イスラムアート紀行

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ティムール期のタイル装飾 ビビ・ハヌム

東方イスラム圏のタイル装飾の頂点と言われるティムール期。個人的な好みでは、東方イスラム圏ばかりか、イスラムタイルの精華ではないかと思う。特にモザイクタイルや聖なる青の力強さに、ルネサンス的な伸びやかでイキイキした時代の息吹を感じる。

ティムール期の技法はイラン・サファビー朝に受け継がれ、イスファハーンでモザイクタイル、絵付けタイルともに最盛期を迎える。またアナトリアでは、オスマン朝期にはティムールから影響を受けた植物紋の多彩色絵付けタイルが発展した。

こうしてタイル装飾は、イスラム美術や建築装飾の真髄と言われる存在になっていく。ティムール期は多様なタイル技法の開花期であり、その「旬」の雰囲気が今もなお続いているように私には感じられる。

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ティムールは1370年にトランスオクシアナ地方を統一して、サマルカンドを首都とする大帝国を築いた。1398年にはデリーを攻め、その後西へ。1400年にはシリアのダマスカスでマムルーク朝の軍隊に勝ち、1402年にはアンカラでオスマン軍を破る、という破竹の勢いを見せる。

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(Mausoleum of Babi-hanum /samarkand/ 1398-1408)

戦争に明け暮れたティムールだが、建築には力を入れた。イランをはじめとして各地から優れた建築家や芸術家を集め、多くのモスクや廟を作った。サマルカンドやブハラ、ヒワなどには、青のタイルに覆われたドーム廟やモスク、マドラサが、市街地の中心に今も位置し、中世の面影を残す魅力的な街の景観を形作っている。また、サマルカンド郊外の「シャーヒ・ズインダ(墓廟複合体・14世紀後半)」では様々なタイル技法が試みられており、タイル装飾ミュージアムの趣き。

「ビビ・ハヌム」は中央アジア最大のモスク。ティムールが当時の建築技術の粋を結集して建造。完成したのは彼の死後3年も後だった。時とともに荒廃し廃墟のようになっていたが、ユネスコの協力で修復が進んでいる。バザールに隣接したビビ・ハヌム、今も人々の暮らしを見つめているようだ。
by orientlibrary | 2005-10-12 00:00 | ウズベキスタンのタイルと陶芸