イスラムアート紀行

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圧倒的にクールな中央アジア伝統染織!でも現代のアパレルは、、

ニュースでウズベキスタンの文字を見聞きすると、ん?と思って注目してしまいますが、今回はファッションでの話題。ウズとファッション?!

◆ デザイナーを触発する中央アジアの伝統的装い ◆
「東京ミッドタウンを主会場に開幕した2010~11年秋冬の東京コレクション。ヒロココシノ(コシノヒロコ)は、ウズベキスタンの伝統的な織物や日本の雪国の山村の衣服、文楽や歌舞伎からヒントを得たコレクション。「アジアに共通する素朴な美を現代的に表現した」とコシノ。たすきや帯など日本独特の文化を連想させるディテールが面白い」(毎日jp)

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(2点ともヒロココシノ/東京コレクション)

「デザイナーコシノヒロコ氏が訪れた中央アジアに位置するウズベキスタンからインスパイアを受け、これをはじめとするアジアの国々の歴史と文化とを融合したコレクション。ブラックを基調としたデコラティブなルックから、染めや素材へのこだわりを感じるスタイルまで、ディテールへのこだわり、クリエイションの高さを感じる豪華で芸術的なショーで会場を沸かせた」(fashionsnap.com)

コシノヒロコさんといえば、たしかウズベキスタンの刺繍布スザニのコレクションをお持ちですよね。以前、大倉集古館でのスザニ展示はコシノさんのものとのウワサが。

ファッションデザイナーが中央アジアにインスパイアされるのはコシノさんに限ったことではなく、世界のデザイナーがシルクロードの伝統的な衣装や染織を最新のデザインに取り入れています。
1996年秋にはジョン・ガリアーノが「ノマド」をテーマに作品を発表。2000年代に入ると、ドリス・ヴァン・ノッテン、ベルンハルト・ウイルヘルムらが作品を発表。クリスチャン・ディオールもコレクションに取り入れています。

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(『シルクロードの装い』展チラシ)

こうした流れを受けて、日本で2004年に開催された「シルクロードの装い 〜パリコレに花咲いた遊牧の民の美〜」(東京都庭園美術館)は、中央アジアと最新モードを融合したデザイナーの作品と伝統衣装や装身具を合わせて展示し、切り口が新鮮でした。また若い人も大勢来館していたのが印象的でした。

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(この色合わせのセンス!/女性外出用ドレス/19世紀後期/アフガニスタン/クッチ族/『シルクロードの装い』カタログより引用)

中央アジアって、きれいなものがたくさんあるんですよ!染織、ホントにすごいですよね〜!この大胆なデザインや色使い!突き抜けてますよね!タイルも最高に素晴らしいんですよ!、、いつもそう言いたい気持ちでいる私。コレクションのニュースに、やっぱりね〜(ふふふ)、とちょっと自慢気分になったのでした。

◆ 現在の中央アジアのアパレル産業は? ◆
でも、、諸手をあげて喜んでもいられない部分もあります。
世界レベルのすごいデザイナーたちが伝統的な染織にインスパイアされている反面、ウズ自体の現代のアパレル産業や綿花産業はなかなかきびしいものがあると思うからです。

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(「STYLE.UZ」ー2008.10月ーでの高田賢三さん)

たとえば、東西の美融合の先駆者である髙田賢三さんも招待された「STYLE.UZ」(2008.10月12-17日開催)。どんな内容かというと、、
「タシケントのファッションウィークの主催団体である「ウズベキスタン文化・芸術フォーラム基金」と「スタイルハウス」は、オーストリア、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、トルコ、インド、アメリカ、スイス、日本、中国から20名以上の有名なデザイナーや人気ブランドの代表者を招待しました。その他にもDJや国際的ファッション誌の編集者、宝石ブランドのオーナー、社会活動家、テレビ局やファッション業界団体の代表者などの著名人が参加しました」(ウズベキスタン文化・芸術フォーラム基金駐日代表部)

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(ファッション週刊誌WWDジャパン2008年12月1日号)

外部の視点の一例として、取材記事をご紹介。「第3回ファッション&アートウイーク“スタイル・ウズ”開催 ウズベキスタンはファッション立国できるか?」(ファッション週刊誌WWDジャパン2008年12月1日号)より一部を抜粋〜要約します。

「なんといっても同国の主要輸出品は綿花であり、独立後は世界最大の綿花栽培国である」(注:現在はたぶん中国が1位だと思います)
「この綿花を綿織物に加工し、さらにアパレルとして付加価値をつけて輸出しようとする国家プロジェクトが始まっている。その一環としてファッション振興があげられ、ファッションデザイナーの育成もそのひとつ(=ウズベキスタン文化芸術フォーラム駐日代表のコメント)」

「すでにタシケント、サマルカンド、フェルガナの3都市に国立の繊維・アパレル大学が設立されるなど、急ピッチで基盤作りが進められている」
「(今回の取材で見る限りではウズのデザイナーたちは)強くウズベキスタン特有の民族色を前面に打ち出している。虹や孔雀のような多色使いのボカシ、カスリが入ったような独特な織りやイカット風柄が頻繁に登場する。モスクに用いられている独特のモザイク模様も多く見られた」

「注目を集めたのは(カリモフ大統領の長女)グリナラ・カリモワがデザインする「グリ」だ。同ウイークでは彼女のジュエリー・ブランドの発表もあった」
「BRICSの次に来る新興国としてウズベキスタンの名前があがるようになるまでにはもう少し時間がかかるだろうし、同国デザイナーのレベルアップも簡単になされるとは思えないが、今回の「スタイル・ウズ」はファッション立国に賭ける同国の熱い思いを十分に感じさせた」

記事は前向きなスタンスで書かれていますが、行間には「むつかしいだろう」というニュアンスがある印象。
だいたいが、国家がおこなっているという時点で素直に入っていけない。またまた大統領長女が出てきて、、引くわ〜。

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(ほれぼれ〜☆☆☆/タジク民族衣装イラスト/1960年代のソ連作成の資料集より)

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(大胆なデザインと細密な手仕事。圧倒的/タジク民族衣装イラスト/1960年代のソ連作成の資料集より)

◆ 綿花産業、、きびしい ◆
さらに、今をときめくH&Mのサイトには「ウズベキスタン産コットンについて」というページがあります。

「先ごろ、ウズベキスタンにおいて綿花栽培のために児童労働が引き続き行われているとの報告がありました。これを受けて、H&Mは現在、自社商品へのウズベキスタン産コットンの使用を避けるよう努力しています」

「ウズベキスタンが世界有数のコットン輸出国であることを考えると、同国産コットンは、H&Mの衣料品に限らず、あらゆる種類のコットン製品に含まれている可能性があります。コットンは製品になるまでに何度も取引を経由するため、またH&Mが自社でコットンを調達していないため、その生産履歴をたどるのは事実上不可能に等しいと言ってよいでしょう。数は少ないものの、綿花調達を自社で行っているサプライヤーは、ウズベキスタンから綿花を買い付けないことをH&Mに確約しています」

流通の巨人ウォルマートも。
「米ウォルマート社は、ウズベキスタンがコットン収穫時に強制的に児童労働を使用していることから、ウズベキスタン産コットンの調達を中止するよう、世界中の自社納入拠点に命じた」「これを受けてウズベキスタン政府は9月12日、児童労働の使用を撤廃するための国家行動計画を発表した。ウォルマート社は、同政府によるこれらの措置がきちんと確認できれば、納入業者への指示を修正する方針だ」(出所:Inteletex/2008年10月02日)

はあ〜、、秋の収穫期には学生も勤労者も綿花摘みに行くって言ってたからなあ、、その後「国家行動計画」はどうなったんでしょうか。
ファッション立国の前に、生産のシステム、物流の整備、法制、民主的な商習慣、、いろいろありそうだ。
がんばってね、ウズベキスタン(国家)さん。ホントにホントに応援してるんだから!!

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(もう〜、、絶句するほどカッコいい!!!くらくらくら、、/タジク民族衣装イラスト/1960年代のソ連作成の資料集より)
by orientlibrary | 2010-04-17 00:40 | ウズベキスタンのタイルと陶芸