イスラムアート紀行

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壁画とタイルで巡る 西域への心の旅 (silk road paintings)

◆ 大唐西域壁画 ◆

リニューアルが話題になっている東京国立博物館。特別展「仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護」も始まりました。外に出るのが初めてという奈良・薬師寺玄奘三蔵院奉納の大作「大唐西域壁画」が全点展示されています。

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(「明けゆく長安大雁塔・中国」「大唐西域壁画」/平山郁夫筆/2000年/玄奘三蔵院壁画 奈良・薬師寺蔵/博物館サイトより引用)

この壁画は、以前薬師寺にて拝見、その迫力に感動しました。その時のことを、以前(他に)書いたことがあります。
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 薄明かりの壁画殿。目が慣れてようやく、そこに展開されている壁画の雄大さに息をのみました。平山郁夫画伯が三十年の歳月をかけて完成したという「大唐西域壁画」。玄奘三蔵の求法の精神を描き、絵身舎利としてお祀りされています。
 長安から始まり、果てしない熱砂、急峻なヒマラヤ山脈、氷河をも超え行く過酷な旅を歩き抜き、インド・ナーランダ僧院に至った玄奘の旅にまつわる地が、七場面に分けて描かれています。
 東には戻らないという不屈の「不東」の志に、胸がいっぱいです。見る者にそのような気持ちを抱かせる平山画伯の絵の迫力も、ただならぬものがありました。
 見上げれば、天井もまた西域の空。なんと群青色の貴石であるラピスラズリを贅沢に使った一面の空です。それは旅人が見上げる紺碧の空でもあり、一日の疲れを癒す深く遠い夜空でもあるようです。
 空をよく見ると、入り口近くには日光が、出口近くには月光が描かれ、壁画群の中心にあるヒマラヤの絵上部には、散華の様が描かれています。空間全体が、仏教の宇宙観、思想、それを命をかけて学び伝えようとした人々の思いを表しているように感じました。
  春の星ラピスラズリの宙重し 
  大壁画抱く伽藍に霾れる 
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( 「ナーランダの月・インド」「大唐西域壁画」/平山郁夫筆/2000年/玄奘三蔵院壁画 奈良・薬師寺蔵/博物館サイトより引用)

シルクロード周辺が好きな人間にとって、やはり平山さんは特別です。自らの被爆体験を原点とし、創作と文化財の保護に生涯を捧げられました。「絵を描き続けた平山」として夫人の言葉が紹介されていました。「平山の人生は行(ぎょう)であったのですが、人に喜んでもらえる事が平山には嬉しかったのです」。そして、今は苦しみも痛みもない世界で存分に絵を描いているでしょう、と結ばれていました。

今回の展示を見、あらためて、一人の人間としてなんとたくさんのことを、意味のあることをされたのかと思います。
また再度壁画を拝見して、沙漠や廃墟、過酷な自然などが題材にも関わらず、乾燥や荒涼よりもむしろしっとりとやさしい情感があふれているように感じました。もう一度、今度は薬師寺で見たいと思いました。

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(仏教伝来の道より「舎利容器」/6~7世紀/中国・クチャ・スバシ出土/華麗な筆致と彩色によって奏楽などの場面を見事に表現した、西域美術の傑作/博物館サイトより引用/イキイキと描かれた華麗な衣装の人々、この絵画に魅了されました)

基本的に、東博は常設展が好きです。多数の国宝や重要文化財を含む11万点もの所蔵品の中からのテーマ展示は、小規模な美術館の企画展くらいの見応えがあります。それが館内でいくつも展開されているのですから、本当に贅沢な時空間だと思います。しかも、企画展のような混雑はなく、静かにゆっくり見られるのがいい。写真撮影ができる(一部を除く)のも大変に有り難いです。

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(三彩兎文皿 磁州窯/金〜元時代、13世紀/文様を線彫りで手早くあらわし、緑、黄、白の釉薬を塗り分けて彩っている。13世紀後半の三彩の稀少な基準作となっている/東博にて撮影)

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(染付吹墨亭兎図皿/伊万里/17世紀/東博にて撮影)

今回の平山展では、珍しくスーベニアを買いました。普段は図録以外は買わないのですが、モチーフが好みなので、ついつい。とくにウズベクの絣のメモ帳は面白い。使いにくいけど、これははずせない買物でした。

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◆ タイル友 ◆

昨年夏からスタートしたペルシアタイル絵付け、今年はまだクラスを受けていないのですが、その前に教室の新年会。ふだん会わない曜日の生徒さんとも顔合わせして楽しかったです。

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(持ち寄りで多彩な手作り料理が揃い、とても写真に撮れないほどでした。これはさぶ先生作のイラン風カレー。さぶ先生の母上作のソフレ(食卓布)と。羊や山羊の毛をつむいでの手織りソフレ。色合いといい模様といい最高です!)

とくにお会いしたいと思っていたタイルクラスの方に会えて良かった。建築の仕事をなさっているOさんは、スペイン居住時にタイルと出会いスペインでタイル絵付けを勉強された方。私の雑なタイルとは全く違う次元で、細密で美しい。現在、大作を作成中です。

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(さぶ先生の新釉薬。きれいだ〜!私も使いたい!)

さぶ先生とも「日本で装飾タイルをもっと広めたい」と、いつも話をしているのですが、Oさんもお仕事の中で工夫して提案されているようです。

こんな同好の仲間が増えていく、、うれしいです。、、と思っているところに第3の生徒登場。年末デビューで、映像関係の仕事をなさっている男性ですが、この方も最初とは思えないくらい上手。

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(絵付けタイル/トルコ文化センター)

3人で「どうしてタイルなんですか?」等々、タイル話に熱中。日本でタイルの話ができるなんて、感激です、、(泣)。

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(絵付けタイル/トルコ文化センター)

平山郁夫さんの修行のような日々、偉業には遠く及ばずとも、小さなことでもしっかりとやっていかねばと思いました。
by orientlibrary | 2011-01-19 00:14 | 日本のタイル、やきもの