イスラムアート紀行

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パフレヴァーン(ペルシア騎士道)の伝統に連なる「ズールハーネ」見学記

先日、「イラン伝統スポーツ“ズールハーネ”と音楽の鑑賞」と題した催しがありました。会場(文京シビックホール)は、イラン好きやスポーツ好きで満員。皆さん身を乗り出すようにして見学し拍手喝采。おおいに盛り上がりました。

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(ズールハーネパンフレットより/デザインもイランらしい優美&神秘の雰囲気)

ズールハーネ、一度イラン旅行の際に見ましたが、「!!何これ??」絶句状態。「マッチョな人たちがジムとダンスと体操を合わせたようなものを音楽に合わせておこなう」というふしぎ〜な世界。しかも観客も男性がほとんどで、とにかく濃いことこの上ありませんでした。

でも今回、「英雄のスポーツ(ヴァルゼシェ・パフレヴァーニー)」とも言われている由緒正しい伝統的な肉体訓練法であることを知りました。解説には、「イラン文明の象徴のひとつで、詩、文学、音楽、建築美術、道徳心、神秘主義思想を芸術的な動きで表現するパワースポーツです」とあります。(=文章だけでは??ですよね)

頂いたパンフレットなどを参考に、写真と合わせ、イランのふしぎの世界をご紹介しましょう。

まず現れたのが、今をときめくこの女性。サヘル・ローズさん。(ご存知の方も多いと思いますが、いちおうwikipediaのリンクをつけました)イラン民族衣装をまとい、とてもきれいです。明るいトーンのハキハキとした司会進行で、場を盛り上げていました。

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ちなみに、今回の後援に「ダルビッシュギャラリー」の名前も。ダルビッシュ有選手のお父さんのお店。こういうかたちでイランの名前が出るのは、いいですね。

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(こちらは在日イラン大使アラグチさん。イランのナイスミドルって感じ。フォトジェニックです〜^^)

まずは音楽演奏から始まりました。これが良かったんです!!打楽器だけなのに、様々な楽器とスタイルで多彩。素晴らしい。大胆にリズムを刻むものから、指が魔法のように滑るように動く繊細なものまで、イラン打楽器の音の世界に魅せられました。
さらに楽器の形も装飾も美しい。さすがイラン!これらは、伝統打楽器音楽(ダフ、ダマム、トンバクなど)だそうです。

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(全体のリズムを刻み迫力。テクニックも素晴らしい。中央にザングと呼ばれる鐘もあります。右側の方の朗唱に聞き惚れました)

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(様々な楽器はそれぞれに魅惑の音。左の人の横にあるものも打楽器。きれい!)

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(優美さ、繊細な演奏に聞き惚れました。魂を揺さぶるようなパキスタンのスーフィー音楽と相当に違う世界だと感じました)

演奏を堪能した後は、いよいよズールハーネ選手たちの登場。「イラン・イスラム共和国国立ズールハーネチーム」。わあ、、国立ですか。これはまたすごいですね。

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(ペイズリー模様が気に入りました)

*ズールハーネ=神聖なる場所であり、力と礼節、強さ、精神力、芸術の家である。肉体と精神を同時に鍛錬するための、世界でも最古の公式なスポーツジムである。

*扉=男性の身長より低く作られている。礼節と謙虚を常に同時に尊ぶように、このような設計になっている。

*リング=メインホール階よりも低いところに作られ、格闘場のシンボルである。非常に神聖かつ高貴な場所であり、身を清めなければ誰人も入ることを許されない。選手たちは敬意の証として、手のひらでリングに触れ、リングに入るときにはその手に接吻をする。

*モルシェド(師)=叙事詩・道徳詩を歌いながら太鼓や鐘をたたくことによって選手たちを導く、精神的指導性を兼ね備えた芸術家。

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(このミールは40キロだそうです)

*ミール(こん棒)=古代の格闘技、さらには悪との戦いの武器の象徴。通常は木で作られ、重さは2キロから40キロの間である。*ミール・バーズィー=投げ上げキャッチする。

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* パー・ザダン=足を使った踊り。非常に迅速かつ巧みな、様々なスタイルでの、足を使ったリズミカルな動き *チャヒルダーン=旋回すること。戦場へと向かう勇士たちの象徴であり、ズールハーネにおけるもっともアクティブでエキサイティングな鍛錬法の一つである。(全般に動きが早すぎてコンデジでは写真撮れず。特に旋回は無理でした)

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*キャッバーデ=鉄やメタルの鎖でできており、重さは6キロから20キロほどである。

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(レスリングのパフォーマンス)

*ドアー 祈り=練習の最後に、全ての選手と観衆は、全能なる神に、全世界の人々に平和と友好が訪れるよう祈る。

*ズールとは「力(ちから)」、ハーネは「家」。すなわちズールハーネで「力の家」という意味になる。イランでは各街区にこのズールハーネがあり、その数は現在600カ所と言われている。

*パフレヴァーン(イスラム的騎士道)の伝統に連なるものであって、神のため、来るべき日に備えるという思想がある。

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(ズールハーネパンフレットより/なぜに黄色、、。回りには真剣に見る人たちが)

ズールハーネ、その深い背景や歴史も知り、寒さも忘れる熱いひとときでした。出演者の皆さん、企画してくださった大使館の皆さん、どうもありがとう。
by orientlibrary | 2010-12-08 23:06 | 社会/文化/人