イスラムアート紀行

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具体性が魅力、実行者と声援者による「クラウドファンディング」

世の中どんどん変わりますね。ついていくのも大変ですが、これまでにない面白い切り口や仕組みも登場し、そのあたり興味深い。
アメリカで生まれ、1年半ほど前から日本でもスタートした「クラウドファンディング」は、「群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語」。不特定多数の人から資金を集める仕組み、サポートのシステム。「READYFOR?」「CAMPFIRE」が有名です。

仕組みは、、ファンディングサイトを利用して、プロジェクトの発起人が、おこないたいこと、その理由や背景、どのようにして実現するか等を、画像や映像も駆使してプレゼンテーション。寄付の目標金額、募集期間を設定し、資金提供者(支援者)にどのようなお礼をするかも伝えます。
応援したいと思う人は、支援額を決め「支援する」と表明。目標額に達したら、その提案は成立。達しなかったものは成立せずとなり、寄付も白紙になります。

まずは、どんなプロジェクトがあり、どんなことになっているか、いくつか例を見てみましょう。(=全部読み込んでいるわけではまったくないので、選択は何となくのアトランダムです。たくさんのプロジェクトがあります。ご興味のある方はファンディングサイトで!)
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「陸前高田市の空っぽの図書室を本でいっぱいにしようプロジェクト」

陸前高田市にある仮設住宅に図書室を作りたいと地元のお母さんたちが始めたプロジェクト。200万円の目標額に対して824万円もの支援金が集まりました。

けれども、単なる寄付ではないところが興味深い。プロジェクト側がお礼として用意するのは、お礼状、地元の伝統工芸品、さらに「皆様の好きな本を一冊応援コメント欄にお書き下さい。その本をこちらでご用意し、本は皆様のお名前とともに空の図書室の蔵書として、そこを訪れる方々に読んでいただきたいと思います」という粋な計らい。

自分がぜひ読んで欲しいと思う本が蔵書になる、そんな手応えは寄付する側にとってもうれしいことでしょう。寄付してくれる人のことに思いを馳せる中で出てくるアイデアだと思います。金額別の「お礼」の内容、どのプロジェクトも興味深いものです。

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歌舞伎や『寅さん』、大切な日本の文化の宝箱を守る。

「松竹大谷図書館を運営していくための費用を集めます」というプロジェクトも300万円を超える寄付を集めて成立しています。

「資料を確実に整理して公開するのは大変な作業です。資金も不足しており、図書館の運営が苦しくなってきております。図書館の規模を縮小することなく、利用者へのサービスを続けていけるよう、皆様に支援していただけないでしょうか」。この図書室に勤務する女性の訴え。彼女が図書館を愛する気持ち、私的な思いも交えて語られます。台本カバープレゼントや見学会招待など、映画ファンには嬉しい「特典」も。

図書館の予算増強、、これまでならば、行政に対して支援を訴えていた事柄では?図書館ですが、訴えているのは事務職員の女性。個人から個人へ、支援金と思いと特典の交換です。

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バングラデシュで現地の職人さんと新しい手帳を創るプロジェクト

「新しい手帳の作成をバングラデシュで行います。バングラデシュにプロフィット・雇用をもたらすため、バングラデシュにいる現地の職人さんと一緒に作成します」。「日本を含めアジアに生きる女性たちがもっともっと自分らしく素敵に活動できる社会の実現を目指したい。そんな思いをきっかけに今回のプロジェクトはスタートを切りました」という大学生たち。

手帳の予約販売という面もありつつ、制作過程を公開して気持ちを高めていく。同じ手帳を買うなら、誰かの役に立ったり思いを共有できる方がうれしい。同世代女性からの応援コメントが多いです。

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飛騨を共に楽しむ『ひだびと。』第2号発刊プロジェクト

「やりたいことを優先するため、今のところ広告収入や補助金などを頼っておりません。
有志の個人援助で成り立っています」という地域情報誌の運営資金を募ります。
「飛騨の魅力に実際に触れていただくため、引換券として飛騨産の各種ギフトをご用意しました」というプレゼント(地酒、室内履き等)も魅力的!地域の歴史や文化や人に触れ、買物的な楽しさも味わえる。新しい買物のスタイルとしても面白い。

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経木(きょうぎ)で南三陸町の雇用をつくろう -木の羽(KInoHA)で羽ばたきを!-

「東日本大震災の津波で塩害をうけた南南三陸の杉たち。その杉を使い、プロダクト製品(経木)を作ることで南三陸町の雇用をつくる。南三陸町の人々と山々を生産的に支えていく」プロジェクト。
経木で制作できるプロダクト例もセンスがいい。写真と映像も豊富で訴える力があります。

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新しい日本の伝統工芸をみんなでつくる。現代の金唐革プロジェクト

「失われゆく手仕事や日本の皮革工芸の伝統を、SNSの力で盛り上げる」ことを目的としたプロジェクト。支援金は「オリジナル金唐革プロダクト(ブックカバー、長財布)」等と交換に。ワークショップも開催。金唐革について知るきっかけになりました。

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21世紀型実験工房。ものづくり日本から、ものつくる日本人へ。

「道具」をもっと身近に使える環境を整え、誰もが自然に「つくる」世界を目指すというプロジェクト。私財を投じての運営が困難なことから研究活動費等の費用を、とのこと。こんな活動をしている人たちがいるんだ、という刺激を受けます。
クラウドファンディング、寄付集めというより、活動の広報としての意義が大きいと感じます。

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世界を一周する音楽雑誌 イラン・スーフィズム特集発行プロジェクト

野上郁哉さんが作った雑誌「Oar(オアー)」、有志が引継ぎ、第4号の発行資金を募りました。54名がパトロンとなり成立。今後はどのような形で継続されていくか、内容はどうなるのかはわからないのですが、次号、野上さんが企画していた「イラン・スーフィズム」は発行に向かっているようです。

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「READYFOR?」の創設者の女性の話をお聞きする機会がありました。若くてはつらつとした素敵な女性。素直な面と戦略的な面とがバランス良いこと、理屈をこねずにまず動いてみるという前向きな行動力がいいなと思いました。今どきの若者のいい点ですよね。

開始後の1年半ほどで150ほどのプロジェクトを提案し、寄付は8000万円以上集まったそうです。「NPO・NGOの人たちは一生懸命課題解決に取組んでいるのだが、そのことがなかなか伝わらない。そこにクリエイティブを掛け合わせて共感を得られるプロジェクトに作り込んでいく。そのノウハウを提供していく」とのこと。

初めてこれらのサイトを見た時、企画提案の文章(コピー)、構成、訴求力に驚き、感心しました。写真も説得力があります。「キュレーターが1名ついてアドバイス」しているそうで、納得。「活動の中の、何に対してお金を集めるか、一つの目標を決めて皆で走って行く。ストーリーが大事」とも。

これまでの「寄付」が、どこか虚しくて手応えがないのは、いったいどのように使われたのか、どんな人のどのようなことに役立ったのかが、ほとんどわからないことでした。自分のできる範囲で応援したい気持ちはあっても、二の足を踏むときも。大きな組織への寄付の場合、余計によくわからない。

とくに東日本大震災の際には、みんなすぐに郵便局に走ったのに、何か月たっても被災地に届いていないと知り、多くの人ががっかりしていました。同じ寄付をするならば、現地で活動しているNPO・NGOに直接送りたいという気持ちになっていきます。

そのような経緯もあり、どんな人がどんな思いで始めたのか、誰の役に立てるのか、が具体的にわかる寄付のスタイルが受け入れられる素地は十分にあると思います。

プロジェクト側から活動の進捗状況が随時報告されるので、臨場感豊か。理解と共感が深まりやすいですね。成立後も活動がその後どのように発展してったかの報告もあります。そしてfacebookやtwitterで拡散していく。ソーシャルメディアの特性が生きてきます。

プロジェクトがサイトに掲載される割合は「READYFOR?」で3分の1程度とのこと。選考基準は、「本当にやれるかどうか、資金があったら実行できるかどうか」だそうです。

これらのプロジェクト、資金集めももちろんですが、自分たちが何をやりたいのか、その意義は何なのか、賛同者に何をお返しできるのか、自分たちのリソースは何なのか、それらを検証し明確にしていく、意志を固めていく、そこからの一体感、参加者との交流などが、より大きな意味を持つのかもしれないと感じています。

今回、写真引用もどうかと思ったので、自分の写真なのですが、、今回のテーマに合わせて、自分がやってみたいことをイメージしています。まずはビジョン、イメージ。そして具体的に!あれ、まだまだだなあ(^_^;))))

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(トルコ、イラン、ウズベキスタン、さらにパキスタンの「青」の個性を見る/左上から、イランの青。クロスのタイル/セルジューク朝の青と黒/オスマン朝トルコ/デリーサルタナット朝、パキスタンのムルタンの青。鮮烈!ヒンドゥスタンの青も比較したいです/ウズベキスタン、ティムール朝の青/現在のウズベキスタン、リシタンの青の世界)


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(中央アジア手工芸、文様、色、技法/、、3つもコラージュを作ったのになぜかアップできず、、再度作ったら下のコラージュと写真カブりました、、(>v<) 力尽きたのでこのままに、、)


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(東北の手仕事と中央アジアテキスタイルから生まれるもの)
by orientlibrary | 2012-10-09 00:39 | 社会/文化/人