イスラムアート紀行

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流麗なペルシア書道にうっとり〜☆&カリグラフィーの写真など

イスラム圏の装飾タイルを見るとき、煌めく青や華麗な植物文様に魅せられると同時に、モザイクなどで描かれたカリグラフィー(文字を美しく見せる手法、書道)の見事さにため息が出ます。

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(サマルカンド・グルエミル/ドームのドラム部分、クーフィー体。施釉レンガと無釉レンガの組み合わせ)

最初の頃は、それが文字だとも気づかないことが多かったと思います。今だに読み方もさっぱりわかりません。流麗優美な文字をタイルで表現していることに、ただただ圧倒されています。

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(サマルカンド・シャーヒズインダ墓廟群/幾何学模様とカリグラフィーの組み合わせ)

絵付け教室のさぶ先生は、じつはペルシア書道の巧者。タイルにも様々な書体を美しくサラサラと書いていきます。書道と陶芸の実験的な試みの展示(「イランと日本の書で感じる、ペルシャのことわざ」)も。興味深かったです。

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(さぶ先生、書道と陶芸/「空」という文字の書。「どこに行っても空は青色」の詩が添えられている)

カリグラフィー、もちろん興味はありますが、習うとことろにまではなかなか踏み切れません。そんな私に絶好の機会が。ペルシア書道の教室をもっていらっしゃる角田ひさ子さんの「ペルシア書道のあれこれ」というお話の会があり、体験もできる、とのこと。大喜びでおじゃましてきました。とても興味深く、楽しいひとときでした。

今回は、教わったお話の一部、そしてカリグラフィーのタイルや陶器などの写真も合わせてご紹介したいと思います。

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<まず、気になる「ペルシア書道の特徴、アラビア書道との違い」などについて>

・ 縦の直線が長いのがイランの特徴
・ 源はアラビア書道。中国と日本の書道の関係に似ている。アラビア文字が借用され、さまざまなアラビア書体を介してイラン独自の書体を作り出している
・ ナスフとソルスの2書体はアラビア書道としてイランへ伝わった。イランではアラビーの書と呼ばれ、師のお手本の文はアラビア語
・ ナスタアリーグとシェキャステの2書体は、イランで独自に作られた。特にナスタアリーグは楷書にあたり、学校教育の手書き文字や習字のお手本とされ、まず習うべき第一の書体

(書体の資料を頂いたのですが、勝手にアップしていいものかわからないので、wikipediaの該当項目をリンクしておきます)

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(タブリーズ・ブルーモスク/解説本よりアップ写真。モザイクで表現していることに感嘆)

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(上写真右手中あたりにこの左端が見えます/これは何体でしょうか=コメント欄より教えて頂きました。クーフィー体だそうです。多謝!=。カリグラフィーに植物模様をからませてモザイクタイルにしているのですから気が遠くなりそう/ブルーモスク解説本(上のものとは異なります)より。素晴らしい本なのに白黒で紙がペラペラ。裏が透けています。惜しい!)

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<書体について(建築物で見るのはソルス体。イランらしいシェキャステがカッコいい)>

・ クーフィー体=書道というよりはデザイン。建物の壁面モザイク模様、ポスター、本の題字など。古いコーランを書く書体。イラクのクーファで広まった。水平、垂直を巧みに使った直線的な特徴を持つ書体は、総称しクーフィー書体と呼ばれている
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(出所wikipedia)

・ ナスフ=読みやすく書きやすい。イラン、アラブ世界の活字印刷用文字。

・ ソルス=幾層にも複雑に入り組んだ線は力強く壮麗。雄大で美しい。モスクのタイル、本の見出しやポスター。クルアーンや宗教的な文書などに使用。長く引き伸ばした縦線のアルファベット、比較的浅く開いた円、複雑に重なる全体構成が特徴。文字は大胆に折り畳むように重なり合う。アラブ諸国で書かれているアラビア書道では、スルス書体と呼ばれ力強い壮麗な書の代表
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(ブハラ)

・ ナスタアリーグ=柔らかく清楚で気品。ペルシア書道の楷書。イランで生まれたイラン独自の書体。15世紀頃、ナスフとターリーグを編纂し変化を加えて創り出す
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(出所wikipedia)

・ シェキャステ=シェキャステイェ・ナスタリーグ。崩し字。草書。流麗だが複雑な文字のつながり。現代イランではカード、ポスター、絵と書道が組み合わさった書絵画など装飾的なデザインに利用。幾重にも重ね乗せる。詩はイランで生まれたナスタアリーグとシェキャステでよく書かれる

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<道具(実際に見せて頂きました。没食子、生まれて初めて聞いた言葉。薔薇水を使うのもペルシアらしいなあ。紙の流行のお話も面白かった)>

・ 筆=先の固い「葦」や「竹」から作る。こげ茶がかった赤、葦の先をカットし削り先端を右肩上がり斜めに鋭利にカットする
・ 葦ペンはフーゼスターン州のデスフールが産地。赤茶色のものが質が良いと言われる
・ 日本では竹ペンを作る
・ 墨=主原料は煤、没食子(もっしょくし。イランや小アジア地方に産するブナ科植物の若芽に蜂が刺して生じた直径2センチほどの虫こぶ)、アラビアゴム、明晩。溶液の墨と固形の墨(細かく砕かれている)。沸騰させて水を冷まし墨を適量加え完全に溶けてから布などを使って漉す。蒸留水、薔薇水を使う。濃さを調節できる
・ リーゲ、絹糸。書道専用。ボタつきを防ぐ
・ 紙、ゲラーセ。白いつるつるした紙。最近は古びたテイストのものが流行

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カリグラフィーは様々なものの装飾に使われます。

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(モロッコのカリグラフィー装飾。大理石の例。道具も紹介されている優れ本=「TRADITIONAL ISLAMIC CRAFT IN MOROCCAN ARCHITECTURE」より)

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(大理石に刻まれたカリグラフィー。硬い大理石、ミスは許されない。職人技がすごい/同)

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(絨緞にもこんな文字が。物語的ないわれがあるということで写真を撮ったのですが、違っていたら困るのでやめておきます)

道具の写真などもありますが、長くなるのでいつかまた機会があれば。タイル絵付けでもカリグラフィーは登場しそうですので。

体験で書いたもの? 沈没しました。線引くだけでもむつかしかった。何事も道は長く険しいです。^^
by orientlibrary | 2010-12-16 16:45 | 美術/音楽/映画