イスラムアート紀行

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「紙にできること」、紙のトレンド、サマルカンドの紙

そういえば「紙」も好きだったな。「紙にできること」というレクチャーを聞いてじわりと思い出しました。
土ものにハマり始めてかなりの時間が経ちましたが、以前は紙が好きで、好みの紙を見つけると買っていました。紙に乗った色は紙質によって違い、マットで質感のあるものが好みでした。

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(イランの紙関係。salam×2さんの展示会等より/イランの絵本。色合いがシック!洗練です/この色の組み合せ。切抜きも面白い/イランのマッチ。かわいい!青がいい色合い。こういうの買ってくるって、、salam×2さん、ナイス!/更紗模様の紙箱、いいですよね〜〜〜〜好きですね〜〜)

「紙を考えることはその母体である林業を、森林資源を考えること。紙の歴史、紙のおもしろさ、紙の未来について等々、日々紙に携わっている「紙のスペシャリスト」からお話を伺います」という「BooK学科ヨコハマ講座」、王子製紙の鈴木貴さんが講師。
製紙会社の方が考える「良い紙」と紙のトレンド、 紙の元である林業について、等々、興味深い内容でした。
メモをザクザクッと、、(手書きのメモのため、正確ではない点、話者の真意を汲んでいない点があるかもしれません。その点、ご容赦願います)

 <良い紙とは?>
* 製紙会社の人間は、ツルツルの真白のものが良い紙だと思ってやってきた。平滑で、真白で、軽くて、光沢度が高く、裏抜けしないもの、発色が良くバキバキに出るものが良いのだと。つまり、技術的に難しい紙が良い紙だと思っていた
* 「地合ムラ」のあるものは「ダメ紙」と言っていた。繊維がからむと強くなるのは良いのだがムラができる。それを嫌った。板紙は紙じゃない。「ガミ」だ

 <紙の好みが変わってきた>
* しかし、じつは選ぶ人(デザイナー〜その先の消費者)は質感やザラザラした味わいが良い、好きと感じていた。発色も沈んだ方が良いと。5年くらい前に、ようやくそのことに気づいた。それを拒絶してもダメなんだ
* じつは製紙会社は、世の中にデザイナーがいるのを知らなかった。それまでは印刷会社に接していた。それで売れていた。しかし、ある時から売れなくなった。機械が止まったりした。出版不況は死活問題になった
* そして、気づいた。デザイナーはザラザラがいいと言っている。これはマズイと思った。製紙業界はユーザーと対極にあったわけだ。さらに「見本帳を自由に取れる所はないんですよ」と
* それならば選ぶと楽しい見本帳を作ろうと思った。使い手に見てもらえる見本帳を作らないと話にならない。やり始めると見えてくるものがある。見本帳では文学の一節を紙に乗せた。紙質や紙の色合いによって文学が違って見える。紙選びで変わってきてしまう
* この数年、紙媒体はどうなるのかという状況だ。紙の良さを知ってもらわないといけない。さらに銀座にPAPER LIBRARYもオープンさせた。

 <林業と製紙>
* 外国から安い紙が入ってくる。なぜ安くできるのか。貧しい国が貧しいままでいてもらわないと安くできない仕組みなのか
* チップ(パルプ繊維)は東南アジア、南米、南アから、南半球からの輸入なので輸送コストがかかり原料費が高くなる。中国やヨーロッパなど自前で調達できる国と比較して日本の紙はコストで勝てない
* 日本は林業と製紙が分断されている。欧米の製紙会社は製材会社でもある。チップになるのは柱用の四角を取った残り=50%なのだが。王子製紙は細々と林業を続けている社有林がある。日本の8割は森なのに。日本の林業は切る事ができない事が問題。保水力がなくなる等と言われる。木を育てるには時間(70年程)と手間がかかる。(コストはかかるが)チップを持って来た方が安い
* 製紙工場では、チップ40%、古紙60%を使用(ダンボールや箱が古紙使用なので比率が高い)。作り方はチップを煮る、繊維、水に溶かして漉く

 <紙のこれから>
* 遅い、かさばる等と電子メディアと比較されるのは不当な評価だ。元々の役割が異なる。原材料から異なるのだ
* クラフトパルプ加工、強い紙ができる、樹種を選ばない
* 最近は木材としてはユーカリがよく使われる。ユーカリは7年で育つ
* 紙にも流行がある。今はガサガサして安っぽくて色褪せするものが人気がある
* 色はグレーが流行るのでは?製本はクリーム色が多いが深い理由はない。色に商品価値はないという考えが多かったからではないか
* ダンボールの厚紙で本を作っても良いと思う。味がある。作為的なものよりも、工程上、やむを得ず出る方が紙として力がある。わざとやったムラじゃない。それがいい

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(写真ではほとんど伝わらないと思いますが、、見本帳より/紙の色合いや紙質によって文章の印象が変わる!/布を思わせるような質感の紙も。贅沢感あり/人気のクラフト紙。ナチュラルが時代の気分でしょうか/色見本帳が雑貨みたいでカワイイ!)

 <気づいたこと、共感したこと、触発されたことなど>
・ メーカーの製品開発と、使い勝手や使い手の感性の大きな乖離。そのことに気づき、使い手側に近づくための方策は、他の消費材では80年代頃から、まさに必死でおこなわれてきた。紙が5年ほど前からとは、驚き
・ 「印刷会社」との関係が主という「直の関わりのなさ」が背景にあるんですね。出版不況でようやく気づいた。そこからの取組みは、真摯だと感じた
・ 実際、見本帳は、無味乾燥なカタログではなく、紙と文字の組み合せが興味深い。紙質によって小説の印象が変わってくるのにはビックリ

・ 「ガサガサして安っぽくて色褪せするもの」が人気というのは、実感としてわかる
・ナチュラルなファッションやオーガニックなフードなど、全体に、張り切りすぎない、気取らない、エコな感じ、というのが今の気分なのかな

・ 「ムラなども、作為的なものよりも、工程上やむを得ず出る方が紙として力がある」
・これも非常に共感!流れの中でできるものを活用したり、新たな視点で魅力を発見する。これが大事だと思うし、自然なものの力があると思う

・「電子メディアと比較されるのは不当な評価」。紙をやっている人の気概。たしかに原料も違うものなんだもの。紙は紙の魅力と今の時代に必要な方向性があるのかもしれない
・私も手書きをしなくなってから、紙との関係が少なくなっていったのだけど、、紙を生かすような何か、してみようかな、と思いました

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(紙が好きだったことを思い出した、、/写真ではわかりにくいですが、いろんな色合いと紙質のもの、見つけたら買ってました(重なってますが一品目につき数十枚あるんです、、)。今はそのまま使うことなく収納。手書きがほとんどなくなったことも一因/和紙系のものも。ネパール、チベット、韓国、インド、フランスの紙など/カードやポストカード類もメチャたくさんあって年々黄ばんでいく、、タイルの模様のコレは東京ジャーミーの売店で購入。値頃なプライスで驚きます/レイアウトの都合上、あと1枚、適当に入れちゃいました〜(^_^;) タイル関係の書籍など。紙つながりで、、。よく見る本はカバーを取ります。ていうか、新書も文庫も単行本もカバーを取ってから読みます)


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今回は、紙、ということで、やはり「イスラムアート紀行」、何かそれらしい話題を、と「サマルカンドペーパー」の写真などを準備しました。(まず写真を用意してから、文にかかります。後でバタバタするのが嫌なので)

でも、今回も、すでに長過ぎかも。

ウズベキスタンでは、サマルカンド工芸の復興と振興を目的として1996年に、NGO「サマルカンド工芸協会(MEROS)」設立されました。2001年より、ユネスコやJICA(国際協力機構)の支援を得てサマルカンド・ペーパーの復興活動がおこなわれています。

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(サマルカンドペーパー製作現場=画像コラージュは
「 international caravan travel uz-History of Samarkand paper」より引用)

「サマルカンドペーパー」について、日本の協力について等、下記サイトに詳しく紹介されています。日本の紙関係と合わせ、リンクとさせていただきます☆

 
 石州和紙(島根県浜田市三隅町) 「国際交流 ウズベキスタン共和国との交流」を参照ください
 石州和紙久保田 上とリンクしています 
 地球の歩き方 サマルカンド・ペーパー
現代に甦る伝統の技術――コニギル・メロス紙すき工房(ウズベキスタン・レポート2)
 OTOA ウズベキスタン / 紙のシルクロード ~ 21世紀のサマルカンドペーパー復興 ~ 
  international caravan travel uz / History of Samarkand paper
 parus87 / Mysteries of Samarkand paper
 王子ペーパーライブラリー
 王子ペーパーライブラリー 紙の基礎知識

と書いているうちに、facebookのフィールド、次がこの記事 MOTにて「トーマス・デマンド展」明日まででした。「Thomas Demandの作品は、単なる写真ではなく、インターネットや新聞紙上で人々の注目を集めた事件やシーンを、厚紙で精巧忠実に(しかも原寸大で)再現した現場を撮る、というもの。どれもこれもパッと見、被写体が紙とは思えない」。  ・・・紙づいてます〜〜☆
by orientlibrary | 2012-07-07 15:34 | 社会/文化/人