イスラムアート紀行

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日本の眼力。東洋文庫、民家ギャラリー、遊牧民織物コレクション

秋は各地で、祭り、コンサート、展覧会、映画祭、イベント等が多数開催される季節。今年は秋晴れの日が多いせいか、公園や散策路なども含め、各所とても人出が多い印象です。
今回は(脈絡がないのですが)、興味深いスペースと手工芸の展示をいくつかご紹介、です。

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まず、2011年10月、新たにミュージアムを併設してオープンした「東洋文庫」(東京都文京区本駒込)。
東洋文庫は、三菱財閥3代目の岩崎久彌が、1924年に設立した東洋学の専門図書館、研究所。東洋学センターとして国際的にも名高く世界5指の1つに数えられているそうです。 (東洋文庫の英語名は「The Oriental Library」。私の「orient library」は昔から考えていたものでこちらをマネしたわけじゃないんですが、なんかちょっと気恥ずかしくはあります。。)

名勝「六義園」にも近く、散策にも適したちょっと穴場的なこの施設。建物の建築も見応えあり。ライブラリー、ミュージアム、別棟のレストランなどのある大人の知的エンタテイメント施設という感じです。

新設の「東洋文庫ミュージアム」は、展示方法にデジタルを駆使、スタッフはラオスの民族衣装姿と、なかなかに新鮮な感じ。音声ガイドは、よくあるヘッドホンの貸出しではなく、作品の前に立つと自動的にスピーカーから声が流れる仕組み。しかも「田中真理(仮名)が解説します」など、学芸員さんなどの肉声での解説。けっこうインパクトありました。

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(アジアの街の夜景?アパート群??、、、東洋文庫ミュージアム内、こちらがウワサのモリソン書庫。圧巻!)

圧巻は、「モリソン書庫」。「1917年、東洋文庫の創設者、岩崎久彌は北京駐在のオーストラリア人G. E. モリソン博士(当時の中華民国総統府顧問)から東アジア関する欧文の書籍・絵画・冊子等約2万4千点をまとめて購入しました。それから一世紀の時間が流れた今ここにその貴重なコレクションがよみがえりました」、、たしかに蘇ってます。。
本好きの人にはたまらない空間かも。当時の書庫そのままではないそうですが、本の量感が独特の雰囲気を作っています。

東洋文庫の沿革、wikipedia等から見てみると、、
「岩崎久弥はモリソン文庫に加えて和書・漢籍をはじめとする東洋諸言語文献を収集し、日本を含めた東洋全域を網羅的に扱うコレクションを構築」
「三菱の海外支店をつうじて代金の支払いが確実になされるため、東洋に関する良書や貴重書が現れるや、世界中の書店が先を争って文庫に購入を持ちかけた」
けれども、「第二次世界大戦後の混乱期には支援者である三菱財閥の解体により経営が困難となり、蔵書は散逸の危機に瀕した」。
が、「この窮地に対して、1947年に理事長に就任した幣原喜重郎元首相の尽力により、国会が支援に乗り出し、1948年に同じく三菱財閥の支援下にあった静嘉堂文庫とともに、発足したばかりの国立国会図書館の支部とされた」そうです。
現在は、、「2009年3月末日をもって支部契約は終了した。現在は特殊公益増進法人に認定された財団であり、その必要資金は自己資産や三菱グループからの寄付金及び国等の補助金でまかなっている」。

美術工芸品の蒐集もそうですが、昔の財閥は、お金を文化にもふんだんに使いましたね。まさにパトロン、好事家。現代はせちがらい。

ライブラリーの資料は、「和書、欧文資料のほか、漢籍やチベット語、タイ語、アラビア語、ペルシア語、トルコ語などのアジア諸言語文献を蔵書」としており、「全種類の資料をあわせた所蔵総数は約90万点、5件の国宝と、7件の重要文化財を含む」。装飾タイル関連も、宝物があるのかもしれませんが、現地語がわからないと検索できず残念。(基本的に研究者向けのようです)

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(ミュージアム展示「ア!教科書で見たゾ展」/ロビンソン・クルーソー漂流記/オスマン帝国史/イブン・バットゥータ「三大陸周遊記」/ハンムラビ法典(くさび形文字) /コーラン/世界各地で出版された東方見聞録/百万塔陀羅尼〜日本最古の印刷物、経典が入った小塔が100万個作られた!/万葉集/オリエントホール)

ミュージアムの現在の企画展示、「ア!教科書で見たゾ展」(11月4日まで)、「解体新書」「国富論」等々、その昔、わけもわからず覚えたような書籍名の原書が、教科書とともに展示されていてユニーク。
こういうの(展示品リスト)、ご興味ある方は出かけてみられては?

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西早稲田界隈、一歩路地に入り込めば昭和の学生寮やアパートなどが立ち並び、レトロな空気感にほっこりします。
その一角、小さな看板を目印に緑あふれる庭を進んで行くと、こちらも昭和の民家が。この秋より一軒丸ごとギャラリーとして使われることになった「もくれんげ」です。第1回めの展示企画、洗練されたインドの刺子やショールで人気の「kocari」さんの展示会におじゃましてきました。

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(昭和民家を活用した「ギャラリーもくれんげ」)

一階に小さな部屋が5つ、二階に一部屋。日当りが良く、広い縁側から風が通り抜け、気持ちのいい空間。訪れた人たちは、皆さん笑顔で和やかな雰囲気。靴を脱いであがると、なんかくつろぎますよね。

ギャラリーとしてはデビューしたばかりですが、この雰囲気に惹かれる人は多いはず。何人かでシェアしての展覧会やイベントなどにも良さそう。私も展示のプランもないのに、自分はどの部屋がいいかなあなんて、ついつい想像が広がってしまいました。

しかも、こちらはレンタル代が東北支援に使われます。気仙沼の子どもたちのスクールバスの支援と、具体的なのもいいですね。
まだギャラリーのサイトはないようですが、地下鉄副都心線西早稲田駅から数分ほど。地下的の高田馬場駅からも8分くらい。便利な場所。これからが楽しみです。

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京橋にある「LIXILギャラリー」(以前のINAXギャラリー)、建築・工芸系の企画展、やきものや美術の展示が見られます。

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(毛塚友梨さんの青。水道もタライもぜ〜んぶやきもの/この展示は終了しています)

陶芸家・毛塚友梨さんの展示、クールな青の色味、存在感のある造形。日本の陶芸のレベルは本当に高いですね。やきものの国だなあと思います。

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美しい青のやきものを産する西アジア。1960年代からかの地を旅し、遊牧民の毛織物、染織に魅せられた松島きよえさん。遊牧民と生活をともにするなかで、毛織物や装飾品を蒐集されました。日本での遊牧民の手仕事コレクターの先駆けでしたが、残念なことに事故で帰らぬ人に。松島さんが好きで惹かれて集めたものたち、残されたコレクションは、本当に貴重です。

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(松島きよえさんコレクションより。トルクメン、クルド、バローチなどの毛織物。この色使いの洗練、キリッとした表情、魅力的な模様、全体から漂う世界観は何だろう。きびしい気候風土の中で、羊の毛を刈り糸を紡ぎ染料を作り自ら機を作り織り上げていく。自然とともに生きる人たちのすごさにガツンときます)

前回少しご紹介した 「”The Balochi” バローチ族の手仕事、芸能を紹介する10日間」(展示は終了しています)で、その一部が紹介されました。破れやほつれもあり、コンディションがいいとは言えないものもありますが、一点一点、語りかけてくる世界があり、引込まれます。

松島さんの言葉。部族の手仕事の本質的な魅力を語る言葉のように思えます。

 「部族意識が高い集団ほど衣服の刺繍も良く織物に専念し、デザインが冴えていた。これは大事なことである」

 「部族社会では勢力を増し権力地を広げるために他の人間に威信を示す必要」があり、デザインが重視された。デザインは「生活環境からモチーフを得ている。織り込まれた風景の描写は特色ある色彩と形を織り出す」

 「遊牧民は互いに種族の象徴である織物を織り、権威を示した。自族の織物が他の部族の目に何度もさらされているという経験の積み重ねを経て色彩やデザインが洗練度を増し、それぞれの種族の象徴となっている。小さな家庭用品にも生活用品にどのような細部にも種族のシンボルを織り入れる。織物で種族の違いがわかる」

今回、おかげさまで一点を手元に。パワーのある織物に触発され、鼓舞され、がんばっていかないと!と思います。。

皆様の秋の日々が素敵なものでありますように。
(謝謝。たくさんのfacebook「いいね」、押してくださってありがとうございます〜♪(त_त)♪)
by orientlibrary | 2012-10-22 20:21 | 日本のいいもの・光景