イスラムアート紀行

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青に魅せられた人たち(picturesque blue)

この間、慌ただしくて、あっという間に時間が経ってしまいました。(楽しみにしていたギャラリー等にもおうかがいできず残念です。行けなくて、ごめんなさい)。
今年は、桜があまり入ってこなかった(見ているけど見ていない感じ)。こういう年もあるでしょう。

今回はタイルと青について少々。装飾タイル、とくにイスラムのタイルは青の比率が高く、紺碧の乾いた空にタイルの青が映えるところが大きな魅力になっています。
なぜ青なのか。日本の研究者の中でも、私が尊敬しているお二人の見解を交えつつ、陶器を含めた写真をアップしてみたいと思います。

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(ウズベキスタン、コーカンド)

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<イスラムの青のタイル 背景と意味> =深見奈緒子さん見解=

1. タイルに求められたものは=時代を超えて青の彩色を好んだ
2. 無論、比較的低温で青が発色するという製作上の理由もある
3. 青色にはおそらく空の色の魅力、ひいては天国への憧憬が潜んでいたと考えたい。多くの宗教建築においてムハンマドの色とされる緑よりはるかに青が多いのはこのためではないか
4. さらに、タイルの釉薬が輝く様も、他の建築では得難い質感である。光は唯一神アッラーの姿の一つとも形容される存在で、ここにも宗教への傾倒が現されていると解釈することもできよう
5. 耐久性や施工性はもちろんのことながら、これらの美的感覚がイスラームという宗教に根ざしていたと考えたい

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(染付八宝文大皿/中国 景徳鎮窯/明 17世紀/東京国立博物館にて撮影)

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(白釉色絵草花文皿/トルコ イズニク窯/17世紀/東京国立博物館にて撮影)

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(染付け花鳥文瓢形瓶/オランダ デルフト窯/17世紀/東京国立博物館にて撮影)

< ティムール朝時代の色と文様 青> =杉村棟さん見解=
1: ティムール朝の美意識。コバルトとターコイズの2種の組み合わせが絶妙に調和のとれたもの
2: 青が頻繁に用いられた理由のひとつは、濃い青色の場合、釉薬の原料がコバルト酸化物とフリットを混合したもので、それが豊富に入手できたことがある
(* フリットとは陶器瓦や陶磁器に代表される焼き物の釉薬に使われるガラス素材のこと。原料は珪素を主とする天然資源であり、ナトリウムやカリウム、カルシウム、シリカなど数十種の成分を含む釉薬の溶ける温度をコントロールしたり表面の光沢や耐久性を増すために使われる)
3:  淡青色には銅系の釉薬、これに鉄分が加わると呈色は青緑色になる。これも原料が豊富にあった
4:  セルジューク朝時代以来、アナトリアやイラン高原で好まれた古来の伝統、イスラーム的世界観、そして色彩感に乏しい乾燥地帯の自然環境や景観が強かな感性を育み、それが独特の美意識を形成した
5:  青は邪視など悪霊を排除する力を持っていると民間で考えられていた
6: 青釉とともに用いられるのは白、黒で、緑と黄色が補色として使用された
7:  暗紫色と褐色もバランスよく使われているが、赤色の使用は19世紀〜20世紀まで一般には避けられたようだ

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(ウズベキスタン・リシタンの現在の青。サマルカンドブルーを再現しつつ、爽やかで藍青から水色までバリエーション有り。布はインド)

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(ウズベキスタン、モスクの装飾絵画、藍青)

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(九谷焼技術記録/初代徳田八十吉作/1953年頃/tecnical record kutani ceramic ware process samples/初代徳田八十吉は石川県生まれの陶芸家。顔料と釉薬の改良に努め、九谷焼色絵の研究に心血を注いだ。1953年に「上絵付け(九谷)」で無形文化財に選定された。この「九谷技術記録」は、上絵具の厚塗りに特色がある/東京国立博物館にて撮影)

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(現在のイタリアンモザイク、煌めく青)

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(さぶ先生オリジナル釉薬)

釉薬についても、もっと知りたいです。インド版木を使った皿も作りたい。
元気出していきましょう!

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あと数日で「ユーラシア大陸自転車横断」に旅立つConnection of the Childrenの田澤君、加藤君が、石巻に行ってきたそうです。
* 「ユーラシア大陸自転車横断プロジェクトチーム「Connection of the Children(CoC:ココ)」

バブル後に生まれ育った世代。実直で人とのつながりを大事にする、、こういう若者たちが、今の日本に少なからずいることが、何とも心強いです。
下記、メールより一部を勝手に引用させてもらう形になりますが(ごめんなさい!!)、こういうさりげないことができるって、本当に学ばされる。私も背筋を伸ばしていかなくては。

「被災地は震災から一ヶ月が経過しましたが、いまだ爪痕は深く、復興には気の遠くなるような年月がかかる事を痛感しました。今回は、避難所でもある渡波小学校へボランティアへ行きました。

2日間、学校の窓を拭いたり、花壇に花を植えたりしてきました。そして、最後に廊下の片隅に桜を生けてきました。21日が始業式のようですので、その頃に満開になることを祈って。

被災地の人々は本当に強くて、毎日全力で生きています。廊下や教室は全国からの物資で溢れ、日本全体でこの震災を乗り越えるんだ!という意思を感じました。

今後は、直接的には生死に関係がないもの、しかしなくてはならないもの、つまり、心のケアができるものが必要ではないかとおもいます。僕たちが植えたお花をみて、涙をながすおばあちゃんがいました。

本企画実施まで、後わずか。この経験を胸に、ラストスパート、頑張ります」

心意気を、ありがとう!
by orientlibrary | 2011-04-17 21:55 | 青の道