トルコ縁で、「青の魅惑」展出展作品より、トルコの作家作品。メフメット・コチェルさん(作品左と右。細密な絵付け)、アディル・ジャン・ギュヴェンさん(中のタイル。モスクのランプ、蛇、双鳥)。お二人ともイスラームの良き精神を感じる寛大で温かいお人柄。作品には思いが込められていると感じました)

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<コメントをしばらく閉じさせて頂きます> コメント欄へのジャンクメール(コメント、海外から?)がまた増えてきました。消してもまた、です。当面コメント欄を閉じたいと思います。ご了解頂けましたら幸いです。
by orientlibrary | 2013-04-22 00:13 | 日本のいいもの・光景