イスラムアート紀行

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バーブルがつなぐ ムガルとフェルガナ

●他の方のブログでウズベキスタンの記事(しかもフェルガナについて)がアップされているのを見たら、急にポンっと中央アジアスイッチが入ってしまいました。今回は、インドからちょっとウズに飛んでみようと思います。

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(フェルガナのハーブ園。いちめんのカモミール。清々しいアロマ)


●インドとウズベクって、まったく違うね、と思われるかたもあるかもしれません。でも、意外と関係が近いんです。今回のインド、ムガル朝のタイルや模様も見て回っていたのですが、ムガルの話を聞くたびに中央アジアのことを思い出していました。

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(フェルガナのハーブ園。爽やかな風、澄んだ空気、風にそよぐ花。庭園好きのバーブルが生涯懐かしく思ったのは、こんな涼やかな世界だったかも)


ムガル帝国を建国したのは、フェルガナ・アンディジャン生まれのバーブル。1526年にローディ朝を破り、ムガル朝を創始しました(文末の関連記事をご参照ください)。デリーやアグラはその拠点ですから、優れた建造物がたくさんあります。シャー・ジャハーンっていう建築マニアの王様もいますしね!

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(フェルガナの杏園。旅スイッチが入ってしまう光景です、、)


●タイル装飾が見事に花開いたティムール朝、そのインドでの継承王朝ともいえるムガル朝ですが、インドは赤砂岩や白大理石という素材にこだわり続けましたから、タイル装飾はあまり発展しませんでした。中央アジアを故郷としつつ、インドの土着性が強く出ているような気がします。

●そんなインドとウズベキスタン、どちらが知名度があるかといえば、圧倒的にインドでしょう。多くの書籍や写真集から憧れる人も多く、情報も豊富です。一方、ウズベキスタンは、「どこにあるの?」と聞かれることも少なくありません。アフリカや南米の国と思っている人もいました。「地球の歩き方」も中央アジア版はけっこう最近なのでは?


●そんなウズベキスタンですが、この3月、すてきな本が出版されました。『体験取材!世界の国ぐに ウズベキスタン』(ポプラ社)。出版社名からもわかるように、子どもを対象として(図書館などに置かれることを念頭において)作られた本です。
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●内容は、「ウズベキスタンってどんな国?」「人びとのくらし」「子どもたちのくらし」「信仰と行事、伝統工芸」の4部構成。見開きで1テーマ。簡潔でわかりやすく、しかも内容はしっかりとして深みがあります。マハラ(共同体)のこと、イスラム教のこと、伝統音楽や工芸のことなど、テーマも多彩。農場や学校を訪問しての取材記事も臨場感があります。「たかまる日本語への関心」のなかには、リシタンの「NORIKO学級」のことも紹介されています。
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イキイキとした写真の豊富さも魅力。スナップ的な写真も多いのですが、対象にグッと寄っているのがいいなと思います。フェルガナ好きの方には、おなじみのご家族の写真もありますよ!値段も2800円とリーズナブル。子ども対象の本とはいえ、というか、それだからこそ、中央アジアになじみのない大人でも、抵抗感なく、楽しくわかりやすく、その魅力に触れることができそうです。


●今回は、上の本のご紹介と、フェルガナのヒーロー・バーブルに敬意を表して、フェルガナの写真です。上から3枚は爽やかな5月の景。下の4枚はコーカンドのタイルや建築です。タイルは模様が独特。どこから影響を受けたのか気になります。

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(コーカンド/タイルは大胆な模様。青がくっきりとしています)

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(コーカンド/ハートのような天井の模様。青のタイルの模様もこれまで見たことのないものです。ロシア〜ロシア正教との関係性は??)

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(コーカンド/イスラムらしい幾何学模様ですがモダンな印象も。色使いも独特)

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(コーカンド/木の柱。細工も見事。天井絵も細密でとても美しいものです)


◆ バーブル、ムガル関連・ブログ内記事 ◆
 「フェルガナ、カーブル、ヒンドゥスターン ムガル花模様の旅」
 「日差しを遮り風を通す 実用と装飾の美 ムガルの透かし彫り」
 「モンゴル系王朝が拓き、輝かせた、装飾タイルの世界」
 「ジャムのミナレット なぜこの青がアフガニスタンの谷間に!?」
by orientlibrary | 2009-05-16 23:50 | ウズベキスタンのタイルと陶芸