イスラムアート紀行

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カシュガルタイルはユーラシアを結ぶ?!

[タイルフォト・ギャラリー(10)「アパホージャ墳」(カシュガル)など]

いちタイルファン、修行中、タイル発展途上人の私なので、感じたままです(学術的裏付けはありませんので、ご了解よろしく!)。「これって、染付と三彩じゃないの?」・・・東西文化の交流地点といわれるカシュガル、そのタイルはイスラムタイルと中国の焼き物が融合したもの・・ハーフイスラミック+ハーフチャイナでは?!

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カシュガルに17世紀に作られたアバホージャ墳のタイル、白地にコバルトのイスラムの青。けれども微妙な違いを感じる。他のイスラム圏の同系統の模様では、逆に青地に白で模様を描いてあったり、白地の場合でも青の比率がこれより多い気が・・・またはもう少し意識的・絵画的なデザインがなされているか、あるいはより緻密な印象がある。カシュガルの「ゆるさ」も味があって好きだけど、イスラムの美学とは少し違う感じ。

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白と青のバランスでいうと、染付に近いという印象を持った。染付は、白地の素地に呉須(酸化コバルト)で絵付けし、その上に透明釉を掛け高温焼成したもの。中国では「青花」(せいか)という。元の時代に開発された手法で、当時はペルシャから輸入したコバルトを使い、輸出先でもあったイスラム圏の影響を受けながら発展。当初からイスラム圏と深い関わりがあったわけだ。

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そして、緑、茶、黒のタイル・・・唐三彩を思い出してしまう。唐三彩は、唐代につくられた低火度焼成の三彩陶。陶質の素地に白化粧あるいは透明釉を掛けたのち、緑や褐色の鉛釉を加える。その美しさと技術は、宋三彩・奈良三彩・ペルシャ三彩などに影響を与えた。ペルシャ三彩は9世紀頃、イランのニシャプールでつくられた多彩釉陶器。白化粧の上に緑、黄褐色、紫などの彩色を施した。

アバホージャ墳が作られた17世紀といえば、中国は明から清に移行、中央アジアはブハラ・ハン国、ヒヴァ・ハン国などの遊牧民の諸王朝、イランはサファヴィー朝、トルコはオスマン朝。サファヴィー朝やオスマン朝では、中国の染付や黒彩の技法が取り入れられた。

またトプカプ宮殿の中国磁器のコレクションも有名であり、技術や収集面でも東西の交流が盛んであったようだ。タイルでは、イランの多彩タイル、トルコの絵付けタイルと、タイル装飾の粋を競う展開に。日本では伊万里の輸出が始まった頃だ。ユーラシア大陸の東西で陶の文化が花開いた。

このようななかで、ユーラシアのイスラム世界の東端にあったカシュガルでも、東西の陶芸術を取り入れながら、マイペースな感じでタイル装飾をおこなった感じがする。精緻や優雅とは言えないと思うが、おおらかでのんびりとした明るいタイル。「染付&三彩テイストのイスラムタイル」は、私にとってとても興味深い。

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さらにつけ加えたいのがモンゴル。えっ?モンゴルとタイル?? でもイル・ハン朝のタイル装飾はとてもいい。そんな歴史があってかどうか、モンゴルに1586年に建立された「エルデニゾー」の仏教寺院の屋根も、何となく三彩では?!ユーラシアを結ぶタイルや土ものにますます惹かれていく今日この頃です。

*写真は、(上)アバホージャ墳のタイル、(中右)トプカプ宮殿染付コレクション・16世紀・明朝(『トプカプ宮殿』オリエント出版より引用)、(中左)三彩鉢・11世紀・サマルカンド(『おおいなるシルクロードの遺産展カタログ』より引用)、(下)エルデニゾーのチベット仏教寺院
by orientlibrary | 2005-11-18 02:51 | ウイグル/アフガン