イスラムアート紀行

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熱くてオシャレ!パキスタンの音楽シーン Nar Bait、Sachal Studio、Sanam Marvi

久々に音楽の話題です。
先日開催された「聖者の宮廷音脈考-パキスタン・インドを流れるスーフィー民衆文化の通底音とは?」より、教えて頂いたこと、感じたことなどを。

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(左上:1970年代のバローチスタンのフォーク音楽カセットテープ。楽士の固めな表情に見入ってしまう/右上:バローチスタン地図。パキスタン南西部とイラン南東部にまたがる/左下:「Coke Studio」でのAkhtar Chanal Zahri。パキスタンの放送でバローチの歌が堂々と歌い上げられた/右下:バローチの絨毯はシックな色合いとセンスの良い模様の多彩さで人気。Sさん所有の流水模様(でしたっけ?)絨毯。「美しい世界の手仕事プロジェクト2008vol4シルクロード」より)

まず、村山和之さんより「ナル・スル(NarSur)とアフタル・チャナール(Akhtar Chanal)」について。(以下、聞き書きのメモなので間違いがあったらすいません。サラーム海上さんのレクチャー、飯田一夫さん内容についても同様です)

*ナル・スル(NarSur)
・バローチスタンの中の「ブラーフィ(Brahui)族」(ブラーフィー語〜ドラヴィダ語系〜を話す人たち)の芸能
・音楽の専門職ではない人たちによる音楽
・東部山岳バローチー語で歌われる
・一般の人たちには聴き取れない。ラジオでナルスルの中に暗号を組み込んで機密情報として発信されたこともあったくらいだ
・1970年頃まではほとんどがラブソングで闘いの歌はなかった

*アフタル・チャナール(Akhtar Chanal Zahri)と「Coke Studio」での「Nar Bait」〜フュージョンである理由
・愛国詩を併置した〜民族自治を求める70年代以降の政治社会状況が背景にある
・1969年に書かれた詩「ZABA BALOCHISTAN NANA」をナルスルの形にした
・パキスタンの人気音楽番組「Coke Studio」出演は全パキスタンに言葉を聴かせるよい機会

その「Coke Studio」での「Nar Bait」がこちら↓

"Nar Bait HD, Akhtar Chanal Zahri, Coke Studio, Season 4"






「生きよ永遠に!/先駆け自慢の我が友、山の猛き息子よ/狂い酔うさま愛ゆえに、熱く誰にも止められぬ/生きるも死ぬも構いなし、この世に恐るものはなし/一人ゆく鷹、ハヤブサか、高き山の尊き人よ/丘の裂け目のその狭間、ひとり天幕打ち張り/友へ眼差しチラと向け、高く顔あげ尋ねた/誰がうたえる古き詩を、誰かスィローンズ弾きも呼べ/歌を聞かせよ、いにしえの/今日も一日終わった、明日は明日の風が吹く/永遠あれ、バローチ族長よ、とこしえに/強き勇者が若者なり、益荒男の血筋なり/敵に一人でうちかかり、山は染まった血の色に/山の上に何を見たのか、イカヅチ雲をつき抜け/詩人の歌がよみがえる/今日も一日終わった、明日は明日の風が吹く」(村山和之さん和訳)

ラップのような早口で歌っているのは、このような勇敢かつ詩的な歌詞だったのでした。日本語訳に感謝です。


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サラーム海上さんは、「パキスタンの音楽現場所見」。モロッコ、トルコ、インドなど中東音楽シーンの取材と発信、DJから料理まで多彩な活動で人気のあるサラームさん、パキスタンは今回が初。初パキはいろんな発見があったようですよ!

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(Sachal Studios' Take Fiveなどより。タブラ、シタール奏者のグルーブ感!白の衣装のミドルエイジなバイオリン奏者!左下はスタジオの創立者!セレブ、、、パキスタンのお金持ち世界ってケタが違いそう)

パキスタンへの旅のきっかけとなったのは、「Sachal Studios Orchestra」の「Take Five」だったそうです。↓パキスタンのジャズ、ある種、衝撃です。

Sachal Studios' Take Five Official Video






ラホールにあるスタジオSachal Studioは、英国で財を成した設立者らが理想の音楽を求めて作ったものだとか。60年代、70年代のラホールで盛んだった映画制作、その映画音楽で活躍したミュージシャンたちが、時を経てこのスタジオで現役復帰!いい味出してますね〜!!最高!

サラームさんはこのスタジオを訪問、インタビューの他、レコーディングやリハーサルにも立ち会うことができたそうです。そのリハーサルの光景が、本当に良かった、、、良かったです。音楽に向き合える、取組めること、その喜びに満ちていました。好きなことに集中している人の表情って、どの分野であれ、じわりじわり感動します。

Sachal Studioのジャズはワールドワイドで評判になり、好調のようです。
パキスタンの音楽シーンを元気にしようという設立者の想い。スタジオだけでも数億円?という感じなのだとか。
海賊版が安価で出回っている状況についても、「OKだ。この国はお金のない人が多いから。どんどん聴いてくれた方がいい」と太っ腹なのだそうです!
お金はこういうふうに使いたいですね!! (あれば、、(^_^;))

これからも何かやってくれそうなsachal-music、シーズン5が始まった「Coke Studio」、、パキスタンの音楽シーン、ますますカッコいいです。☆☆☆☆☆


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「インドの聖者とその祭礼」では、デリーにあるニザムッディン廟という聖者廟でのウルス(命日祭)と、そこで演じられたカウワーリの紹介(村山さん)。

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(左上:聖者の墓に捧げる布/他3枚:ウルスの様子。熱狂的なパキスタンとは異なり感情を曝け出さずに聴くのがデリーのカウワーリのスタンダードなスタイルだそうです)

聖者廟でのカウワーリを見るのが長年の憧れですが、まだ実現せず。写真と映像で空気に浸りました。感謝です。

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最後に、「東京無形文化祭」について、飯田一夫さん。とくに「サナム・マールヴィー スーフィーソングを歌う」の出演者紹介+エピソード披露も。

Manzil-e-Sufi, Sanam Marvi, Coke Studio Pakistan, Season 3





(サナム・マールヴィー。パキスタン若手女性歌手のトップに立つ古典及び民謡歌手。1986年、パキスタン・スィンド州ハイデラバード生まれ。父は有名な遊行のスーフィー民謡歌手ファキール・グラーム・ラスールである。サナムは幼少の頃から古典音楽の基礎を学び、父の歌に聴衆が熱狂した民衆スーフィズムの拠点、イスラーム聖者廟(ダルガー)を父と共に巡礼して育った〜「東京無形文化祭」WEBより)

歌姫サナム・マールヴィー、この声!アルゴーザー(二本組のたて笛)のアクバル・ハミースー・ハーン、ドーリ(太鼓打ち(Dholi))のファイブ・スター・ミュージカル・グループも同じステージに!すごいことになりそう。(いい席ゲット〜^^楽しみです♥)


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ふろく?!

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(左上:この時期恒例の山形のさくらんぼ。リシタンのサラダボウルに入れました/左下:宮廷考後、中東系の差入れ多し。前日のウズ会でいただいたウズ菓子も仲間入り/右:ふふふ!頂いたネックレス。ヘンプに包まれた青い石がなんともいえず素敵!その上の茶色い陶はリシタンで以前作ってもらった箸置き。ここで生きました!ATさん、素敵な作品どうもありがとうございました!!感謝です〜☆^^)

パキスタンの話が多かったので、、最後にパキのタイルを!

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(ラホール、ムルタン、ウッチュのタイル。この青がまた独特。追いかけたい〜)

〜〜 ご清聴ありがとうございました。ではまた次回!(*^_^*) 〜〜
by orientlibrary | 2012-06-24 17:41 | 美術/音楽/映画