イスラムアート紀行

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長崎みかわち焼/0円新政府/イスラエル音楽/インド音楽受容と変容

◆ みかわち焼 ◆

清らかな白と青に惹かれました。長崎みかわち焼。日本のやきもの産地のことを本当に知らず恥ずかしいですが、みかわち焼、今回初めて知り、見ました。(「技巧の宝、発見 ヨーロッパを魅了した 長崎みかわち焼展」/渋谷ヒカリエ8階/1月21日まで)

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(DM等を撮影したもの。会場での撮影禁止だったため、残念ながら作品の写真がありません。リンク先などご参照ください)

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<以下、みかわち焼オフィシャルサイトより>
江戸時代、現在の長崎県佐世保市に技術の粋を集めたやきものがありました。そこで焼かれたやきものは、藩の名称から当時は「平戸焼」、現在は「みかわち焼」と呼ばれています。このやきものは、藩の厚い保護を受けていたため、江戸時代のさまざまな経済の荒波に巻き込まれることなく、技術の粋を極めた細工 ものや茶道具などをつくり続けることができました。
幕末(1800 年代半ば)からは、コーヒー碗をはじめとする薄手の食器や繊細な造形の「細工もの」が輸出され、20 世紀半ばまでヨーロッパで高い評価を得ました。その一部は、大英博物館やヴィクトリア & アルバート博物館などにも収蔵されています。
大量生産や廉価な商品が普及する高度成長期以降は、この一つひとつ手仕事でつくり出していくみかわち焼は、時代に取り残されて、知る人ぞ知る存在になっていました。
しかし2010年代になり、このやきものが、再評価され始めました。お殿様の器をつくるために採算を度外視した素材選びと、高度に進化していった職人技は、DNAとなって、いまも随所に受け継がれています。近年は江戸時代から近代の名品の再評価し復元や、伝統技を活かした現代の器づくりを積極的に取り組んでいます。
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青の陶器やタイル好きのorientlibrary、これまで見ていた西アジア、中央アジア、そして中国、朝鮮、いや日本の他の染付ともまた違う青の世界に惹かれました。あくまで個人的な感想ですが、一言でいうと、清潔。繊細清楚はもちろん、さらなる清潔さを感じました。浄らかな青の世界。あくまでも淡い呉須の色合い、その濃淡で表現される図柄、透き通るように薄い「薄胎」磁器やレースのような透し彫り。夢の世界でした。

ふだんは地元の美術館に展示されている陶たち。今回の展示作品以外にも現在の窯元の作品も上品で優雅。(豆皿例)海外で評価が高いのも納得できます。いつか佐世保に行かなくては。

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◆ 新政府樹立 ◆

話題はガラリと変わります。「坂口恭平 新政府展」(ワタリウム美術館/2月3日まで)。
『TOKYO 0円ハウス 0円生活』『0円ハウス』『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』『独立国家のつくりかた』などの著書、太陽電池パネルと車輪をつけた「モバイルハウス」、その制作過程を描いたドキュメンタリー映画「モバイルハウスのつくりかた」、さらには「新政府樹立」宣言で注目を集める坂口恭平さん

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(引用:HP「0円ハウス」/引用:ワタリウムHP/青山の「ゼロセンター」、パスポートをもらった)

早稲田大学建築学科(石山修武研究室)時代に路上生活者の家と出会う。幼少期の興味も関連して、身の丈に合った家を試行錯誤。多摩川の河川敷に長年暮らす“多摩川のロビンソンクルーソー” を師匠に、細部まで教示を受けながら、制作費2万6千円、二畳のモバイルハウス(車輪が付いていれば住居とはみなされない)を作り、駐車場に設置して暮らす。徹底的にコンパクトながら思いのほか住み良い「家」。
会場にモバイルハウス実物が展示されていて、入ってみたけど、採光も良く、住んでみたいと思うくらい快適感があった。茶室という日本の価値観、美意識が生きているようにさえ思えた。

これまで、ホームレスは新しい生き方という捉え方や、ゼロ円でゆたかに生きていくという彼のテーマに興味を持ち、本も読み、映画も見た。けれども、なぜか後味が悪く、納得できず、、なんだろうと思っていた。今回展示を見て、ちょっとだけなぜかがわかった。坂口さんはアーティスト。徹底的にアーティスト。独特の才能のある人だと感じた。かつ弱みも全部見せて繊細。
社会活動家とも言われており、プレゼンテーション力が高く目立つせいか、企業や自治体からのオファーも増えているようだけど、あまり活動家として期待したり追い込まない方がいいのではと思う。躁鬱病を公言しており、1週間程前から「体調不良」(鬱期)でトークなどをキャンセル。マイペースでいきましょう。

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◆ イスラエル音楽シーン ◆

サラーム海上のエキゾ夢紀行 ─ シャローム・ イスラエル編」(UPLINK)。「中東、東欧、ロシア、アメリカ、バルカンの音楽がゴッタ煮になった現代イスラエルの音楽シーン」、ご興味ある方はリンクを参照してみてください。YouTube映像もあり。

ほとんど聴いたことのなかったイスラエルの音楽。そして現地の様子など、いろいろ考えさせられました。まず、驚いたのは、音楽の多彩さ、レベルの高さ。世界各地からイスラエルという「国」へ。その元々の世界各地の音楽を生かし、なかには現地ではすでに衰退した音楽がイスラエルで保持されているものも。(例えばイエメンの山岳民族の民謡など。イスラム原理主義が強まると音楽は排除される傾向がある)。

年末に、たまたまサラームさんのトークで、さわりとして数曲聴いたことがきっかけ。イスラエルの音楽シーン!?何これ?と興味を持ち参加したけど、聴いていなかったら行かなかったと思う。イスラムアート紀行、イスラエルには複雑な気持ちを持っています。イスラエルと聞いただけではね除けていたと思う。けれども、音楽としては、たしかに興味深かった。中央アジア・タゲスタン共和国のケマンチェ、サーランギーの音楽など、心に響いた。

イスラエルにも平和運動があり、真摯なジャーナリズムがあり、兵役を拒否する人もいる。すべてひとくくりに排除する考え方、気をつけようと思いました。私の壁は少しだけですが低くなりました。現実の「」がどうぞなくなりますように。

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◆ インド音楽 ◆

「インドを奏でる人々 〜その音楽受容と変容〜 インド音楽・舞踊増殖中の日本!今の姿をお見せします。」(東京音楽大学)。

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ライブとシンポジウムの二部構成。音楽&舞踊ライブは、南インド古典舞踊・バラタナティヤム/ヴィオラ・ダ・ガンバ、16、17世紀西欧のルネサンス音楽、古楽器演奏/ベンガルのエスラジ&タブラ演奏、向後隆さんの演奏一部聴けます/シタール&タブラ演奏/サントゥール&タブラ演奏。 

シンポジウムは、インド音楽が日本でどのように受容されてきたか、インド音楽自体の変容について。濃い内容を短い文章にするのは難しいです。興味深く感じたいくつかの点だけピックアップしたいと思います。

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・ インド音楽の最初の日本への紹介は752年。東大寺大仏開眼供養会にて天竺の音楽演奏
・ 明治期にタゴールソングの紹介
・ 戦前に東亜の音楽紹介(政治的野心のある地域の音楽に関心)
・ 1960年代〜80年代、小泉文夫さん等民族音楽研究者によるインド音楽研究と日本への紹介、啓蒙。ラヴィ・シャンカル等に衝撃を受けた人たちが矢も盾もたまらずインドに向かい音楽家に師事。(例えば今回の奏者でありパネラーの皆様。第1世代ともいえる方々かと思いました)
・ 1990年代、航空チケットも安価になりインドに行きやすくなった。滞在して音楽学習。演奏家として活躍するように
・ 2000年代、CD発売等。他の音楽ジャンルとコラボレーションも
・ IT産業の伸展等から海外在住のインド人増加。裕福なコミュニティ形成。インド人意識の高まり。自国の文化や芸能を重視。一方でインド以外で流行したインド音楽のスタイルのインドへの逆流も
・ 現在、ネットワークでの音楽学習も。スカイプを媒介とする師弟関係(インターネットグル)等
・ インドでインド人がおこなうものから、世界中にインド音楽をやる人が増えた。ローカルからグローバルに
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元々、シタールに代表されるように、一音めから、悠然たる世界、内面に向かうような音律に浸るインド音楽。昨今は、アンビエント、ヒーリング、ヨガ、メディテーションといった音楽ジャンルで親しまれているようです。
日本の演奏家の方々、素晴らしい演奏でした。試行錯誤しながら日本人としてのインド音楽、インド舞踊に真摯に取組んでいらっしゃる姿勢に共感しました。このような場と機会に感謝しています。

いわゆる異文化が受容され、各地の文化の中に融合していくこと、興味深い。中央アジアのものに置き換えて考えたりしたのでした。

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今回、写真が少ないので、やはり青のfacebookサマリーから。

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(聖者廟ビービー・ジャイウィンディー パキスタン/聖者廟ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟 カザフスタン)

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(青の陶器が描かれた絵 トルコ/二羽の鳥が描かれたリシタン陶器 ウズベキスタン/染付古便器 日本/青の余韻 イラン、トルコ、ウズベキスタン)

☆ご訪問、ありがとうございました☆
by orientlibrary | 2013-01-20 22:07 | 美術/音楽/映画