イスラムアート紀行

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「ソング・オブ・ラホール」〜全世界に知ってほしい。パキスタン人は芸術家でテロリストじゃないことを〜

音楽の興奮と希望に満ちたドキュメンタリー映画「ソング・オブ・ラホール」(SONG OF LAHORE)。8月13日から渋谷ユーロスペースにて公開中。キャッチフレーズは「スィングしなけりゃ“あと”がない」。観て、その意味がわかりましたが、公開中の映画なので、内容がわかるような感想を書けないのが、とても残念。



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一度だけじゃもったいない。何度も観たくなる映画。いろんな発見があると思う。


● ストーリー 要約 (公式サイトより) ● 
「パキスタン映画産業の中心都市、ラホール。数々の映画が作られるとともに、伝統楽器を使った映画音楽も数多く生み出された。しかしイスラーム化の波、タリバンによる歌舞音曲の破壊によって映画界は衰退。音楽家たちは転職を余儀なくされる。そんな中、ラホール出身の実業家イッザト・マジードが私財を投じて音楽スタジオを作り、往年の音楽職人たちを集めて楽団“サッチャル・ジャズ・アンサンブル”を結成。彼らは古典楽器を用いた、世界で類を見ないジャズのスタンダードナンバーを生み出し、名曲「テイク・ファイヴ」をカバーしたプロモーションビデオは100万以上のアクセスを記録。ウィントン・マルサリスが、彼らをニューヨークへと招待。そこで彼らは、音楽家である誇りを取り戻していく」

ドキュメンタリー映画なのだけれど、良質なドラマのようでもあります。キャストの個性が際立ち魅力的なことに加え、音楽家たちの窮状からニューヨーク公演までの展開がスリリングで、感情移入し、ヒヤヒヤドキドキ、なのです。

それほどに音楽家たちを応援する気持ちが沸き上がるのは、それぞれの音楽家が語る音楽への尽くせぬ愛と敬意、伝統の継承者としての使命感が、ていねいに描かれているから。

何代も続く伝統音楽一家の継承者として、誇りを持ち精進を続けてきた凄腕の音楽家たちが、社会変化の中で音楽で生計をたてられなくなり、ウエイターやリキシャドライバーをしなくてはならなかった日々の葛藤、子孫に音楽を伝承できない苦悩。どうぞ誇りを取り戻し、存分に活躍して欲しいと思わずにいられません。


● 監督のことば 要約 (公式サイトより) ● 
「私は祖父からパキスタンの昔の音楽のことを聞いて育ちましたが、私が育った1980年代頃にはそれはすべて過去のものとなっていました。2012年ごろ、ラホールの音楽家たちが一丸となり、パキスタンの伝統楽器を使った音楽をレコーディングしているという無謀とも思えるような話を聞いた時、それが私の伝えたい物語だと気づきました。その時は彼らの旅がどこへたどりつくのか想像もつかず、ただ彼らの声や音楽を残したいと思いました」

監督はシャルミーン・ウベード=チナーイさん、女性です。いい映画撮るなあ。「ただ彼らの声や音楽を残したいと思った」、これがモチベーションというものですよね、理屈ではなく、ただただ撮りたいと思う。そして展開は思いがけない方向に。ニューヨークでの4日間のリハーサルシーンは白眉、そして感動のラストへ。


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< トークイベント  「パキスタンから世界へ!超絶演奏楽団サッチャルの魅力を語る」 >

サッチャル・ジャズ・アンサンブル、数年前にサラームさんが、某研究会で紹介されたとき、そりゃあもう驚きましたよ。白い民族衣装のおじさんたちがヴァイオリンを奏で、シタールやタブラは超絶技巧で、それでいて曲目が「テイク・ファイヴ」、、。今回その背景を知り、私も一緒に旅したような気持ちになりました。

映画公開に先立ち、映画『ソング・オブ・ラホール』公開記念 トークイベント 「パキスタンから世界へ!超絶演奏楽団サッチャルの魅力を語る」が開催されました。出演は、サラーム海上さん、村山和之さん、ヨシダダイキチさん。秘蔵映像を見ながらパキスタン音楽の魅力をスタディしておくというもの。

会場は満員でびっくり。2時間半、疾走しつつ濃厚なトークと演奏が繰り広げられました。サラームさんのサッチャル・ジャズとの出会い、村山さんのタリバーンの音楽(メロディはダメ、聖句などを吟ずるのは問題ないとのこと)などパキスタン音楽の紹介、ヨシダさんのグルーブ感ある「テイク・ファイヴ」シタール演奏、すべて素晴らしかったです。愛と熱がありました。

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「ソング・オブ・ラホール」、、とにかく、オジさんたちがいい。ウィントン・マルサリスが、またいい。

音楽がいい。音楽はいい。

こんなに人を繋ぐものを、こんなに時を繋ぐものを、こんなに空間を超えるものを、禁止したり弾圧したり、それはイスラームの教えではない。原理主義はあくまでも原理主義。現実が、伝統が、思いが、それに押しつぶされることがありませんように。パキスタンの圧倒的な音楽伝統が、卓越したセンスが、代々の技術が、これからも伸びやかに継承されていきますように。


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< TILE IN LAHORE AND INDIA >

最後に、タイルオタクから少々。前述のトークイベントで、ラホールの光景がスライドで紹介され、「あ、タイルだ!」と喜んだのですが、もしかしてタイルと認識されていないかも、、という弱気の想像も。たぶん、このタイルだったと思う。違ったらゴメンナサイ。でも似たものです。

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(MOSQUE OF WAZIR KHAN, LAHORE, COMPLETED IN 1634-35 /cut tile mosaic panel with an inscription in Persian in the nastaliq style on a blossom strewn ground/『The Art of the Islamic Tile』より引用)


このタイル、トークの中で「中央アジアの印象がある」とのお話がありましたが、タイルに限定して言えば中央アジアではあまりないタイルの様式だと思います。中央アジアは青が主で、こちらは黄色と緑がメイン。中央アジアの印象を持たれたとしたら、アトラスなど色鮮やかな布のイメージと重なったのかも、、。印象すごく強いですものね!


黄色と緑はイランやモロッコのタイルでも使われますが、ムガル時代のタイルの特徴を示す色だと思います。まさに、ムガルのタイル。ムガルインドの都・ラホールらしいタイルですね。参考までに、ラホールのタイルを写真だけですが少々。

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(LAHORE FORT, LAHORE, COMPLETED IN 1631 /the parrot perching on the upper cornice seems to be peering down at the little scene showing horsemen in the middle register/『The Art of the Islamic Tile』より引用)


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(orientlibrary)


インドにはタイルがない、というイメージがありますが、ムガルインドの建築物をよ〜〜〜く見ると、少しあるのです!その写真を少々。インドは石造建築が主なので、装飾もタイルに走りませんでした。石の象嵌の美しさはよく知られるところです。だからタイルも、どこか石っぽい。
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(orientlibrary)


パキスタンのタイルということでは、時代を遡り、デリースルタン王朝時代の、ムルタンやウッチュのタイルが圧巻です。こちらは青、青、青。濃い青、強い青。そして幾何学の構図が素晴らしい。インド亜大陸タイルの傑作です。写真を少々。
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(orientlibrary)


文章を推敲するより、とにかくアップ、を目指します。気持ちがフレッシュなうちに。
そうしないとなかなかアップできないので。ことば足らず、乱文、ごめんなさい〜。



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<リンク>

  『ソング・オブ・ラホール』 公式サイト
http://senlis.co.jp/song-of-lahore/

  『ソング・オブ・ラホール』 facebook
https://www.facebook.com/songoflahore.jp/?fref=ts

  『ソング・オブ・ラホール』予告編
https://youtu.be/fSepumfQkd4

  Sachal Studios' Take Five Official Video
https://youtu.be/GLF46JKkCNg

  映画『ソング・オブ・ラホール』公開記念「パキスタンから世界へ!超絶演奏楽団サッチャルの魅力を語る」
https://www.facebook.com/events/1702373750024046/

  クラウドファンディング 「パキスタン伝統音楽×ジャズ!? サッチャル・ジャズ・アンサンブルの初来日公演にご支援を!」(9月来日決定!!
https://motion-gallery.net/projects/song_of_lahore

 レヴュー「劇映画よりドラマチック!な ドキュメンタリー『ソング・オブ・ラホール』」(ブログ「アジア映画巡礼」/パキスタンの状況も含め詳細な解説)
http://blog.goo.ne.jp/cinemaasia/e/16f9c1c2fd5baf856f50150788b2175f

 レヴュー「Song of Lahore (Pakistan)」(HP「バハールドゥルシャー勝」/ラホール、パキスタンの歴史から、音楽家のカースト、宗派について、映画の紹介など、さすがのレビュー!!勉強になりました!)
http://www.bahadurshah.com/film/song-of-lahore
# by orientlibrary | 2016-08-13 22:45 | 美術/音楽/映画

「あめつちの日々」とわたし

前回から1年2ヶ月、あまりに久しぶりのブログ更新となりました。去年の今頃は、ウズベキスタン(ホラズム)行きの準備などで、あわただしく過ごしていました。

昨年5月後半、ウズは極暑一歩前。真青な空、ホラズムの紺碧のタイル。イチャンカラ(ヒヴァ)でのミッション、煉瓦や木材の調達、工芸品探し、陶芸工房やアーティスト訪問と再会、中世のようなバザールの活気。遠い昔のようです。

昨年晩夏以降、気持ちも体調も低迷していました。自身の甘さ全開なのですが、大好きな母の急逝という喪失感は大きく、加えて今年に入って4ヶ月以上も続いた体調の悪さには滅入りました。でも、、ようやく気力が沸いてきました。体調が改善してきたタイミングもあったと思いますが、活力のきっかけにこの映画があったことは間違いありません。「あめつちの日々」。


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■ 「あめつちの日々」のはじまり ■


「2011年。私たちが探していたのは「土」でした。風土と人間の暮らし。撮ってみたかったのはその絶対的存在でした」(「あめつちの日々」WEBサイトより)

そして向かったのは、「四名で持つ共同窯「北窯」。沖縄最大といわれる登窯はダイナミックで上へ上へと昇りあがってます」 松田米司氏に話を聞く。「土はなくならないのでしょうか?」「いずれなくなるかもしれないね。自分たちにも責任はある。だから懸命に喜んでもらえるものをつくろうと思っている」

(*北窯(きたがま)=沖縄中部読谷村。宮城正享・與那原正守・松田米司・松田共司の4窯元の共同窯として1992年に開窯。13連房という大きな登り窯で年5回火入れする。)

約4年をかけて、松田米司さんとその工房、北窯を取材・撮影・編集。上映は16年5月7日が初日。現在、渋谷イメージフォーラムで上映中です。(* プロデューサー=高田 明男、監督・撮影=川瀬 美香。敬称略)

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■ 土と笑顔 ■


(じつは、「あめつちの日々」、すでに3回観ました。何度観ても発見があるし、何か書きたいと最初から思ったので、構成や言葉などを記憶したかったのです。が、覚えてません!無理。以下、あくまで私が覚えている範囲、しかも感覚的印象優位です。正確さは、別の何か?でご確認ください。)

映画の冒頭シーン、瓦の上に置かれたたくさんの赤い陶土。健やかなたくましい姿で、読谷の陽射しを浴びています。土の様子を見に来た松田米司さんの、土と呼応するような満面の笑み。その笑顔があまりにも素敵で、、一瞬にして映画に引き込まれました。

瓶のろくろ挽きの長回しもいいですね〜。端的でよくわかる。「土族(つちぞく)」としては、土がどーんとアップで撮られるということに、すでに興奮状態。しかも、その迫り方に土へのただならぬ愛を感じました。土のアップと長回しで、撮っているのは女性かな?と思いました(当たってました。気になるところにグッと、、そのお気持ち、わかる気がするのです)。

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■ キラキラするものを見つけてしまったんです(松田米司さん) ■


沖縄や“やちむん”(沖縄では焼物のことを「やちむん」という)のことを語る米司さんの言葉のきらめきに魅了されました。(繰り返しになりますが、以下、正確な再現ではありません!)

「沖縄が好き。くされ縁というか、面倒ではあるんだけど、その中に、キラキラするものを見つけてしまったんですよ。土に関わることなんだけど。それは自由で魅力的なことなんです」

「伝統というのは、個人が入ってはダメなんですよ。入らないほうがいい。沖縄の、というところに、誰の、が入ると、なんだか、、うるさいでしょう。工芸というのは、それを話題に皆が語り合うような、文化のものだから。沖縄には伝統があり、しっかりと作れる陶工たちがいるのだから」

「(車で出かけた先にて、カゴに何かを拾って入れながら)  これは釉薬に使う鉄分の多いマンガン。沖縄のやちむんは、自然からいろんなものをもらっているんだよ」  (*「この場所は旧日本軍の飛行場で、その後、米軍が占有していたところ」という。その上空を飛ぶのは米軍飛行機か。現在も米軍基地がある。奇しくも今日5月15日は沖縄返還の日。44年経ちました)

陶土を求めてベトナムへも。合間に街で気に入った茶碗や皿を買い求め、とろけるような笑顔。沖縄の白土の成分とほぼ近い白土(カオリン)の工場と原料採掘所へ。  「(土を手に持ち笑顔で) 採掘所っていうのは、ワクワクするね。この広い採掘所の地面の下、全部(土)でしょう。すごいな。なるべく原土のままで精製しないで使いたい。この土は化粧土にしたい。沖縄の土と混ぜて作陶もしたいし、釉薬にも。本当は沖縄の土でやりたい。でも、いろんな方法を考えなくちゃならない」

「琉球人らしく生きるには、沖縄人らしく生きるには。それを考えて職人になった。どこにも属さず、誰にも頼らず、自活していく。自立していく」

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■ 全国から集まる若い陶工さんたち ■


若い陶工さんたちの土づくりも印象深いシーンです。体全体をかけて何ヶ月も土と向き合う姿。陶芸はろくろ挽きや絵付けだけではないこと、大半は土の調子を整えていくような地道な作業であることに気づきます。

皆さん、いい顔。姿勢というか、姿がきれいです。打ち込んでいる人の意気が伝わります。

火入れ、数日の昼夜通しておこなわれる窯焚きも、じっくりと見ることができます。丸太をどーんと入れている、、豪快! 一方で、温度や時間と場所を細密に調整し続ける根気や集中力にも感心しました。

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● 尾久彰三さん(古民芸研究家) ●


「沖縄のやきものには長い伝統があります。そしてスケールが大きいんですよ。小さな島だけど海も含めると大きい。海洋国のスケールがある。そこが本土の陶芸産地との違いでしょうか」

「米司さんは、伝統を深めるほうでやっていかれればいいと思う。今立っている地の奥の方に行く、と言えばいいかな。沖縄にはそれだけの伝統やものづくりの幅があるのだから」

尾久さん、奥ゆかしくて、ほのぼのしてて、いいな。

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● 山内徳信さん(読谷村元村長) ●


強烈な印象です。こういう骨のある人がいたから、今の読谷があるのかなと思いました。

「村長になったとき、何ができるか、経済じゃない、と思った。当時、村の人が皆うつむいて歩いていることに気づいたの。戦後、村の95%が米軍に占有されていた。大人も子どもも、夜空の星を見上げるように胸を張って、自分の村に誇りを持って欲しかった」

「経済じゃない、文化だ。文化村を作ろう。花織りができる場、やちむんができる場を。そういう場を作るんだということで、交渉していった」

1986年の「読谷文化村」構想。詳細な経緯や経過については知らないのですが、現在の北窯も、この文化村構想があってこそのものなのでしょう。米軍占有地も36%まで減少したそうです。

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▼ 健やかで、骨太で、自由 ▼


全編を通じて、土も、人も、やきものも、健やかで、骨太で、自由、その波動が伝わってきました。この健やかさ、生命感が、私がこの映画と出会って受けとった宝物です。

「マカイ(沖縄の椀)は、重ねて焼成する、という制限がある。茶碗の形ではそれができない。そこからマカイの形が決まっていった」。

制限から生み出された形の美。また、重ねて焼成するには正確に中心が取れていないとダメ。基本がきちっとしているから、目に気持ちいいのかなと思いました。

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▼ リシタンやホラズムを重ねたくなる ▼


中世からの陶芸の歴史、今に続く伝統の継承、そして赤土に象牙色の化粧土、地元の植物を使った釉薬。やはりウズベキスタン陶芸と重ねてしまいます。以前から、沖縄とウズベキスタンは似ているという気がしていましたが、陶芸でも重なりを感じました。

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(リシタン)

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(リシタン)

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(ホラズム)

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(ホラズム)


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▼ 感謝します ▼


松田米司さん、工房の皆様、やちむんを生み出してくださってありがとうございます。

映画製作の皆様、熱くて温い、心に響く映画を作ってくださってありがとうございました。(プロデューサーの高田明男さん、監督・撮影の川瀬美香さんは、「紫」を製作された方なのですね。観ました、紫。こちらも迫る映画でした。工芸の次作はなんでしょう!?待ってます!)

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(上映後あいさつ(川瀬監督、松田米司さん)/今回の展示会で入手した茶碗、皿。緑釉は真鍮とガジュマルの灰釉と聞きました。興味深いなあ。これから知っていきたい)

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(「あめつちの日々」公開記念やちむん展示会にて)


とにかく書いてみました。とにかくラフなまま、アップしようと思います。健やかに歩いていきたいです。
# by orientlibrary | 2016-05-15 23:01 | 日本のいいもの・光景

青淵文庫の和の趣のタイル、ウィーン分離派との関係が?

中東で、日本で、多くのことがありました。どうしてこんなことが起きるのか、ということが連日のように報道され、重く暗く悲しい、やりきれない気持ちを抱えてしまいます。ひとつひとつに思うこと、考えることはありますが、何か書いてみたいと資料を集めていたら、また次の何かが起きる。イスラームに関して言えば、イスラームから「IS」を連想する人は、現時点では少数ではないでしょう。「IS」に最も苦しめられているのはイスラームの人々ですが、さらに誤解や偏見も重なります。また長く続くシリア難民の苦しみや、宗教に名を借りた文化財の破壊冒涜など、言葉がありません。タイルのことばかり書いていていいのかという気持ちもあります。(ブログの更新は少ないのですが、タイルや青のFBはけっこう更新しているので、、)。まとまりませんが、、日々見たもの、西アジアや中央アジアのきれいなもの、これからも書いていければと思います。

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西アジア遊牧民の染織


東京国立博物館東洋館(アジアギャラリー)にて、「アジアの染織 西アジア遊牧民の染織」が展示されています(4月5日まで)。

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「遊牧民研究家、松島清江氏が1960年代から1980年代にかけて現地で収集したコレクションを展示します。インド西北部からパキスタン、アフガニスタ ン、イランからトルコにかけて遊牧を営んだ部族が染め、織り、制作したハンドメイドの衣類や袋物、テント用敷物。家畜の毛をつむいで織り、あるいはフェル トにして作られた、各部族の特色ある色と文様の世界を紹介します」との内容。

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「遊牧民の染織〜トライバルな毛織物」というジャンルも、装飾タイル同様、日本ではあまりメジャーではない、というか、好きな人はものすごく好きだけれどあまり知られていない、広がりが少ないジャンルではないかと思います。でも紋様や技法など、とても魅力があります。古いものは、色もいいですね。引き込まれます。

ただ展示としては、解説がややざっくりしていました。部族名や地域もなく「トルコ」とだけ表示されていたり。「敷物 赤紺緑紫地小花幾何文様刺繍縫合せ」といったタイトルは現物を見ればわかるのでは?作った人たちや特徴的な技法について知りたいです。博物館での稀な展示なので、贅沢は言えませんが!


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ベジタブル・センセーション、カドヤ・ワールド


陶芸家・角谷啓男さんの個展(六本木アクシスSavoir Vivreにて/3月1日まで)。あ、上のタイトルは私が勝手につけたものです。びっくりな野菜や花や葉っぱたちだったので。

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ガラスや磁器土でできているのですが、本物より本物らしい繊細な仕事!すごいな〜。テイストがまったく違うのですが、超絶技巧の明治工芸を思い起こす面もありました。が、もっとオシャレでモダンです!

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角谷先生、陶芸教室行ってなくてスイマセン。。久々に会った角谷さん、野菜たちとの日々でちょっと疲れも見えましたが、逆に内に炎が赤々と灯っているのを感じました。不肖生徒ですが、またよろしくお願いします。

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大正タイルの館 青淵文庫


日本のタイルを少しずつ見ていますが、まだまだです。とくに近代建築に使われたタイルは、行くのにモチベーションアップが必要。青淵文庫(せいえんぶんこ/渋沢資料館内/東京・王子)も、じつは大きな期待を持たずに行ったのですが、すんなりと受け止めることができました。

渋沢史料館は、近代日本経済社会の基礎を築いた渋沢栄一の思想と行動を顕彰する「渋沢青淵記念財団竜門社」の付属施設として、1982年に北区飛鳥山公園の一部に設立された博物館。旧邸内に残る大正期の2つの建物「晩香廬」と「青淵文庫」、本館があります。

ステンドグラスやタイルががあるのは青淵文庫。設計は田辺淳吉。1920(大正9)年に設計開始、1925(大正14)年竣工。完成目前の1923年に関東大震災にあい工事は一時中断。震災の経験を生かして再工事。栄一の書庫として、また接客の場としても使用されたそうです。

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明治〜大正の西洋館、苦手なものもあるので心して出かけましたが、箱形の端正な佇まいに安心。そして予想以上に多用されていたタイルが、色合いも模様も組合せもテクスチャーも和な感じでスッキリ。けっこう好きだなあ。

紋様は渋沢家の家紋「丸に違い柏」に因んで柏の葉とドングリの実をデザインしたもの。石膏型成形。色は青磁釉の青緑と白、金を使用。オリジナルと修復時作成(200個ほど)が混在。けれどもあまり違和感がない。質実感あり好み。館内部にも、窓回り、柱回りなどにタイルが使われていました。

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洋館建築にはとんと疎いので、この感じはなんなんだろう、他の洋館と何か違うなあ、と思いながら、置いてあった館紹介の掲載雑誌を後で読もうと写真に撮りました。で、撮ったままにしていたものを、先ほど読みました。面白かった。藤森照信さんの「タイル多芸」というシリーズの読み物のようです。(そんな連載があったんだ、、今、タイルの連載ってどこかにあるのかな??) 雑誌名は今わかりません。が、そこから引用を!(< >内はorientlibraryが補足追記)

——— 「タイル多芸4 大正期の掌品 青淵文庫と晩香廬」(藤森照信)———

<第一印象は正体不明の建築。タイルもよくわからない>
「(大学院生時代はじめて訪れたとき)、にぎやかな明治の西洋館に慣れた目には、全体を箱形とし、一部に角柱を並べるだけの外観はあまりに無口すぎるし、一歩なかに入ったときのインテリアの印象も、それまで見慣れたイギリス風フランス風などといったヨーロッパの歴史様式とも違うし、かといってアールヌーヴォー以後のモダンデザインじゃないし、正体不明、見所不詳の感を否めない」

「ステンドグラス以上のとまどいはタイルだった。箱形の単純な外観の唯一の見せ場は開口部回りにグルリと使われているタイルだが、そのタイルがどうもよくわからない。まず、色がいけない。緑色をベースとしているが、建物に緑色を使う例はきわめてまれで、なんだか落着かない。加えて、タイルの面に刻まれた装飾も、幾何学紋様のようでもあり、植物風でもあり、ステンドグラス同様もっと伸びやかにならないのか。国籍不明、デザイン原理不詳の建物、と学生の私の目には映ったのだった」

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<優れたデザインだった。中国風が溶け込んでいる>
「それから20余年。明治の西洋館だけでなく、大正・昭和初期の西洋館、さらに20世紀のモダンデザイン、またモダンデザインの影響を受けた歴史様式、といったさまざまな日本の近代建築の形と思想についてその後勉強を重ね、今は、また別の目でこの建築を見ることがでいるようになり、たいへん優れたデザインであると考えるようになっている」

「まず、国籍不明の件、結論から述べると、中国風なのである。中国の感覚を取り込んだヨーロッパ系のデザイン。ステンドグラスの装飾は殷の青銅器などでおなじみのゴニョゴニョ紋様だし、そこここに竜に由来するようなモチーフも潜んでいる。ステンドグラスとタイルが一般よりずっとグリーンがかっているのも、中国の緑と朱を好む伝統とふまえているといえよう」

「中国風のデザインセンスを加えた理由は、この文庫の蔵書の性格にある。論語関連の和漢の古典籍を収蔵し、それを使って論語研究をする研究図書館というのが青淵文庫の設立目的であった。渋沢栄一は資本主義の経済活動にも論理が不可欠と確信し、その根本を孔子の教えに置こうと考えていた。こうした渋沢の思想を踏まえ、設計者は中国を感じさせるセンスを巧みに取り込んだわけである。あまりに巧みに溶かし込んでいるから、中国風はムキ出しにならず、逆に一見しただけでは国籍不明に見えてしまうのである」

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<じつはヨーゼフ・ホフマンの影響を受けたデザインだ>
「外観は凹凸が少なく、アッサリと仕上げられ、ひとつの箱に化すような兆しが観察されるし、インテリアでもあれこれ付加された装飾のバックにひとつのマッスが感じられよう」

「実はこの建物のデザインは、かのヨーゼフ・ホフマン設計のモダンデザインの記念碑的作品、ストックレー邸の影響を受けているのである。設計者の田辺淳吉の自ら記した文によると、彼は大正のはじめにヨーロッパに出かけたとき、それまで習得してきた歴史様式に喰い足りないものを覚え、むしろウイーンで巻き起こっていたセセッションのデザイン運動に関心を持ち、リーダーのホフマンの仕事に強く魅せられた、という」

「ストックレー邸とのつながりにマサカと思われる読者のためにひとつ証拠を挙げるならば、外観の開口部のタイルの縁取りはどうか。初期の案だと、2階まで窓が伸び、その回りをタイルが縁取っているからもっとわかりやすかったが、こうした幾何学化したファサードをタイルで縁取って飾るというのはストックレー邸のやり方にほかならない」

<平明なうえでの装飾性というタイルの得意技を理解>
「当時の記録によるとタイルは“泰平タペストリータイル”ということになっているが、泰平は京都のタイルメーカー辻製作所のブランド名で、タペストリーというのは装飾織物を指す。建築部材というより、織物で壁面に帯状のアクセントをつけるというところにウイーンのセセッションへの共鳴が感じられよう」

「晩香廬も設計は田辺淳吉で、完成は大正6年。イギリスのチューダー様式をベースとしているが、暖炉の上部の「喜」の字の飾りに象徴されるように、そこはかとなく中国感覚が溶かし込まれている」

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(洋風茶室・晩香廬。内部撮影禁止なので写真なし。「1917(大正6)年の竣工で、丈夫な栗材を用いて丹念に作られ、暖炉・薪入れ・火鉢などの調度品、机・椅子などの家具にも、設計者の細やかな心遣いが見られます」=HPより)

「しかし、チューダー様式、中国感覚の背後で、青淵文庫と同じように、設計者はインテリアをひとつのマッスとしてとらえているし、壁面の処理も、暖炉回りの壁で明らかなようにより平明にしたうえで、タイルと木部によって装飾性を生み出そうとしている」

「平明なうえでの装飾性。イスラム建築の装飾タイルを引くまでもなく、たしかにこれはタイルの得意技のひとつといわなければならない」

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さらに、こういう見方も。(同じく雑誌を撮影したものより)。今度はオットー・ワーグナー。

「青淵文庫の設計は田辺淳吉。オーストラリアの建築家でウイーン分離派のオットー・ワーグナーに傾倒し、青淵文庫もワーグナーの代表作「郵便貯金局」に似ている部分が多いと言われている」「窓の枠と柱のタイル、そして窓上部のステンドグラスには渋沢家の家紋にちなんだ柏の模様が施されている。細部へのこだわりは田辺がワーグナーから影響を受けていることを表しているのではないだろうか」(月間建築仕上技術/2008年9月号)

え、、論語、孔子、中国、資本主義、ウイーン分離派、、

そんなにいろいろな要素があったんですね。う〜ん、すごいな。そして、渋沢栄一さん、資本主義にも論理が不可欠、さすが明治の実業家は骨太。

タイルオタクには、「平明なうえでの装飾性」という見立てが、すんなり入りました。イスラームの建築や工芸は優美繊細だけれど爛熟じゃないんです。華麗だけどゴテゴテしていない。そこが好きなのです。そんなこともあり、青淵文庫、予想していたより共鳴できました。

ウィーン分離派からの影響、建築史としてはそうなのかもしれませんが、タイルについて言えば、幾何学紋様と植物紋様の組合せや青緑の使用などは、私にはイスタムタイルと、また一部のヴィクトリアンタイルとの共通項として感じられました。そしてまた、「やきものとしての日本のタイル」の美しさも宿っていると感じました。「泰平タペストリータイル」の底力!日本のタイルも、もっと見て歩きたいと思います。
# by orientlibrary | 2015-03-01 23:58 | 日本のタイル、やきもの

「テーブルウェア・フェスティバル 2015」、好きだったものなどレポ

今年も「テーブルウェア・フェスティバル」の季節(東京ドームにて、2月9日まで、詳細はイベントサイトに)。ドームに満載の陶磁器やテーブル回りの品々に会いに、さっそく行ってきました。まとめられず調べきれなくても、「走りながら書く」スタイルに変えようと思っているので、写真中心に、超ザクッとですが速報レポとします。

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(「個性ある250以上の販売ブースが出展し、企業の新商品や提案商品、
産地の窯元や作家の作品などを直接購入することができます」HPより。おもてなし食空間=テーブルセッティングの展示も大きな要素。専門家からコンテスト入賞作品まで多数展示あり。会場は幅広い年代の女性ファン、器選びをするカップルなどで熱気/着物姿の女性は食卓との関係は?だけれど入口に。皆さん写真を撮っていたので、、モデルさんって顔が小さい〜)

今回の特集は「琳派400年の系譜と新時代の京焼・清水焼」。見応えありました。解説までは写真を撮っていないので詳細はわかりません。写真のみです。

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(「伝統的な琳派のデザインを受け継ぐ器や、楽茶碗に代表される茶道具。そして、斬新なデザインさえ感じる
今の新しい京焼・清水焼。古都、京都ならではの奥深さをご紹介いたします」(HPより))

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(器だけでなく、セッティング提案してあると、やはり器の表情が出てきます。揃いも生きるし、組合せも楽しい。日本の器でのセッティングは、ルールが種々ありそうな欧米よりも自由な空気があり、私には楽しい。ひとつひとつの陶磁器に存在感)

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(端正なかたち、絵付けの細やかさ、色彩の優美さ。やはり華があります。粋と雅)

「日本の器を訪ねて」では、今回、和モダンな漆を特集。輪島塗、山中塗、津軽塗など、日本の代表的な産地の逸品、そして斬新な作品がセッティングされていました。

「日本の器を訪ねて」、毎回、大きなブースを展開するのは、日本の有名な陶芸産地。土岐市、瀬戸、多治見、有田、常滑、波佐見、鹿児島の工芸品。伝統的な作品からカジュアルなものまで豊富に揃い、値段も手頃に設定されています。楽しみにしている展示です。

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(土岐市は伝統的な名匠の作品から、現代作家の青白磁など魅せてくれます。さらにカジュアルな食器、今風のどんぶりなどが大人気で朝から行列ズラリ。レジや包装の皆さんも大変そうでした)

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(東海中部の産地。多治見、瀬戸、信楽、常滑。中部の土もの、いいですね〜)

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(九州。波佐見焼はブースも大きく、加えて窯元も個別に出展するなど、目立ちます。商品ラインが豊富。青中心の三河内は複数の窯元さんが出展。かごしまは工芸品全般。白薩摩は本当に美しい。有田のブースは大きくてモダンなものが多いのですが撮影禁止なので写真なし)

気に入ったもの、気になったものは、いろいろあるのですが、、ザクッとの範囲で、こちらをご紹介。オリエンタルなテイストを感じたもの。

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(左の上下:あれ?トルコタイルの模様、、と思ったら、やはりテーマが「トルコの花」なのだそうです。いい感じにあがっていますね。落着いたトーンの色合いでまとめてあったのが和風でおもしろかった。皿だけでなく商品ラインも豊富。ただ、食卓提案にトルコテイストがほとんどなかったのが残念。少しトルコものを入れてパンチを効かせたほうが良かったのでは?/右上:きれいですよね!!京焼の深鉢。ムガルの花模様を思い起こします。このようなブタ(花模様)が傾いでいってペイズリー模様になった、そのあたりも感じさせる動きのあるデザイン。色も青でいいですね/右下:カタール国大使夫人によるテーブルセッティング。キラキラ。ヒョウ柄とは意表をつかれました)

有田で写真を撮ってもいいですよ、と言ってくださった窯元さん。去年から注目していましたよ。「メデタイ」の窯元さん。今年はさらにパワーアップ。人も集まり注目の展示になっていました。明治時代の版木を使って成形し、すべて手描きで仕上げています。

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(有田の窯元による明治の鯛「メデタイ」鯛皿は、明治10年頃の型を使い再現した手造り物。現在の魚の置き方は頭が左ですが、当時「左前」は悪いイメージ。新しい日本の未来を祝うため、頭が右を向くように作られたのだとか。右向きの鯉皿は明治初期に限定されますが多数生産されたそうです。現在の鯛皿は華やかな絵付けが施され豪華。小さな魚皿も可愛い)

小さいものは可愛いですね〜。そこにびっしりと描き込んであるのですから、グッと惹き付けられます。

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(左上:こちらは陶器ではなくビーズ!「テーブルセッティングによる食空間提案」で、ビーズ刺繍デザイナーの田川啓二さんのテーブルにあった屏風=「葵祭」をモチーフにしたもの。これらはすべて、ビーズ、スパンコール、金モール、糸など、様々な種類と色の材料で一針一針手で刺繍したものです。人物は、最も難しい糸のテクニックであるレシャムワークでつくり、この糸刺繍のあとに縁取りをツイストワイヤーでまつっていきます。これは私の作品の中で、一番長い期間を費やして制作されたものです」(田川さんコメント)/右の上下:こちらは本当に綺麗でした!京焼の箸置き。やっぱり、日本の陶磁器はすごいわ、、)

あれ、、洋食器ブランド、見逃してました。でも、日本のブランドの洋食器はしっかり見ました。大倉陶園、こちらはちょっと別格。重厚というか格調というか、、美術品のようです。

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(呉須草花紋のカップ&ソーサー。瑠璃色と金色の大型陶板。図柄は正直好みではないけれど青には惹かれる。深い青「アジュール」の四角い皿。『婦人画報』の写真には、有名レストランのシェフによるお料理が。こんなふうに盛りつけてこそ映えるお皿ですね、ハイ!)

テーブルセッティングもさまざまなテーマで、展示されています。

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(左上:かなり作り込んだ野外のテーブルセッティング提案。細長い絨緞あり。このイベントで絨緞を見ることは少ない。床までいかないですね、だいたい/右上:カタール大使夫人のテーブル全体はこのような豪華な感じ/左下:たぶんスイーツガーデンというテーマのセッティング/右下:女性好みの世界。植物もいっぱい)

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(左上:花に負けない器の存在感/右上:先ほどの田川啓二さんのテーブル。後ろの屏風にビーズが施されています/左下:たしか昨年のコンテスト優秀作のコラボ/右下:今年の「テーブルウェア大賞」入賞作品より。華やかなセッティングが多いなかで意表をつくエコなテーブル。紙や洗濯バサミ、ヘチマなどで。オシャレです)

写真はたくさんあるのですが、長くなってしまうので、このくらいにしておきます。陶磁器見学、次はどこに行こうかな!? 北九州も行きたいな。

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気持ちが重い。いい方向に世の中が向かっているとは思えない。大好きな地域(人々)が、ますます辛い状況になっている。日本もモヤモヤ。世界、社会、すべてが加速度的に複雑になっていて、こじれていく。正直、今日は気を紛らわせて何かに向かいたかったこともあり、ブログを書きました。とにかく、自分の小さなことだけを考えていては、それさえも危うくなるのだと思う。というところまでしか、、うまく表せません。。
# by orientlibrary | 2015-02-01 23:55 | 世界の陶芸、工芸

「アトラス、デシン、更紗???」(結果は・・) 、絢香、Superfly

軽すぎ&私的なトピックです! どんよりイライラのニュースが多い昨今、こういうのがあってもいいのでは、、な〜んて!

久々、YouTubeで音楽タイム。とくに理由なく、「次の動画」をパラパラ見ているうちに、絢香さんの「三日月」に。自然の中で歌ってるね。え!? その衣装、、ん?!、、これは「アトラス」では?!?、、アトラスだよね!?

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(「絢香 三日月 0608 NHK G SAVE THE FUTURE ECO UTA 2008」よりキャプチャー)

 *アトラス* ウズベキスタンやウイグルの特産である絹の経絣布(絹と綿を用いたものはアドラス)。華やかな色彩と大柄の抽象的な文様が繰り返し表される。

でも透けててシフォンみたいに柔らかそう、、デシン?!ウズベキスタンのデシン?! こんな柄のデシンもあるの!?

*デシン(〜クレープデシン)*  「細い生糸で平織にした薄地の縮緬。たて糸に無撚糸、よこ糸に強撚糸。織り上げた後に精錬して細かいしぼを立てる。ドレープ性があり、柔かくしなやかなタッチが特徴」。別名フランス縮緬とも。 

気になって気になって、、静止してキャプチャーして拡大。YouTubeも10回以上(今、「異常」って出た=そのほうが当たってるかも!)見たけれど、テキスタイル素人の悲しさ、う〜ん、わかりません。でも、先入観かもしれないけれど、デシンっぽいというか、そう思いたい、、大胆なアトラスの模様でステキ!! (*注:正確にはわかりません!)

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(「絢香 三日月 0608 NHK G SAVE THE FUTURE ECO UTA 2008」よりキャプチャー)

デシン、なぜウズベキスタンにあるのでしょう。中央アジアがソ連だった頃、1950〜60年代に流行ったのだそうです。透け感と浮遊感。色柄も、いわゆる「サイケデリック」に合いそう。世界的な時代感覚なのかな。そして、その頃のデッドストックが今、売られているのです。

私も数年前まで、知らなかった。アトラス布に触れる機会が増えるにつれ、チョルスー(タシケントにある巨大バザール)などで時々見かける、この貴重なシルクデシンのことも知るようになりました。値段も高めなので、日本人が店に行くとデシンが出てきます。とてもステキです。

→ 気になるのは3つ。(1)前身頃のアトラス模様の布 (2)袖から後身頃の、カラフルで櫛模様のようなものがある布 (3)襟元と袖の一部にアクセント的に使われている布。それぞれ、いったい何?

→ そして次に、これはいったい誰が提供したんだ!?ということ。番組は、2008年6月8日放送の「SAVE THE FUTURE ECO UTA 2008」(NHK BS)。(=この日、この放送があり絢香が出演したことは検索をたどって確認。検索範囲内だけれど、年月日はこの日と考えていいと思う)

絢香さんの衣装。(1)前身頃のアトラス模様の布。デシン?? ここだけ普通のアトラスかもと思ったけど、柔らかそうだし、襟元をアップで見ると、透けている感じ。わ〜、こんな柄のがあるんですね〜!白地に、正円ではない楕円状の模様とペイズリーなど。縦方向の流れが出てきれい。→→→ <追記及び修正?>こちら、プリントのシフォンかもしれません。理由は後半に書いていますが、この時期欧米のデザイナーやメゾンが中央アジアモチーフをコレクションで発表していた。一点ものではなく、既製品なのかも???

(2)袖から後身頃の、赤や白や紺の模様がある布。櫛模様的なものしか、わからない。キャプチャーの限界。赤が絢香さんに、よく似合っている。

(3)襟元と袖の一部にアクセント的に使われている布。一瞬、ロシア更紗かと。花模様が更紗っぽい。美しい花模様の更紗は、通常、アトラス衣装の裏地に使われています。でも、質感が柔らかそう。ロシア更紗だったら、テンションもっと上がったけど。

*ロシア更紗* 19世紀になるとロシアでは綿花を主としてアメリカから輸入し、更紗生産では世界の中心地となった。ロシア更紗はブハラ商人の手を通して中央アジアにもたらされた。時々見える裏地に使われた可憐な花模様の更紗は、衣装を一層引き立てている。(「豊穣なる色彩 ウズベキスタンの布と器」) 

それにしても、この衣装、2008年ですか。スタイリストさん?現地の仕入れ? いやあ、現地の感覚と違う気がする。日本でデザイナーが作った?誰だろう。中央アジアファンとして、テキスタイルや工芸が、ジワジワとひろがっているのを、楽しみに見ていたので、気になるのです。

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(ウズベキスタンの染織工房)

<ブログにも何回か書きました>
● アブルバンディ・雲の織物。ウズベキスタンの絹絣(2007年9月19日)

ウズ風プリントが揺れる、街に、モードに!(2010年4月6日)

圧倒的にクールな中央アジア伝統染織!でも現代のアパレルは、、(2010年4月17日)

Atlas Today、色使いと模様が魅力、ウズベキスタンの絹織物(2013年2月18日)

日本のデザイナーでは、コシノヒロコさんのスザニコレクションは有名。東京都庭園美術館での「シルクロードの装い」展開催は2004年春。若い服飾関係者らしき人たちが、たくさん見ていたなあ。そういえば、ドン小西。初ウズが2011年だから2008年じゃないなあ。イッセイのブランド「PLANTATION」でもその頃、中央アジア柄を出していて、見に行ったけど、洗練されすぎでした。う〜ん、誰かいないか、、

ふと思い出したのが、高田賢三さん!たしかウズのファッションウイークに行っていたはず。元々が花柄を多用していたし、こういう高度な組合せができるのはケンゾーさんなのでは!?きっとそうだよ!

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世紀の大発見みたいに、がぜん色めきたちましたが、確認するとケンゾーさんの来ウズは「STYLE.UZ」(2008年10月12-17日開催)。いやあ、この頃は、「ウズベキスタン文化・芸術フォーラム基金」がガッツリ活動していたので、いろいろ華やかだったように思います。今は、、タブーですか、この話題。グリナラさん、、今どこに。

衣装が6月でケンゾーさんが10月か、惜しかった!ということで、私の遊びはここまででした。

キャプチャーして思ったけど、絢香さんは、どの瞬間もカワイイ。表情がイキイキして、この衣装と、とても合っていた。着こなして、魅力を引きだしていました。衣装を見たいかた、歌を聴きたいかた、こちらですよ!襟元が何かわかったら教えてくださいね〜。

→  FBコメントをいただき、気づきました!! 1990年代後半から一部のデザイナーが中央アジアのテキスタイルやモチーフを取り入れた斬新なコレクションを発表。とくにオスカー・デラ・ルンタは2005年頃から大々的に発表し注目を集める。ジョン・ガリアーノ、ドリスバン・ノッテン、バレンシアガ、さらにはグッチなど欧米のデザイナーやブランドは、2010年頃まで軒並み、パリコレ、ミラノコレで、中央アジア柄モチーフやウズベクの布を使ったコレクション発表してるんです。そこまでは、これまでもブログに書いてきたのですが、、それをスタイリストさんが取り入れた、というのが、いちばんあり得る線ですね! なんでそこが考えられなかったんだろう、、スッキリしました! いずれにしても、この3つの柄の組合せは、ウズの布についての知識と理解があるデザイナーさんだと思います。どうもありがとうございました! 





もうひとつ、こういう衣装を着て欲しい人ということでSuperflyの越智志帆さん。絶対似合うよ!たとえば、こういう中で。




カワイイなー!基本、ROCK AGEなので、いまだに好きです、こういう世界。Superfly、最高!

そして、このミュージックビデオ、何か懐かしさがあったのですが、「ルナ・パパ」(Luna Papa)だ!ルナパパを思い出す。1999年制作、タジキスタンが舞台の映画。不思議なファンタジーで、中央アジアに惹かれていった、ひとつのエポックでもありました。
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YouTubeのチラ見から、えらいところに来ちゃいました。長々すいません。これから、しばらく、「走りながら書く」にしようと思っています。「きちんとスタディして、まとまったら書く」ができないことが、よくわかったので(残念ながら)。ではまた!

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# by orientlibrary | 2015-01-28 11:17