イスラムアート紀行

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レンガだけで生み出した典雅な美 サーマーン廟

本郷の東洋文化研究所(東京大学)に、深見奈緒子さんの「イスラム建築」の講演>を聞きにいきました。キャンパスには、何やらこじゃれた建物も建ち「法人化した東大」をわかりやすくアピール。おしゃれな東大グッズを青山あたりのショップもびっくりのディスプレーで販売し、接客もこなれてお上手。「入試要項」が「ご自由にお持ちください」の箱に。そう言われても。。

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深見さんは十年くらい前にイランの建築の講座を聞いて以来のファン。3月に『世界のイスラーム建築』(講談社現代新書)を上梓され、豊富な現地調査に基づき多様なイスラム建築の事例をわかりやすい文章で紹介しています。

造詣の深い人ほど謙虚だなあと思わせる穏やかな語り口の先生。せっかくの機会なので、先日のウイグルのタイルやウイグルのイスラム建築について質問してみました。注目のその答えは!?

◇  ウイグルは中央アジアとのつながりが強い。カザフスタンの一部という印象だ。建築も中央アジアの影響を受けている
◇  しかし漢族の建物は中国のもの。木造で壁、瓦
◇  タイルは、アバ・ホージャ墳では確かに染付風や黄土色や緑も使われている。しかし14世紀にできたイーニンの廟などではシャー・イ・ジンダ廟と同様のタイルが使われている。またサファヴィー朝にも染付みたいなものがあるし、ヒヴァやコーカンドのタイルにも染付や黄土色や緑のものがある
◇  イルハーン朝の都だったスルタニエの遺跡「ビアール」には、石造の龍の浮き彫りがある。中国の影響だろうか
◇  中央アジアの建築は、中国と影響しあっている。そしてウイグルの建築は両方から影響を受けている。しかし、タイルに関して言えば、やはり磁器ではなく陶器なので、中央アジアの影響が大きいだろう

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なるほど、やはりユーラシアの東西からの影響を受けているんですね。そこで、中央アジアの影響という流れで、昨日の「日干しレンガ造・干し葡萄作り小屋」を彷彿とさせる?!ウズベキスタン・ブハラの「サーマーン廟」へとGO!『世界のイスラーム建築』の中にも「煉瓦に織り込まれた古拙の美」として紹介されていますよ〜。

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9世紀に建てられたこの廟は、10メートル四方の立方体にドーム屋根が乗ったもので、建物としてはこぶり。でもレンガだけでここまで変化をつけられるのかと驚く工芸品のようなディテールとデザイン感覚が見事。積み方や凹凸による陰影が、素朴ながら高度な装飾となっている。

『世界のイスラーム建築』によると・・・「焼成することによって耐久性を増した煉瓦は、建築表面を飾るために特別な形や細工を施すようになった。さらに皮膜材としての焼成煉瓦には、表面に色や光沢をつける釉薬が使われるようになる。こうしていわゆるタイル技法が成立するわけであるが、サーマーン廟は17世紀イスファハーンの青く輝くタイル文化の素地となる、工芸的な焼成煉瓦の装飾法を伝えている」・・・その後のタイル装飾につながるサーマーン廟、タイル界のクラシック!!当然、世界遺産です。
 
* 写真は、(上)(突然ですが・・)ウズベキスタンの特産品・綿花、(中)サーマーン廟・外観(『SAMARKAND BUKHARA KHIVA』 / Flammarionより引用)、(下)同・ディテール
by orientlibrary | 2005-11-25 02:12 | ウズベキスタンのタイルと陶芸