イスラムアート紀行

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明治の粋と美意識、憧れとおもてなし。染付古便器

このところ、また青に凝っています。青のfacebookを始めたのがきっかけですが、写真等を見返してみると、ますますそれぞれの青が美しく感じられます。歩いていても、空の青、水の青、街の中の青に目が行き、きれいだなあとうっとりしています。いよいよ病(やまい)に入ってきました。

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青のfacebookは、西アジア、中央アジアの青がメインですが、日本の青もしっかり見ていこうと思っています。そんなわけで、今日は染付古便器をアップしたのですが、以前の写真などを見ていると、、ブログでも書いてみたいなという気分になってきました。

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<INAXライブミュージアム「窯のある広場・資料館」内にある染付古便器のコレクション。以下同様>

染付古便器といえば、常滑市にあるINAXライブミュージアム。同館の展示は、質と量ともに圧巻です!一堂に並ぶ染付古便器は細密な絵付けが美しい逸品揃い。展示もブランド商品の売場かと思うような姿で、美しく整っています。

陶の芸術作品ともいえる明治の便器群を鑑賞していると、日本ってすごい、日本人の美意識と手技って素晴らしいという気持ちがフツフツと湧いてきます。

ネット検索でも、出てくるのは大半がINAXライブミュージアムのコレクションと解説関連。ていねいに解説されていてわかりやすいので、今回はライブミュージアム発信の情報から抜粋し、簡単なまとめをさせて頂こうと思います。

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トイレを美しく清らかに保とうとするのは、日本人固有の美意識です。明治、大正、昭和初期につくられた染付の便器は、青と白のシンプルな配色ながら、目を見張るほどの美しさをもち、日本のトイレ文化を象徴するものになっています。そのデザインには、日本人のきめ細やかな“おもてなし”の心を映し、海外の方からも高い評価を得ています。
※展示の古便器は、古流松應会家元の千羽他何之氏のコレクションが中心となっています。

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江戸時代後期、江戸の町では藍染めの着物と瀬戸産(愛知県)などの染付の食器が庶民に広く普及。「青と白」の取り合わせは粋でお洒落だという感覚が広がり、人びとにとってあこがれの対象となり、涼しさとみずみずしさの象徴となった。

ブームは明治時代に入ってからも続き、陶磁器製の便器にも「青と白」の装飾が施されるようになる。人目をはばかる空間だった便所は、視覚的にも精神的にも清らかな空間に。染付便器は一世を風靡。芸術作品と呼べるほど華麗で装飾性豊かな逸品がつくられた。
「染付古便器について」

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磁器製の便器が盛んに生産されるようになるのは明治時代の中期以降。江戸時代末期、当時一般的だった木製便器の形状を模して、陶器製の便器が瀬戸でつくられ始めた。陶器の素地を白化粧したのちに、青に発色する呉須(コバルト)で花鳥や草木などの模様が描かれた、いわゆる「染付」の便器。

当初はわずかな生産量だったが、濃尾大震災(明治24年〈1891〉直後から大量につくられるようになる。旅館や料亭、富裕層が復旧家屋のお客様便所用に、染付便器を設置するようになると大流行し、東海地方を中心に全国に普及していった。

華麗に染付が施された便器が一世を風靡すると、有田や平清水でもつくられるように。常滑では土管に多く見られる塩釉や、飴釉、褐色釉を掛けた便器が、信楽や赤坂では、白地に青釉を縦や横に流し掛けした便器がつくられた。

瀬戸では磁器製の便器の生産も始まった。美術品と見まがうほど華麗な文様が、内側にも外側にも施されていた。なかには、特別注文による作者の銘が入った、いわゆる“ブランドもの”もあり、非常に高価であったと思われる。

染付による陶器製便器は装飾性が高められていったが、明治38年(1905)頃になると、陶器製は変わらず染付が主流だったが、陶器より高価な磁器製便器は青磁釉を施したものが好まれるようになった。

さらに大正時代に入り、人びとの衛生観念が向上すると、都市部では人々の衛生観念が向上して吸水性のない磁器製便器を積極的に使うようになった。明治45年(1912)頃より、吸水性の少ない良質の陶器製染付便器が平清水でつくられはじめ、主に大正時代、東北地方を中心に出回り始めた。

大正12年(1923。関東大震災発生)頃には、陶器製の大便器も小判形が主流となり、青磁釉のものが多く出回る。昭和に入ると白色便器の関心が高まり、白磁の便器が増えた。
「古便器の変遷」

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白地に呉須で絵付けを施した染付便器の産地は3箇所あるが、ほとんどが瀬戸産。瀬戸では陶器と磁器の両方がつくられたが、磁器生産はわずか十数年。絵付けの技術も高いが、高価だったためそれほど普及しなかった。現存する資料はいずれも貴重である。 


有田では、わずか数年しか便器がつくられなかったようだ。現存する染付便器のうち、有田産と確認できているものは3点のみでいずれも磁器製。

瀬戸に遅れること約20年、平清水でも瀬戸を真似た陶製の染付便器がつくられるようになり、東北方面に出回った。鉄分を含んだ土に白い泥を厚く化粧掛けして染付が施されているため、瀬戸と産地の識別が可能。

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INAXライブミュージアムでは、陶磁器製便器やトイレに関係する資料・情報を募っています。問合せ等はこちら

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今週の青のfacebookから。

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<青のfacebook サマリー:青釉色絵金彩大壺(伝イラン出土、13〜14世紀)/イランの青色の花入れ(現代)/青花氷梅文壺(清時代、17〜18世紀)>

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<青のfacebook サマリー:タフテソレイマンの浮彫金彩タイル(13世紀/オリジナルのデータ(画像と解説)は、WEB「CAIS ARCHAEOLOGICAL & CULTURAL NEWS©」内「Takht-e Soleyman Tile on Sotheby’s Auction」)/リシタン(ウズベキスタン)の皿/トルコ・イズニックのアディル・ジャン・ギュヴェンさんの皿>

きもち、日の暮れるのが遅くなったように感じます。寒さきびしい今年の冬。春の足音に耳を澄ませたいですね☆
by orientlibrary | 2013-01-12 21:00 | 日本のタイル、やきもの