イスラムアート紀行

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バーブルの生地、アンディジャンへ

ウズベク滞在中に、フェルガナ盆地にあるウズベキスタン共和国第4の都市・アンディジャンに行ってきました。人口35万人の大きな町。自動車産業が盛んです。

、、なんて、じつはアンディジャンに行くまで、町のプロフィルはほとんど知りませんでした。日本ではサッカーで知名度が高まってきたウズベキスタンですが、なかなか情報は入ってきません。『地球の歩き方 シルクロードと中央アジアの国々」でもフェルガナ全体で5ページ。町としてはフェルガナ(州都)、マルギラン(シルク織物で有名)、コーカンド(コーカンドハーン国の首都だった)のみ。

でも、アンディジャンはある意味有名。名前を聞いたことがある、という方も多いのでは?そう、2005年の「アンディジャン事件」。武力衝突と言われますが、真相は私にはよくわかりません。でも元々情報が少ないところに事件では、恐いところといったイメージが作られていきがち。(実際、外務省の「危険情報」でも、「勧められない」といった感じになっています)

無責任なことは言えませんが、、私がみたアンディジャンは普通の町だったし、新しくできた大通りには店舗やホテルが立ち並んでいました。出会った人たちは人懐っこく温かく、訪問したお宅はまるでパラダイスのようでした(いつか書きますね)。
「アンディジャンは平和ですよ。怖がって人が来てくれないのが悲しい」と、案内してくれたアンディジャン出身のB君。「ぜひ、このことを伝えてください」と言われました。

日本から観光に行く人もほとんどないようですが、私は行きたかったんです、アンディジャン。なぜかというと、、バーブルさまの生地だから!!^^

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(バーブルさま。ムガルの植物愛好、花模様の繊細さはたまらない魅力/『MUGHAL INDIA splendours of the peacock throne』(NEW HORIZONS)より引用)

ムガル帝国の初代皇帝バーブル(1483〜1530)は、アンディジャン出身。父はティムール系貴族、母はチンギス・ハーンの次男チャガタイ系の王女。あの地域の2大英雄を祖先に持つチュルク・モンゴル系。
これだけでもドキドキなのに、ムガル建国にいたるまでのステージが、悲願の地サマルカンド、本拠地としたカーブル、支配したラホール、そしてデリー、アグラと、私のツボの地ばかり。クラクラ、、、
その上、文人、詩人でもあり、回想録「バーブル・ナーマ」は傑作と言われています。

そんなわけで、まずは「バーブルパーク」(正式名称は?)に連れて行ってもらいました。市内を案内してくださったのはB君のお父さん。15歳のすっごくかわいい妹さんも一緒で、楽しかった!

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(思慮深いバーブル像と博物館)

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(この日は午後には気温42度に。この時間帯はそれほどでもなく、地元の人もこのスタイル)

博物館が見えてきました。

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(MUSEUM BOBOR AND WORLD CULTURE)

中に入ると、、、いきなり、あったんです〜〜〜〜〜〜!!!入り口にさりげなく置かれていたんです〜!!

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タ、タイル!!!B君によると、「バーブルがアフガニスタンから持って帰ったもの」とのこと。私がタイルオタクであることは知らないB君、熱狂している私を不思議そうに見ながら奥へ。

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バーブルが持ち帰ったということは、カブールのタイル!?それとも昔日のヘラート!?このザクザクした粗い感じが何とも言えない!真ん中のコバルトブルー、、アフガンはラピスラズリの産地。この青の強さ、厚めの釉薬、もっと浸っていたかったけどな〜。。

** ヘラートのタイル ** このタイルについて、コメント欄より、「ヘラートの町の・・・・・・の廟の墓石」となっているようだと、お教え頂きました。Hさま、ありがとうございました。

*** ナヴァーイー墓廟のタイル *** 追記:H様より加えて教えて頂きました。このタイルは「ティムール朝の宰相で詩人のアリ-シール・ナヴァーイー」の廟のもののようだと。私の写真で切れていた上部から読み取って頂きました。感動です。。アリ-シール・ナヴァーイーは、ティムール朝ヘラート政権時代の文人で、ヘラートの芸術や文芸を振興した人。バーブルさんも尊敬し賞賛している人。その人の墓廟のタイルだったんですか、、。「持ち帰った」との言葉から支配地からの戦利品的ニュアンスを感じていた私、大間違いでした!!逆です。タイル建築がほとんどないインドにティムール朝のタイル、ナヴァーイーさんのタイルを持ち帰った、、中央アジア人のバーブル、タイルに思い入れがないはずがありません。しかも尊敬する人の墓廟のタイルです。大事な大事なタイルだったんです。このタイルが入ってすぐの場所にある意味を理解することができました。そして新たなタイルの見方を教えて頂きました。H様、お教え頂き、本当にありがとうございました。

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(何のタイルかわからなかったけど、建物のどこかに使われたもの?ターコイズブルー、深みがあります。細密画と一緒にあることには何かの意味があるのかな?)

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(『バーブル・ナーマ』は世界で翻訳されている名著。世界の『バーブル・ナーマ』が揃っていました)

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ティムールから始まる家系図。バーブルは5列目、右から2番目。家系図の上部は、サマルカンド・シルダリマドラサの獅子と太陽のタイル。ウズベキスタンといえば、このタイルですが、奪還できなかったサマルカンドへの思い入れというのもあるのかな、というのは考え過ぎ?

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(肖像画)

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(博物館内部壁面)

博物館内部の壁面は、一面に細密画が描かれています。壁面なので本物のミニアチュールの緻密さは無理ですが、噴水の水の渦まできちんと描かれていました。
細密画にはタイルが描かれていることが多くてうれしい。水場のまわりは、六角形タイルと菱形の組み合わせでした。

タイルに心を残しながら、外へ。次に来ることは、まずないだろうなあ、、なかなか来れないところだもの、、

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(ミュージアムから町を見る)

一帯が公園になっているので、植物が茂り、ロープウエーみたいなものもあり、チャイハネもあり。水場と植物と木陰とチャイ、ウズだなあ。

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(モニュメントのチャイポットと茶碗、大きい!左真ん中くらいにいる人と比べてみてください)

バーブルが中央アジア恋しさで涙を流したともいわれるウズのメロン。

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(メロン、スイカ、ブドウ、アーモンド、ピスタチオ。最高!アンディジャンにて)

フェルガナのメロンは本当に最高。とびきりおいしいからなあ、、。写真だけでも、どうぞ。ちょっとうるうるきそうなバーブルファンの私です。

B君、お父さん、妹さん、お母さん(仕事中の職場でお会いできました)、本当にありがとうございました!!お会いした温かいアンディジャンの人たち、どうぞお元気で!!


◆ バーブルとムガル関連 ◆ たとえば、こんなの書いています。
 「フェルガナ、カーブル、ヒンドゥスターン ムガル花模様の旅」
 「インド・ラジャスターンに咲く サンガネールの優雅なブロックプリント」
 「日差しを遮り風を通す 実用と装飾の美 ムガルの透かし彫り」
 「モンゴル系王朝が拓き、輝かせた、装飾タイルの世界」
by orientlibrary | 2011-09-10 10:26 | ウズベキスタンのタイルと陶芸