イスラムアート紀行

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もっと楽しくミニアチュール!(タイルもあるよ☆)

先日、タイル教室に持って行ったもの、ミニアチュール(細密画)2枚。ミニアチュールにはタイルが描かれていることが多く、それも私が細密画に興味を持つ理由のひとつです。

2枚のうち1枚は、イランのお土産にいただいたもの。「バザールで買った。安かった」と聞いていました。
モスクのような建物にはタイルが描かれており、絵の回りにはペルシア語で何やら文章が。ニシャプール生まれの「さぶ先生」に何が書いてあるのか聞いてみたかったのです。
物語のようで、絵が描かれたのは40〜50年前とのことでした。教室では、紙質のことなどで盛り上がり、楽しみました。

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が、帰って、再度じっくり見るにつけ、なんだか不思議な絵だなあと思い始めました。
これまで見てきたミニアチュールには王様や貴族や美女たちが華麗に描かれていました。

それに対して、この中の人たちは、どうみても庶民ですよね。
画題的には、パッと見たときは、植物に親しむ村人、という感じかと思っていましたが、手の動き、指先が不思議。この画家の癖なのか、妙にどこかを指し示しています。
そして、わからないのが壺のような瓶のような、茶色のもの(左下で男性が見ている、一番左の男性は手に持っている)、これは何??
そして、たくさん人がいるのに、皆バラバラの動きをしていて、しかも山の方には怪しい3人組。天眼鏡で見ると、軽いタッチのアニメ調です。

建物も、左から見た構図、かと思えば、その他は正面から見た構図。煉瓦の柵の隙間から伸びている大きな木。ありえない、、。
細密画というより、民画というか、挿絵(イラスト)というべきものなのかな。でもなんだか、独特の味わいがありますよね。いいですね。

一方、もう1枚は、私がイスラマバードのホテルのアンティークショップで買ったもの。いわゆる、まっとうな絵、です。

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が、さぶ先生曰く、「紙って古くするのは簡単なんだよね」(静かにやわらかく)。ほう、、。
「でも、けっこう高かったんですよ、、」
陶芸のK先生、「10ドルくらいだったんですか」(にこやかに淡々と)。のー、、。
「アンティークショップなんで、、」

たしかに細密度はそれほど高くないかも。
(以前一度アップしましたが)こちらと較べると。

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(なんて流麗、優美。インドが誇る目利きB氏にいただいたもの。額装の上から撮っているのでボケボケですが、、実物はキレイです!)

博物館収蔵品だと、このようなものが。

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(東京国立博物館にて撮影/ジャハンギール立像/インド ビカネール派/紙に水彩、金彩/解説=ジャハンギールはムガル帝国の第4代皇帝(在位1605〜27年)。本図は時代的に下ったもので、表情などは同帝の他の作例と比して安定している)

現在のインドで。観光地のちょっと高級なお土産物屋さんの奥には、細密画のコーナーが。

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(あまり気合いが入っていない印象。画題も好みじゃない)

比較するなら、こちらも。ウワサのプチ美術本『民族衣装』(マール社)。

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(細密な図版を再現した文庫本サイズで、驚異の291円。このシリーズ、『世界装飾図』なども291円。マール社さん、エラい!)

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(元がフランスの豪華本だけに、インドなんだけどどこかヨーロッパの香り?「ジハン・カーン」「ラジャプート族」の表記が新鮮/『民族衣装』(マール社)より引用)

そうこうしているうちに、youtubeで、本当に偶然に、これを発見!!「現代アートに負けるな、イランの「伝統美術」」(せっかくyoutubeの埋め込み方がわかったのに、こちらは埋め込み無効。残念。細密画、ものすごくキレイ!)。

<内容>=「(この人は)数々の賞を受けた細密画作家だが、長い間作品は売れていない。「生活費や家族のことを考えるが、、作品を前にするとすべて忘れるんです」と語る。毎日8時間作業して4か月かかった作品は8000ユーロ。蒐集家は現代アートを好み買い手はほとんどない。細密画はほぼ消滅しかけたが、ヨーロッパなどの新たな買い手がある。20世紀初頭に欧米の東洋学者や蒐集家や学芸員が来て、本を書き図録を作った。彼らが細密画の再発見を助けた。レザ・アバン博物館が所蔵している最古の細密画は10世紀のもの。歴史を学ぼうとするイランの学生らが訪れている。数少ない現役の細密画家は生活のため教室を開く。唯一の市場は海外。イランの文化遺産に興味を持つ外国人だ」

そうなんだ、イランでは現役の細密画家が少ないんですか。
ウズのお土産物屋さん、細密画のアトリエと兼ねたものがけっこう多いけどなあ。たくさんの作品を販売しています。ただやはり、買うかというと考えてしまう。小物は買うけれど、大作となると難しい。でも、ウズの職人さんは、上手いですよ。今も職能が生きてる。ウズだなあ。

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(イランの細密画家に敬意を表して。シャー・アッバースの息子の肖像だそうです/『民族衣装』(マール社)より引用)

タイル絵付け物語は、続行中。
ブログで書きたい大きなテーマも考え中。
でも、現実はなかなか、、
イスラムアート紀行、がんばります。
by orientlibrary | 2010-10-06 23:12 | 美術/音楽/映画