イスラムアート紀行

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ジプシーを追いかけて。バローチスタン&パンジャーブ

311からほぼ4ヶ月たった7月10日、久々にあるモードのスイッチが入りました。しばらく封印していたというか、別の回路で必死だったというか。とにかく、久しぶりに懐かしいところに帰って来たという気持ちになりました。

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(ラホール/Lahore Fortの幾何学模様タイル。黄色とターコイズブルーの八角星。ジャハンギールが好きだったデザインか/『THE MAJESTY OF MUGHAL DECORATION』より引用)

パンジャーブ、ムルタン、ラホールという地名に心が熱くなり、カッワーリーやバローチーのフォーク音楽、ジプシーたちの歌声に心が揺れました。

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(ラホール/Lahore Fort/黄色をセンターに青が印象的な六角星/『THE MAJESTY OF MUGHAL DECORATION』より引用)

「ジプシーを追いかけて」という映像イベント、2005年からスタートして、今回で26回目だそうです。長く続けるってすごいことです。主催者でありイベントの進行役でもある関口義人さんの「熱」に拍手です。

パンジャーブとは「5つの河」の意味。州都はラホール。イスラム王朝の都として千年の歴史があります。

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(ムルタンのタイル。どの青も強い色合い。コバルトというより濃紺といったイメージの青も)

ムルタンやウッチュなど、私の好きなタイルのある地でもあります。デリーサルタナット王朝、トウグルグ朝、ローディ朝などのタイルは、独特の青色とインド的なテイストを感じさせる濃いデザインが最高です。

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(この空の青があるからより映える強い青ですね。文様もおおらかで強い感じです)

「ジプシーを追いかけて」、関口さんは1985年にパリでジプシーに会って興味を持って以来、98年から世界のジプシーに会いに行っているそうです。
ジプシーは、現在世界60カ国に1300万人くらい。決まった住所がない人たちなので、出会うまでが大変とのこと。
世界にジプシー研究者は500名ほどいるとも言われており、その拠点はイギリスのリバプール(リバプール大学)なんだそうです。

ジプシーはどこから来たのか、その「原郷」は諸説ありましたが、最近では遺伝子研究(ヒトゲノム計画)などの成果もあり、北インドとの説が有力なようです。「染色体から考えて、北インドのグループに所属していたことがはっきりした」と関口さん。
トニー・ガトロフのジプシーフィルムを愛する私には、もちろんその説がもっともすんなりきます。

今回は、その原郷に近いエリアである、バローチスタンやパンジャーブの楽士(職能音楽家)に焦点を当てた企画でした。
そしてこの地域といえば、「バローチの恋人」村山和之さん。ブラーフィー語などを現地の言葉を学び、地域を歩いている人ならではの視点に、いつも大変触発されます。
今回も、バローチスタンの説明として「学生を客人としてもてなしながら連れ回した」(数年前に報道された大学生誘拐事件)など、いかに彼らが節度と義侠心のある人たちかを強調。その言葉、待ってました!

今回、圧巻だったのはバローチスタンの楽士の映像。Azim Jahnさん、聴き入りました。

そして村山さんや音楽好き大絶賛の「Coke Studio」からの音像。パキスタンの音楽番組「Coke Studio」は、とにかくすごい。ローカルで土着的な歌を取り上げても、ものすごく洗練されています。

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("Nar Bait "/ Akhtar Chanal Zahri/Coke Studio, Season 4)

超土着なゲスト、とくにフォークの歌い手は「聖者廟にすくう歌うたい、あるいは乞食とも」。一方、バックをつとめるミュージシャンたちは、まさに「バークレー出た感じ」。このミックスがたまらない。フュージョンってこういうものなんだね。中途半端にならず、互いに高め合って新たな世界を創っている。誰もがいい顔で演奏し歌っている。

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("Nar Bait "/ Akhtar Chanal Zahri/Coke Studio, Season 4/Zahriさんのアジュラック〜ストールがいいですね〜!ターバンの巻き方もナイス!)

元々ロック好きなところに北インド音楽が最も波長の合う私には、心地よく、かつ血が騒ぐような音楽世界なのでした。

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("Nar Bait "/ Akhtar Chanal Zahri/Coke Studio, Season 4/黒のベストの模様が気になりました。バローチ男子、粋ですな〜☆)

音楽に興味のある方は、こちら↓をどうぞ。「セバ(美しい)、バローチスターン」という言葉が聞こえます。YouTubeより、"Nar Bait "/ Akhtar Chanal Zahri(Coke Studio, Season 4)







トークは2部に分かれ、途中、アフガン音楽ユニット「ちゃるぱーさ」さんとバンスリの寺原太郎さんのライブもあり、盛りだくさんで大満足でした。
こうなると、アフガンのタイルも見たいですよね。

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(ヘラート/MAUSORLEUM OF GOHAR SHAD 1447/「太陽が輝くように光るタイル」/『COLOUR AND SYMBOLISM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』より引用 )

マザリシャリフのモスク(1480)↓。手前の茶碗の青色が気になります。

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(『COLOUR AND SYMBOLISM IN ISLAMIC ARCHITECTURE』より引用 )

好きな夏、いろんなテーマを私も追いかけてみたい。当面はやはり、「青のタイルを追いかけて」かな!?
by orientlibrary | 2011-07-12 22:37 | 美術/音楽/映画