イスラムアート紀行

orientlib.exblog.jp

濱田庄司スタイルにワクワク、夏の休日

連休最後の日、陶芸や工芸に浸るプラン。「濱田庄司スタイル展」(パナソニック汐留ミュージアム)、「明・清 陶磁の名品」(出光美術館)、「不滅のシンボル 鳳凰と獅子」(サントリー美術館)の予定でした。

e0063212_2210090.jpg
(展覧会チラシ/イームズのラウンジ・チェアに座る濱田庄司/1970年頃)

まずは、「濱田庄司スタイル展」へ。濱田庄司さんといえば、私にとっても「民芸」の印象が強く、益子での作陶光景、作務衣とホームスパンのベスト姿などが思い浮かびます。
けれども、今回の展覧会の面白さは、「モダニスト」としての暮らしぶりに焦点を当てていることにありました。

この切り口はとても興味深く、「良いもの」「良き人々」とともに「良き時間」をおおらかに過ごしたた濵田さんの暮らし方、懐の広さ、まさに器の大きい生き方に、触発され、惹かれました。

e0063212_22122957.jpg
(ウインザーチェア/濱田庄司デザインの装飾電燈傘〜アールデコを彷彿とさせる直線模様と温かみのある木製枠/スーツ〜外出時はホームスパンのスーツ着用が常だった/帯留/赤絵角皿〜赤絵と丸窓を使用)

e0063212_222335.jpg
(絹の手織りネクタイ。部族ストールのノリに近い。ネクタイ的威圧感がないのがいいな)

濱田さんは幼少期の一時期を、神奈川県の溝ノ口で過ごします。この田舎暮らし体験により田舎の魅力に惹かれるようになりました。

同時に、少年の頃から西洋文化に興味を持ち、洋画を習い画家を志した時期も。実家の文具店には洋物の文房具や香水や石けんなどが並び、ハイカラな雰囲気が漂っていたそうです。そんななか、10代後半でルノワールの言葉と出会います。

「”フランスには、大変多くの美術志望者がいるはずであるが、なぜそのほとんどが絵だけを描きたがるのだろう。半分でも三分の一でも工芸の道に入ってくれれば、工芸の質も大きく向上するだろう”。この言葉との出会いが、庄司を画家から陶芸家に変えた訳である。ルノワールの言葉から得た着想は「生活に役に立つ工芸」。すでに、この時に庄司の理念の青写真は出来上がっていたようである」(「濱田庄司 プラスの生活 人・モノ・思考が交わるプラスの人生」/濵田友緒 より)

工芸の 道に進むことを決めた濵田さんは、板谷波山の指導を請うべく東京高等工業学校へ進学。卒業後は河井寬次郎が勤める京都市陶磁器試験場に入所。そしてイギリスへ。(以下、展覧会資料より引用)

「ディッチリングの工芸家村は、ロンドンから決して遠くない距離でありながらゆっくりとした時間が流れる穏やかな村で、ここではデザイナーたちが、生活も芸術活動もすべて身の回りの物事を自分の意思でデザインするという、健康で自由な生活が営まれていました」

「そうしたなかで、濱田はデザイナーたちを「確固たる信念と落着きを彼らの仕事と生活に持っていた。確固たる信念は頭によって得られるが、しかし落着きは良き生活の支えがなければ得られるものではない。」と評し、「良き生活」についての重要性を学び、帰国後益子での生活を選択したのでした」

「「健康」あるいは「健康な美」を追求した濱田の益子での生活は全て自然に基づくもので、現在でいうところのスローライフを先駆けて実践していたといえるでしょう」

e0063212_22262451.jpg
(「濵田庄治スタイル」より引用/濵田家母屋/第2次世界大戦前と思われる/ていねいで温かい。居心地良さそう。ミュージアムはショールームのビルの中にあり最先端のキッチンやリビング提案が多数展開されているけれど、、やはりこの写真の空間にいちばんの魅力を感じてしまいました)


e0063212_22203052.jpg
(「濵田庄治スタイル」より引用/益子にて、1968年/「濱田屋旅館のように毎日人が集まった」と息子さんが回想。濵田作品でごちそうをいただくんですから、、。本物の器と世界の工芸家たちが語り合う時間。それぞれが触発され様々な作品が生まれていったことでしょう)

展示もとても見やすく、家具や建築と工芸の心地よい調和が魅力的でした。とくに大勢のゲストや仲間でいつも賑わっていた濵田家の食卓の再現は、陶器のうえにある料理まで見えてくるよう。話声が聞こえるようで楽しい展示でした。(「濱田庄司スタイル」本にこの写真がなかった、、悲)

-------------------------
この展覧会ですっかりテンションが上がってしまい、「明・清 陶磁の名品」に行っても、まったく魅力を感じず、、10分くらいで出てしまいました。勉強のために見ておこうと思っていましたが、簡潔で温かい美の世界の対極にあるような華美な世界に、身体的波長が合いませんでした。色あいにもよりますが、陶器の「赤」が苦手です。それで龍なんかが描いてあると、、そんなわけで「不滅のシンボル 鳳凰と獅子」は、とても見る気がしなくなり、、

-------------------------
日本民芸館の「芹沢銈介と柳悦孝」に変更。

e0063212_2362144.jpg
(夏のしつらえの民芸館)

二人がその美しさに感動し、二人の仕事の基礎となった沖縄の染と織。紅型と絣、縞、花織などの衣装。そして幅広い二人の仕事が展示されていました。

e0063212_2355651.jpg


同時に「東北地方の工芸」も2つの展示室で紹介されていました。仙台堤焼、秀衛椀、浄法寺塗り、こぎん刺し、蓑、背当など、6月の「東北の手仕事」で知ったり触れたりした工芸を見ることができて良かったです。(こぎん刺しは、6月の「東北の手仕事」での山崎道弘さんのコレクションの素晴らしさをあらためて感じました。山崎コレクション、良かったですよ〜!)

ショップで「民芸」のバックナンバー655「特集 柳宗悦と東北の民芸」を購入。

e0063212_2258294.jpg
(表紙の写真は「背当」宮城県)

e0063212_22584390.jpg
(「民芸」655より/左=蓑、秋田県横手/右=蓑、山形県金山町/蓑は素晴しいです。西アフリカはマリのミュージシャンMさん、蓑を見て「コワイ」。日本の蓑の威力はすごいですね)

いいもの、好きなものを見るのは、楽しい。いい夏の休日でした。感謝。
by orientlibrary | 2011-07-18 23:22 | 日本のいいもの・光景